yuko

訪れた都市の思い出をできるだけ丁寧に記録しています。

yuko

訪れた都市の思い出をできるだけ丁寧に記録しています。

最近の記事

ウルルとアボリジニ #03 文化センター編

国立公園へ到着後、私たちはまずウルルのすぐ側にあるウルル・カタジュタ文化センターを訪れました。 この施設には、ウルルやアボリジニの歴史文化について学べるパネル展示、ミニシアター、アートギャラリー、そして簡単な休憩所や売店もあります。これから始まるウルルのトレッキングやキャンプに向けて、まずはここで学びを深め、英気を養うのです。 「地球のへそ」などとも呼ばれるウルルは、ここノーザンテリトリー州、ウルル・カタジュタ国立公園内に存在する巨大な一枚岩です。 1873年に当時オースト

    • ウルルとアボリジニ #02 バス旅編

      翌朝、宿泊したゲストハウスの前でツアーのバスを待ちます。 辺りはまだ暗く、上着を羽織らなければ肌寒さを感じるほどでした。砂漠のほぼ中央に位置するこの街では日中と朝晩の寒暖差が激しく、1日の気温差は約20℃にも及びます。日中40℃、朝方20℃、慣れない私には風邪を引いてしまいそうな気温差です。 朝日よりもだいぶ先にやってきたのは、これから始まる片道約5時間の旅路にはどこか頼りない、約20人乗りのマイクロバスでした。 使い古されたその車内に乗り込み一人席へ腰掛けると、少しひんや

      • ウルルとアボリジニ #01 アリススプリングス編

        (2017-11) 子供の頃、時が経つのも忘れるほど没頭した小説がありました。 すっかり日も暮れた2階の小部屋で1人、電気もつけず、微動だにせず、物語の世界から全く戻ってこようとしない私。それを見兼ねた母は「やけん晩ごはん」と一言、部屋の電気だけを点けて、また階段を下っていきます。 私が夢中になったのは朔太郎とアキの純愛物語。 しかしまだ愛も恋も分からぬ私が思いを馳せていたのは、オーストラリアにあるというアボリジニの聖地の方でした。世界にはアボリジニと呼ばれる人達がいるん

        • 正月のカザフスタン#04【完】

          さあ着いたよ。 運転手のおじいちゃんが車を降ります。 そこは山の中腹にある駐車場。真冬の夜はとてもよく冷えます。私も早速車を降りて辺りを見渡すと、少し先にうっすらと光を放つプレハブ小屋が見えました。その小さな建物を目指し、2人並んで歩き始めます。 途中あまりの寒さに私が日本語で「寒いね〜」と嘆くと、彼も身体をブルっとさせながら「サムイネ〜サムイネ〜」と愉快に繰り返しました。 その後、彼も私を真似るように何らかのカザフ語を呟くので、私も彼に続けて「サムイネ〜」と同じテンショ

        ウルルとアボリジニ #03 文化センター編

          正月のカザフスタン#03

          こうして運転手さんとの2人旅が始まりました。 アハメドが車を降りた後、私は後部座席からより車外の街並みが楽しめる助手席へ移ります。 この車窓から、一体どんな景色を目にすることができるのだろう。期待に胸が膨らみます。 そんな私とは対照的に、隣に座る運転手さんはどうやら少し無愛想。 早速私が行きたいと思っていた場所の写真と地図を見せると、彼は表情を変えないままスマホの画面を覗き込み、その中から年始のこの日も楽しめる場所をいくつか指差してくれました。 そして彼はどこか気まずそう

          正月のカザフスタン#03

          正月のカザフスタン#02

          車内でアハメドは自身の話を聞かせてくれました。 職業はなんと、サッカーウズベキスタン代表の関係者。数日後に迫った「AFC U-23選手権タイ2020」へ前入りするため、まさにウズベキスタンからタイへ向かう途中のトランジットでした。 現地到着後は、スタジアムの雰囲気や設備、そして大会に出場する他国の選手に関する調査・分析を行う業務にあたるそう。 サッカーにはさほど詳しくない私ですが、自身の仕事に誇りを持ち、面白いよと語るアハメドの姿はとても魅力的に思えました。そして彼の持っ

          正月のカザフスタン#02

          正月のカザフスタン#01

          (2020-1) 突然沸き起こった拍手喝采。 ある人は歓声を上げ、指笛を鳴らし、赤ん坊から老夫婦まで、皆一斉にその場を湧かせます。 国際線にしてはやや短い1時間半のフライトも、旅の途中には貴重な休息時間。もう少しゆっくり寝かせてほしいと思いながら重たい瞼を開けると、滑走路の向こうに「アルマトイ」の文字が見えました。 カザフスタン最大の都市に到着です。 なぜロシア系の国々には、飛行機の着陸時にこのように盛大な拍手をする習慣があるのでしょうか。 確かネパールでも同じような経

          正月のカザフスタン#01

          ウズベキスタンの年越し#05【完】

          自然と目が覚めました。 スマホを覗くと23時過ぎ。 もうルスタン22時に起こしてくれるって言ったやんと、少しだけだけムッとして背伸びをします。 ここはルスタンの部屋、沢山の本がありました。 お世話になっている人の部屋を観察するのは良くないと思いつつ、これまで男性の部屋に数える程しか入ったことのない私はついキョロキョロしてしまいます。 日本の漫画がたくさんありました。そしてさまざまな種類の恐竜のフィギュアも。小さい頃からこういう物が好きな男の子だったのかなと勝手に想像すると、

          ウズベキスタンの年越し#05【完】

          ウズベキスタンの年越し#04

          ようやく着いたご自宅は、近くに大統領も住んでいるという閑静な住宅街にありました。 車を降りると、辺りがまた一段と冷え込んでいることに気付かされます。 アパートの1階、少し見上げた位置にある小窓からはオレンジ色の灯りがぼんやりと洩れだし、私たちを照らしてくれました。恐らく中には数人いるのでしょう、楽しげな笑い声が玄関の外まで聞こえてきます。 「ようこそ僕の実家へ」 半歩先を歩いていたルスタンはそう言って扉を開け、私を優しく案内してくれます。 そこは玄関とは別に設けられたキッ

          ウズベキスタンの年越し#04

          ウズベキスタンの年越し#03

          決まったら話は早い。 腹を括った私は彼と一緒にホテルへ戻って荷物をまとめ、タクシーで彼のご実家へ向かいます。 とは言ってもウズベキスタンにはタクシーの概念はありません。いや観光客用にはあるのでしょうか?詳しくは分かりませんが、現地の人たちは皆、道行く車に適当に掌を見せ、止まってくれたドライバーと料金の交渉をするのが一般的です。 しかしこの日は大晦日。 日中はすぐに見つかっていた車も、夕方を過ぎると足早にそれぞれの家へ帰っていきます。辺りがすっかり暗くなる中、私達はようやく

          ウズベキスタンの年越し#03

          ウズベキスタンの年越し#02

          午前10:00。 ホテルでルスタンの迎えを待ちます。 少し硬めのソファに座って窓の外を眺めていると、ホテルマンのジャモルが少しはにかみながら自慢のカプチーノをサービスしてくれました。 昨晩、私のサマルカンド行きの鉄道予約を手伝ってくれたジャモル。見慣れないキリル文字の並ぶ予約サイトに苦戦していた私を、彼は快くサポートし、チケットの手配までしてくれました。 そしてその後も、彼はやや興奮気味に、夜更けまで色々な話を聞かせてくたのです。 後半は半分寝ながら受けた恋愛相談だったの

          ウズベキスタンの年越し#02

          ウズベキスタンの年越し#01

          (2019-12) ロシアからの機内で「May I help you?」と声をかけてくれたのがルスタンでした。 アジア圏へ旅行する際には、荷物をバックパック1つに纏めておくのがマイルール。機内へ全てを持ち込むことでロストバゲージを防げるほか、空港内の手続きに無駄な時間を使わなくて済むのがその理由です。そして何より、身軽に移動できる快適性と解放感も、ここでは欠かせない旅行の醍醐味です。 その45ℓが身長156cmの私には余程大きく見えたのか、通路を挟んだ隣に座っていた彼は

          ウズベキスタンの年越し#01

          noteはじめました!

          文章を書く練習をしたくて、 noteを書いてみることにしました! 元々、文章を書いたり何かを纏めたりすることは好きですが、プライベートな出来事を記録していくのはどうも苦手。 考えすぎてしまう性格のせいか、日記や旅行記をつける行為によって、私が毎分毎秒感じている複雑な感覚や絶えず浮かび上がっている考え達が、誰かの目を気にした陳腐な文章の中に閉じ込められてしまう気がして怖いのです。 しかしだからといって、この瞬間の記憶が時間の経過のともに風化され、消えてしまうのだけはどうして

          noteはじめました!