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「錆喰いビスコ3 都市生命体東京」がチョー面白かった

何度かこのnoteでも語っているスーパーキノコパルプ小説「錆喰いビスコ」シリーズの3巻を読み終わった。チョー面白かった。ということでこの記事はどのへんがチョー面白かったかつらつら書いてある記事です。ネタバレはありません。

これまでのあらすじ

さて3巻は物語がひとつの区切りを迎える。というわけで戦いの規模は最大スケールに拡がっている。すごいぞ。で、読んでてずっとワクワクしていたのだけど、話のドライブ具合がすごい。パルプはとにかく登場人物がアクションしてなんぼなワケだが、あらゆる登場人物が自分が今やるべき事を最短距離で実行してくるので、開幕からラスボスが主人公の村を焼きに来るし、主人公も前作のラストで編み出した超必殺技を惜しげも無くブツけていく。主人公が辿り着くまで耐えるのだ!などと言っているそばからサラッと要塞は地の文で陥落し、取り返す算段がついたらまたアッサリ取り返す。真の男(心の性別)たちは一切迷いがない。とにかくそこが徹底していて凄かった。

今回の話のファクターでもある「都市ビルが生える」という敵のギミックも、しっかりした設定を匂わせつつほとんど原理の説明はしない。何故なら登場人物からすれば敵の攻撃と共にそれが生えてくるのが厄介で、どうやってそれを防ぐかが重要であり、別にそれが生えてくる原理などどうでもいいのだ。なので読者にも綿密な説明はしない!そんなことより敵の本拠地に突っ込んでいく主人公たちを見やがれ!歪んだ目的を達しようとする悪役に怯えやがれ!無茶苦茶なギミックで襲い掛かる「東京」に慄きやがれ!である。さすがだ。

敵は東京、というコピーに全くウソはなく、本当に東京が容赦無く襲い掛かってくる。今回はこれまで登場した戦闘プレイアブルキャラ(ビスコ、ミロ、アクタガワ、パウー、ジャビ)が全員コンディション全快の状況で戦いに挑むのだが(よく考えると初めての状況だ)そこを普通に敵が上回って来るから東京は怖いところだ。ビスコとミロなどほぼ不死身かつレベルカンストなのにだ。レベルキャップ外されるって怖いな。

蟹が強い🦀

そして今回も蟹が強い。ただただデカくて硬いカニのアクタガワ、なんと今回は敵の幹部クラスとのタイマンが用意されている。すごい。この戦闘が本当に圧巻だった。アクタガワは本当にとにかく蟹なので一切喋ることはないし、モノローグすらない。そしてデカくて硬いという以上の超常能力は一切持たない。その巨大な鋏と身体で敵を滅ぼす。全てはその行動で推し量るしかない。文明という恐るべき強敵を前にして一歩も退かないその誇り高き姿。最高にかっこいいのでほんとみんな読んでほしい。そして蟹の虜になってほしい。

東京はメチャクチャにされる

そんな感じで物語開始前からメチャクチャだった東京はさらにメチャクチャになる。瘤久保先生はアトラス社屋内のガイア教会で産まれ落ち、金子一馬先生の乳で育った男であるがゆえに、メチャクチャにされるトーキョーは言ってみれば実家のようなものだ。そんな瘤久保先生がついに自ら描いた東京の戦いは割ととんでもないというか、あっこれアニメ化する時絶対なんらかの力働くぞ!みたいなヤバさもあり、とてもテンションが上がった。

とにかく「このライトノベルがすごい!」ダブル受賞は伊達ではないので、今回も強く強くビスコをお勧めする。4巻もまた夏には出るそうなので、どうか瘤久保先生は身体にだけ気をつけて頑張っていただきたい所存ですよ。錆喰いビスコはいいぞ。


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