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七月-記録-


なつかしいはずの思い出せなかったこと。


数ヶ月前に書いたnoteを読み返す。
綺麗にまとまっている。心の声を再確認する。
体から抜け落ちた。もう声を上げていない。
安心した。手離せたんだ。
過去になっている。わたしは今を生きている。


いや本当か。書くという行為が証明しているじゃないか。
心にまかせた言葉。
湧いてくるなにかを止められずに文字を打ったあの日。
わたしの中ではなにが起きていたんだろう。

散々になるほど頭を悩ませた諸所のできごと。  
無を感じたいのに溢れ出る音。
止められないから書いていたのかな。


感じたはずの感情にまた出会った、七月。


毎日流れてくる「過去に生きるな」というワード。
過去から離れられない自分。
書くことで今に集中し、気を逸らして、整理した。

激しい過去の記憶は今に遠く、
なにを感じていたのかさえ今の私には分からない。

なにが大切だと思っていたの。
なにをそんなに怒っていたの。

過去に伝えてみても、もうなにも聞こえない。

音もない。色もない。映像も思い出せない。

やさしい目をしていたあの人が、
やさしい眼差しで微笑みかけてくれた私の記憶。

忘れたくないはずだったのに、もうわからない。
時間が止まったままの彼、私が想うあの人はもういない。

黄昏

誰そ彼


記憶の中の彼はもう存在しない。

なにかが少しずつ変化して、交じり合って、溶けていった。

流れゆくときの中で止めたくなかった記憶の不自然さ。

ぼんやりとしている。

体の中から消えていく。

なにも感じない。

やりなおしたいと泣きあぐねた夜も、
変わってくれるかもしれないと期待を添えた朝も。


なんだかそれらが最後の砦のようで。
数年かけて築いたその塔は崩壊も目前だった。


消えていくことにかなしさを感じない。
むしろこの感覚が自然だったのではないか。

あんなに望んでいたことも今や無以外になにもない。

過去の引き剥がしは不意に訪れるんだね。
不思議なもので今とっても清々しい。


同時に新鮮だった自分の中に誰もいないという感覚。

存在しなくてもいいという確かさ。
自分さえいればいいという自身への信頼。


これが無ってものなのかな。
まだそれもあんまりわかんないや。
でもとても気持ちいいよ。

はじめての感覚だった。

山の頂上から景色を眺めるのに似ている。
いろいろ小さすぎてわからないこといっぱい。
そして次はどうしようかなって。
おいしい空気をたらふく吸って、たらふく吐く。
贅沢な時間に残された少しの余韻。

波のように流れていこう。
今なら自然に腑に落ちる。


この世で変わらないものは「変化」だ。


「変化」は変わらない。

「変わり続けること」は変わらない。


そろそろあなたに手を振る時間が訪れたんだ。
終わりの音はもうとっくに鳴り響いていて、
枯れた季節と少しずつ変わっている日常に戻るよ。

馴染んでいく人並みと生活の狭間で
あたらしい波に喜んで乗れるように


2024.8.1



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