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ソトガワの私。ウチガワの私。

「あァ、あの子結婚したんだ?」

羨望の気持ちを心の中で
握りつぶして、鼻で笑う。

マスクが息苦しい。

相変わらず別れないあの子の
彼氏との愚痴をつまみに、
今日も飲めないお酒を流し込む。

見た目は、
凛とした、仕事を頑張る強い女性。

そう見えるように生きてきた。
どんなことがあっても、
人前で泣き叫んだり、
お酒を飲みすぎてトイレを占領したり、
誰かに迷惑かけて
タクシーに押し込まれて帰路へなんて
そんなこと、人生で一度もない。

それを武勇伝のように語る人を軽蔑して、
誰からも愛される道ではなく、
そつなく誰にも嫌われない生き方を選んだ。

宙ぶらりんな関係が嫌だ、と
一蹴して
元彼の悪口を言う私は、
未だにあの人からもらった
ジェラピケのパジャマを重宝してるし、
時々インスタで名前を検索してしまう。

結局、甘ちゃんなのである、わたしは。

私が思うよりも、
わたしはずっともろくて、
他責でいたくて、
できれば何もしたくない、
誰にも嫌われたくない、
ううん、誰にでも愛されたい。

いつだって夢を見て、
いつだって、私は私が一番かわいい。
誰かを助ける人生よりも、
自分だけを守って過ごしたい。

そんなふうに、
自分に背いて生きてきて、
結局残るのは、
いい印象のソトガワの私と、
どんどん卑屈になるウチガワの私。

どうしようもなく苦しいこの気持ちを、
また私は心に刻んで、
明日も、悲劇のヒロインみたいに
自責で生きていく。

ソトガワも、ウチガワも
愛して欲しいと願いながら。

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