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ゲットバック・マイ・ライフ(完結)

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なんらかの弾みで異世界に迷い込んだおっさんが人生を取り戻す話です。
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#ゴア

ゲットバック・マイ・ライフ

ゲットバック・マイ・ライフ

銃声がした。目の前の怪物が破裂し、臓物が容赦なく俺に降りかかる。最悪だ。俺は列車内の床に這いつくばり、怪物を撃ち落とした存在に目を向けた。女だ。金髪の青い眼をした女が巨大な銃で怪物を駆除していた。可憐だった。

「間に合ってよかったです」

怪物共を始末した女が手を差し伸べてくる。アニメのような声だ。その手を掴み起き上がる。こんな小さな指であんな銃を振り回しているのか。

「あなたを迎

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ゲットバック・マイ・ライフ 3

ゲットバック・マイ・ライフ 3

承前目の前に現れた鉄塊は巨大ロボのごつい脚。お台場ガンダムぐらいあるが、もっとゴツゴツした悪そうなやつだ。そいつが空から降ってきて、カレンを押し潰したのだ。支えを失ったカレンの腕が重みで地面に落ちるより先に俺は後方に吹き飛ばされた。

尻餅をつき、後頭部をぶつけ、カレンの腕の付け根が顔面を殴打した。ぐにゃりとした肉の感触。肌を突く砕けた骨片。凄まじく鉄臭い血の匂い。パニックにならない方がどうかして

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ゲットバック・マイ・ライフ 4

ゲットバック・マイ・ライフ 4

承前

GRRRRRRR!!!

犬悪魔に恐れをなして逃げ出した俺はあっさり追いつかれ、駅のホーム上でもみ合いになり、現在そのエゲツない牙を備えたアゴを両腕で必死に抑えているところだ。

犬悪魔はバカの一つ覚えみたいに俺が抑える頭を振りほどこうとしたり、そのまま噛み付いて来ようとしてくる。その度饐えた匂いの唾液が飛び散り、俺の心の正気を削る。前脚や後脚も俺の身体をでたらめに打ち付けられる。畜生。こ

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ゲットバック・マイ・ライフ 5

ゲットバック・マイ・ライフ 5

承前「…この外道が!」

迷彩服の男が大声で罵倒する。投げ飛ばされた白衣の男は呻く。既に血まみれだ。

白衣の男は逃げ出そうとするが、周りは武装した迷彩服に囲まれていた。白衣の男は、何か許しを請うような動きを取るが、迷彩服の隊長と思しき男は取り合う様子も見せず、拳銃を白衣に向ける。

「アノロックには相応の末路だ。死ね。」

そう宣言し、乾いた銃声が響く。白衣の男は糸が切れたように倒れ伏し、こめか

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