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合意形成のプロセスをデザインする。それがこれからの「アートディレクター」の仕事

企業のマーケティング支援/デザイン支援を行う会社・インフォバーン。そこで働く社員を紹介していきます。

プロジェクトのビジュアルを統括する「アートディレクター」。手がける領域はビジュアル・デザインにとどまらず、企画やスケジュール進行、チームのマネジメントなど多岐にわたります。
業界や会社によっても仕事内容が異なるアートディレクションですが、インフォバーンのアートディレクターはどんなプロジェクトに携わり、どのような仕事を日々行っているのか。インフォバーンでアートディレクターとして活躍する上野菜美子さんに話を聞きました。

※この記事は2022年に取材・制作されたものです。

長所となる「プラスアルファ」を求めてインフォバーンへ

ーー上野さんがデザイナーになったのは、インフォバーンに入社する前からですか?

そうです。キャリアのスタートからデザイナーでした。まずは地元である名古屋で、設立間もないWeb制作会社にデザイナーとして入社しました。名古屋なので、自動車関連の仕事が多かったですね。

東京への出張も多くて、東京ビッグサイトで行われていたショールームのブース・デザインなどをやっていました。出張が多くて仕事も大変だったので、2年目ぐらいに「出張しないで済むように」と思って、東京の会社に転職しました。インフォバーンの前職にあたる会社ですね。

ーーあまり聞かない転職の理由ですね。

そうですね。そこでもデザイナーとして働きました。たしか5年くらい働いたと思います。2社目にいて転職したいなと思ったのは、Webサイトの外側のデザインだけではなく、中身のデザインもできるようになりたいと思ったからです。

Web制作会社として、そこで働くデザイナーとして、プラスアルファで何かしらの長所が必要だと思っていました。私が2社目にいた会社では、そのプラスアルファの長所を見つけることができなかったんですね。
インフォバーンに転職したのは、「コンテンツ」という軸がしっかりある会社で、ここで働けば自分の新しい強みを獲得できると考えたからです。

インフォバーンのことは、もともと『WIRED』(※インフォバーン創業者・小林弘人が日本版を創刊した雑誌)を読んでいたので、そのつながりで知っていました。『WIRED』の編集後記で小林さんや木継さん(※インフォバーンフェロー)のことも一方的に知っていたので、「私が知ってるから絶対マッチするでしょ」というくらいの気持ちで応募した気がします。

デザイン領域の潮流は、「合意形成のプロセス」をデザインすること

ーーポジティブですね(笑)。素人質問で恐縮なのですが、デザイナーとアートディレクターの違いは、前者が手を動かしてデザインをするのがメインで、後者がそれよりも大きな視点でディレクションする、というとらえ方であってますか?

はい。アートディレクターの指示に従って、デザイナーがデザインしていきます。デザイナーだったころ、アートディレクターの確認を取らずに進めてしまって、めっちゃ怒られたこともあります(笑)。

ただ、いまはそういった上下の関係性が変化してきている流れもありますね。クラウド上での同時編集など、ツールの進化によって「みんなでつくる」ということがやりやすくなったからです。AさんがつくったあとでBさんがチェックする、という流れではなく、AさんとBさんとCさんが一緒に触れてつくっていく、というようなやり方も増えてきている印象です。

アートディレクターの仕事については、会社によっても違うと思うんですけど、インフォバーンの場合は制作を外部のデザイン・パートナーに発注したときの品質管理と、クライアントにデザインの意図を説明して説得する、ということが求められます。

ーー外部とのコミュニケーションが大切な仕事なんですね。

そうですね。具体的な仕事としては、企業のインナー・コミュニケーション施策をお手伝いする仕事があるのですが、その場合はクライアント企業の社員の方々にたくさんインタビューをしていきます。

そこでのインタビュー自体が「素材」となります。その素材をもとに、言葉やイメージを抽象化して、何かしらのビジュアルやUI、機能に落とし込んでいく。
「こういうふうなビジュアルが欲しいです」と言われてつくるのではなく、対話を通してどのようなアウトプットにするかを自分で探っていく。そして、クライアントを含めたプロジェクトの合意形成にいたるプロセスもデザインする、といったことをやってます。

プロジェクトによっては、誰の合意を得てどう進行していけばいいかが、はっきり決まっていないものもあります。その状態で進めると、優れたデザインを提出したとしても、参加者が納得することができず、「私は違うと思ってたのに」となりがちです。

そうなる理由は、きちんとした合意形成のプロセスがデザインされてないから。デザインの力で合意形成をしていくことが、インフォバーンのアートディレクターとして求められるスキルだと思います。

▲グループ会社・メディアジーンのデザインも手がける上野さん。営業や編集者など、多様なステークホルダーとどんなアウトプットが必要か、どんなメッセージを伝えたいか、合意形成しながらつくられています。

ーー実際にインフォバーンにアートディレクターとして入社すると、どんな仕事をすることになりますか?

先ほどお話ししたような、合意形成にいたるプロセスのデザインをお願いできればありがたいですね。そのために、ただデザインするのではなく、クライアント企業の担当者とコミュニケーションを取っていただく機会も多いと思います。クライアントとの会議にも参加したほうが、プロジェクト理解の解像度が上がり、アウトプットの精度も高くなるので。

会議に参加する際は、参加者の発言をまとめたり可視化したりしながら、交通整理的な役割を担うこともあります。これも合意形成にいたるプロセスのデザインですね。ただこれは、インフォバーン特有の手法ではなく、他社のアートディレクターさんもやっていることだと思います。デザイン領域の潮流かなと。

「探究心がある人」はインフォバーンに向いている

ーー上野さんが考える「こんな人はインフォバーンに向いている」という人はどんな人でしょうか?

ポインティ(※株式会社ポインティのCEO——チーフ・エロデュース・オフィサー――である佐伯ポインティさん)。

▲佐伯ポインティさんに画像をご提供いただきました。

ーーえ?

インフォバーンで働く100人くらいを重ねたら、ポインティになると思います。男性なら。

ーー温和な愛されキャラって感じですかね。だとしたら、なんとなくわかります(笑)。それ以外だと、どんな人が向いてそうですかね?

性格は探求心が強いほうがいいですね。具体から抽象にもっていくことが、いまのデザイナーのキャリアとしても潮流ではあるので、そうした領域を探究する気持ちがあるほうがいいと思います。

インフォバーンは編集出身の人が多いですが、デザイナーも編集的思考というか、そういった思考力、方向性があったほうが絶対にいいとは思います。逆に「自分のやる範囲はここまで」と、自分の考える範囲を区切る人は向いていないのかなとも思いますね。

ーーちゃんとした回答があって安心しました(笑)。社内でも、デザイナーのスキル向上のための勉強会などはあったりするんでしょうか?

勉強会っていうほどのものではないですけど、私が管理人をしているSlackチャンネルがあります。そこで、参考になるデザインの記事などがあれば流すようにしています。一昨年くらいには勉強会も開催していたんですが、最近はやれてないので、ご入社いただく方がいたら一緒にやってみたいですね。

ーー真面目なお話ばかり聞いてしまったので、ちょっと関係ない話を最後に聞きます。上野さんがインフォバーンで働いてきたなかで、一番思い出に残ってることってなんですか?

社歴が長いので、逆にわからないですね……。つい最近の話だと、小林弘人さんと「Netflix」のドラマの趣味が近いので、小林さんが観ておもしろいと言っていた『ビリオンズ』をいま観てます。インサイダー取引を追う検事の話です。

これを観てておもしろいなと思ったのは、検事もトレーダーも誰も浮気しないんです。男性が多めの世界観でありながら、愛妻家という設定がいまっぽいなって思いました。

ーーなるほど。『ウルフ・オブ・ウォールストリート』みたいな作品とは、ある種真逆の世界観なんですね。

そうそうそう。どうしよう。ただの「Netflix」の話になってしまった。

ーーいいじゃないですか。では、ポインティさんに似ていて、探究心があり、「Netflix」がお好きな方は、ぜひインフォバーンにいらしてください! 上野さん、本日はありがとうございました。

ありがとうございました。


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