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春の記憶にあなた

季節を重ね、春を待った。

春めいたあの日、私はあなたに会いに行った。


ほんとうに優しい目をしている。


それは今も変わらずで、なんだかとっても嬉しくなった。

穏やかに時が流れ、心があったかくなる、
日常の花束みたいな人。


寄り道をして、
通れない道が次第にわかるようになった。

通れないと思っていた道は、
いつのまにか通れるようになっていた。


でも、ページの続きはめくれないでいた。 

最後の最後、なにも伝えないまま、
風向きを読むのに必死だった、そのまま。
大切なものが目に映らなくなっていた。


私に背負わせないようにって、
語らない言葉の中に隠れていたのかな。

抱えきれない何かに押しつぶされているように見えた。
だからこそ話してほしかった。

話さない人にできることは、
ただ見守ることだけ。

変わってゆくものに身をまかせ、
わたしの私を生きる。

どこかであなたの影を追いながら、
私を生きた先、あなたがいればいいのに。

でも私を選んで生きて、となりにいなくなっても、
それはかなしいことなんかじゃない。

別々の道を歩もうと、
少々、交わり合える道が残されているのなら、
その道をいっしょに歩いていこうよ。

道はひとつなんてだれが決めたんだろう、って
多分だれも決めていない。決めているのは自分自身。

囚われた枠組みの中にいる。領域の外に出てみたら、
今よりもずっと自由に、またすぐに会いたくなるよ。


ありのままを伝えられたら、それでよかった。

どう伝えようとか、どうしたら伝わるかなとか、
そんなものは二の次でよかった。

感情の機微をまっすぐ伝えられたなら、あとは風まかせ。

来る化学反応に備える必要はもうない。

目をみて正直に話せたら、それだけでいっぱいなんだ。

やさしい目で迎えにきてくれるその瞬間、
事態のほとんどは解決したようなものだ。


湧きあがる言葉は止めないで、次はあなたに会いに行こう。 


サイダーのように言葉が湧き上がる
あなたに伝えたいんだ
ありのまま でいいじゃないか
大切な想いは 絶対消えない

never young beach
「サイダーのように言葉が湧き上がる」

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