マガジンのカバー画像

筆箱の中のペンシャープナー

143
スキの中でも好きなもの。くりかえし読みたいもの。読むと書きたくなるもの。書く前に読む、私のペンシャープナー。
運営しているクリエイター

#小説

【短編小説】てのひらの春

このジャンケンに勝ちたい。 祈る思いで、握った右手を左の手のひらで包み込んだ。 目の前で…

さくさく
10か月前
306

作品を「自分の中に棲まわせる」に共感した、「むしろ自分が棲んじゃう」派の私。

先日、teapotさんが投稿されていたこちらの記事を読んで、首がもげそうになるくらい頷いてしま…

返して、僕らのスーファミ。

市民プールへ、20インチで駆ける。 河川敷の草花は青嵐と共にささくれ立ち、僕たち二人はギヤ…

【小説】 住所

 妻は、僕のストーカーだった。  僕は三十代のころ、ラジオパーソナリティの仕事をしていて…

坂 るいす
3年前
91

【祝】君と僕の、ときめき大作戦【編集部のおすすめ選出】

 今夏、久々に東北の実家へと帰省した僕が、高校卒業まで使っていた四畳半の自室で偶然発見し…

こどもの恋は、乾いてる。

「ねえ、矢島。幼稚園のころにした約束、覚えてるよね。待ってるんだけど。」 授業が終わり、…

136

[東京90's 下北沢編]まぼろしと生きる町

 この町に目抜き通りなんてものはない。駅前から無秩序に伸びる道はどれも車がすれちがえないほどに細く、どの通りも似たような商店街だ。どれも少しずつカーブしていて、土地勘が無いと自分がどの辺を歩いているのかあっという間に見失う。そんな通りの一つに面した半地下の料理屋におれたちはよく集まっていた。まだ一度も注文されたことのないものもあるんじゃないかと思うほど大量の料理が並ぶメニュー。毎回初めてのものを注文した。  思えばおれたちは不思議な顔合わせだった。バンドをやっているおれ、劇

空とネコ

オレンジ色のカーブミラーの真下、田舎特有の煙った匂い、家々を線結ぶ郵便バイクの音が響く、…

173

エモい文章の作り方

エモい。この不明瞭な形容詞が定着するなんて思わなかった。 エモさとは何なのか? Wikipedia…

嘉島唯
6年前
2,399

8分間のサマー・トレイン #あの夏に乾杯

いつもと同じ夏が、過ぎ去ろうとしていた。 量販店で買ったマキシ丈ワンピースが暑さで足にま…

806

雨の夜のキャバクラと焼き鳥と

6月の金曜の夜、上司にスナックとキャバクラが合わさった様な店に付き合わされる。キャバクラ…

281

書くプロになりたければ、読むプロになれ!

一流のマンガ家や小説家には、共通点がある。 それは「作品を読む力」が圧倒的に優れているこ…

500

『観察力』を鍛える唯一の愚直な方法

一流のクリエーター、経営者は、みなセンスがある。 では、「センス」とは何か? それは「観…

500

本当の「優しさ」とは何か?

本当の「優しさ」とは、一体何なのだろうか。 優しさについて考え始めるキッカケは、『勝ち過ぎた監督』を読んだことだった。 これは、北海道勢初の甲子園優勝に駒大苫小牧を導き、そこから三連覇同然という高校野球史上最も輝かしい成績を残した香田監督を追ったノンフィクションだ。 香田監督は、僕から見ると、とてつもなく優しい。 高校球児たちの夢は甲子園に行くことだ。その目標をサポートすることが、監督として最も優しい行為なのだとしたら、香田監督は球児たちにとって優しい人だ

有料
500