子ども
子どもはお迎えが来るのを待っていました。
おともだちはママやパパ、じいじばあばに手を引かれ嬉しそうに帰っていきます。子どもはいつも最後の一人か二番目に帰ります。
いつもアンパンマンを見て迎えに来るのを待っています。
「これを見るの何回目かなあ」
「見飽きたねえ」
いつもの最後の一人か二番目の子と話しながら待っています。
「お迎えきたよ〜」
今日は最後の一人になりそうです。もう何度目か分からないアンパンマンからそっぽを向けて
「先生、お迎えまだかなあ」と聞いてみます。「きっともうすぐ来るよ」
先生の言うとおり、しばらくすると親が迎えに来ました。
「ありがとうございました」
とお礼を言い手を引かれておうちに帰りました。スーパーで一緒におかずを選んで炊いてあるご飯と一緒に食べます。
「いただきます」
一緒にご飯を食べるこの時間が子どもは好きでした。
「おいしいね」「うん、おいしいね」
「ごちそうさまでした」「ごちそうさまでした」
子どもはまだ小さいので親と一緒にお風呂に入ります。親も子も湯ぶねにザバーっと浸かり気持ちよくなりました。親の疲れている顔もいくぶん明るくなったようにみえました。
「今日はどうだった?楽しかったかい?」
「楽しかったよ」
本当はつまらなくも楽しくもなかったけれど、そう言うと親はなんだか嬉しそうな顔をするので子どもも嬉しくなりました。
お風呂から上がって髪をかわかし合ってサッパリして、一緒の部屋で眠るのでした。
「ねえ、今日はどうだった?楽しかった?」
子どもが親にたずねると
「そうだねえ…」
と何とも言えない顔になって子どもの頭をなでて胸をとんとんととんとんと心地よく叩いてくれるのでした。いつの間にか二人ともぐっすり眠りました。
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