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rakugaki_33「美術館へ行こう!【東京編】国立新美術館(前編)」

国立新美術館

私には「美術鑑賞」という唯一の趣味があります。その「趣味」にもブームがありまして、第一次ブームが1985年~1987年。
第二次ブームが2009年~2018年。
第一次ブームの1987年から第二次ブームがはじまる2009年まで20年以上の月日が経っていますが、その間にも何回かは美術観賞をしています。
ただ「ブーム」の期間は、集中的に「美術館」に出かけているので「ブーム」なんですね。
このブログでは、私の大好きな「美術館」に出かけて、観賞した「美術展」の感想とともに、「美術館」の魅力が一緒に伝えられればなぁと思っています。

「国立新美術館」は国立国際美術館以来30年振り、2007年に東京・六本木に新設された国立の美術館です。
私の現存する記録の中で、現在まで「国立新美術館」の企画展に出かけたのは14回です。
これは今まで鑑賞してきた「国立新美術館」の感想ブログ(前編)となります。


1)2009年9/25-12/14「THEハプスブルク」

THEハプスブルク

国立新美術館のTHEハプスブルクを見に行ってきた。
9月25日から開催だからまだ10日しかたってないホカホカ状態?
12月14日までやってるし、来年は京都文化博物館でもやるみたいだから焦らなくてもいいんだけど、見れるチャンスの時に見とかないとね。

美術館は駅から直通、天井高くて綺麗でした。
で肝心な展覧会は一言で言ったら贅沢な感じ!
ベラスケス、ルーベンス、エル・グレコ、レンブラント等、時代を越えて一同に介したみたい(一人一人の作品数は少ないけどね)。
時間さえあれば、いつまでもあの空間に浸っていたいと思いました。


2)2010年1/20-4/5「ルノワール 伝統と革新」

ルノワール 伝統と革新

ルノワールです。
学生時代、好きじゃありませんでした(好きじゃないふりしてた?)。
日本人が大好きなルノワール。誰もが好きなルノワール。
いかにも可愛らしくて、人間の本質に迫ってないというか、印象派そのものが軽いというか・・・。
可愛い、綺麗の価値観を否定していたんだと思います(ミーハー拒否というか、そういうのは芸術じゃないみたいな)。
その後商業デザインとかに触れる機会が多くなり、今では可愛い、綺麗で何が悪い!って感じですが。何か心の枷が取れたんでしょうね。

「THEハプスブルク」以来の国立新美術館です。
先日の「ボルゲーゼ美術館展」が思った以上に心を打たなかったので連日の美術館巡りとなってしまいました(勿論たまたま時間がとれたからですけど)。
第一印象は明るい!眩しい!って感じです。
先日17~18世紀の全体的に暗~い宗教画を見た後ですから、尚更そう感じたのかも知れません。
とにかく生きる喜びに満ちている明るさなんですね。
ルノワールは「幸福の画家」と言われているそうですが、まさしくそう、納得してしまいます。
期待していた以上に可愛かったです。明るかったです。
絵画がこんなに明るく眩しいものだと改めて気付かされました。
印象派って聞くと、ああ、印象派ねってぐらい、絵そのものに対峙してなかったのかも知れません。
なんだかモネやマネの絵をもう一度真っ正面から見てみたい感じです。
そういえばマネ展、三菱一号館美術館で4月にあるみたいです。


3)2010年5/26-8/16「オルセー美術館展 2010 ポスト印象派」

オルセー美術館展 2010 ポスト印象派

今日こそ行こうと思っていたオルセー美術館展。
オルセー美術館展に行かれた方の情報だとチョー混んでいるとのこと。
今日はどうなんだろうと、少々ビビりながら入りました。

あぁ、混んでる、確かに混んでました。

でも昨年の9月に行った藤城清治~光と影の世界展~(京都文化博物館)よりはすいている。
あの美術展は人が凄かった。 美術館から人が溢れてたもんね。 中に入っても通路も人で溢れている始末だった。 あれは人で酔ったなぁ。
だから、あの時よりはマシ(あくまでもマシなだけなんだけど) 。

こういう時はよくやるんだけど、まずはさっと全部の絵を遠巻きに観て廻る。 で、また遠巻きに観ながら入口まで戻る。
この繰り返しをしながら、人溜まりが少ない絵に近付いて観る。
ボクシングでいうヒット&アウェーですな(ボクシング知らないけど)。 え~、蝶のように舞い、蜂のように刺す。
この作戦はフットワークが大切なため、後で非常に足腰にきます。 (危険なワザなので、良い子のみなさんはマネしないように)

そんなこんなで疲労困憊しながら観ました。

圧巻なのはゴッホとゴーギャンの部屋。 向かい合わせに、それぞれずらりと並べられている。
ゴッホの絵、輝いている(「星降る夜」はうわさ通り素敵) 。
ルソーの絵も「戦争」と「蛇使いの女」の2点なんだけど素敵だった。
あれだけの数のセザンヌの作品に触れられたのも良かった。
モネの「ロンドン国会議事堂、霧の中にさす陽光」も素敵だった・・・って、もうきりがない。
これだけの名画に囲まれて、ゆったり鑑賞出来ない苛立ちはあるものの、いやー、やはり凄い美術展でした!

ゴッホのあの絵の輝きは、図録では表現出来ないだろうなぁと思いながらも図録を購入して帰りました(案の定、本物の輝きの再現は無理でした)。


4)2010年10/1-12/20「没後120年 ゴッホ展 こうして私はゴッホになった」

没後120年 ゴッホ展 こうして私はゴッホになった

先週末の3日間、ディズニーリゾートで遊び倒したツケが回って来た。
完全に体調を崩してしまった。微熱、鼻水、頭痛が少々。それを昨日、池袋や新宿を1 日中歩いたせいで、更に悪化してしまった。
朝起きると一気に目に出てしまっていて、両目が充血し腫れ上がってしまった。いわゆる結膜炎で、目がほとんど開かない。
品川駅近くに眼科を探し出しに行く。駅近にあるだろうと高を括っていたら、案外眼科はない(歯科は結構あるのに)。
病院を探し(1時間程彷徨う)、ようやく見つけ、病院で待たされる。これで今日の午前中を潰してしまった。しかし、病院の目薬ゲット。
こんな目がろくに開かない状態で、美術展に行くのもどうかと思うが、行けるときに行っておきたいし、随分前からこの美術展は行こうと決めていた。

なので行ってまいりました、国立新美術館。
凄い人だかりとは聞いていたが、はたして実態は・・・・・・凄い人だかり~。
今年の6月に行った「オルセー美術館展(同美術館)」より混んでいる。
いつもなら、蝶のように舞い、蜂のように刺す、ヒット&アウェー作戦に出るのだが、今日は体力的にも無理。
遠巻きに観ながら、2往復で諦めました。残念だなぁ。。。
作品数も多いし、元気でじっくり観れたらとても楽しめると思う。
「アルルの寝室」を実際に再現したり、展示としても凝っていたと思うし。。。
しかし、この後もやらなきゃいけないこともあるし、今ここで全ての体力を奪われる訳にはいかないのだよ。

泣く泣く図録を購入して(図録は2種類、2,200円の通常版と3,000円の限定版。表紙が違うだけで中身は同じとのこと。勿論、通常版を購入。)退散いたしました。
混み混み美術展は元気な時に!
後で図録を片手に、一人美術鑑賞を楽しもう。


5)2012年4/25-7/16「大エルミタージュ美術館展 世紀の顔 西欧絵画の400年」

大エルミタージュ美術館展 世紀の顔 西欧絵画の400年

国立新美術館です。
なんと2010年末のゴッホ展以来。
思った以上にご無沙汰様なのです。
この大エルミタージュ美術館展は来週の3連休で終了なので、行くとしたら今しかないかと。

エルミタージュってロシアの美術館なんですね。
「ヨーロッパの窓」として築かれたロシアの美の都、サンクトペテルブルクに位置するらしいです。
ロマノフ王朝歴代皇帝の壮麗な宮殿と300万点を超える所蔵作品!
館内の映像で観ましたが、かなり立派な宮殿。
こんな宮殿美術館で絵を観て廻ったら、さぞかし優雅な気分になれるのだろうなと思いました。

質、量ともにロシア国外では最大規模となる美術館展、朝いちで出かけたのですが結構人が入っています。
美術愛好家の方が、こんなにもいるのかというぐらい。でも並ばなくても、なんとか観ることができました。

この美術展、とても観やすかったです。
16世紀から20世紀まで世紀ごとに時代を追っているので、その世紀独特の息吹を感じ取ることができました。
16世紀の中では私は、ベルナルディーノ・ルイーニの<聖カタリナ>が、まるでダ・ヴィンチの描く聖母みたいに美しく感じました。17世紀ではレンブラント・ファン・レインが描く<老婦人の肖像>が、圧倒的な力で心に迫ってきます。
18世紀ではエリザベト=ルイーズ・ヴィジェ=ルブランの<自画像>が可愛らしく、美しい画家さんだったんだなぁとほれぼれとしてしまいました。
あのポスターにも使われているジョシュア・レノルズの<ウェノスの帯を解くクピド>は、女性が挑発的な顔つきでこちらを見ており、とても官能的な絵です。
19世紀も見所いっぱい!
フランツ・クサファー・ヴィンターハルターの<女帝マリア・アレクサンドロヴナの肖像>はさすが女帝!
凛とした美しさがありました。
ジュール・ルフェーブルの<洞窟のマグダラのマリア>も官能的で美しく神秘的な絵。
ジョゼフ・ベイルの<少年料理人>は少年がが完全に酔っぱらっていて(泥酔?)、ちょっと微笑ましく可愛かったです。
20世紀はやはり一番目をひくのは、ポスターにも使われているアンリ・マティスの<赤い部屋>。
東京に約30年ぶりの来日となるそうで、やはり色と構図が何よりも目立ちます。

などなど、館内を2周して図録を買って出ました。
ついでにミッドタウンに足を伸ばし、ミッドタウン内のスーパーでお好み焼きの試食を頂きました(笑) 美味しかったです。
せっかくなので、ついでに食料品を買い込んで家に帰りました。

追記:
今日は七夕。 六本木では忘れていました。
銀座三越のイベントで、短冊に願い事を書いて飾りました。


6)2012年10/3-12/23「国立新美術館開館5周年 リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝」

国立新美術館開館5周年 リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝

今日は雨、雨、雨。一日中、雨降りさんですね。
雨降りの中、行ってきました国立新美術館。雨降りの割に、結構な人が入っていました。でも、前面で観られない程ではないので全然OK!
入口のエントランスでは、宮殿風に柱とアーチが架けられています。
展示の装飾、凝っていますね~。
度肝を抜かれたのは「バロック・サロン」と名付けられた2部屋目。
最初、全く気づかずにそのまま次の部屋に行こうとしたときに目に入ってきました。
て、天井画!?
大きな天井画が4点、天井に絵が掛けられているのではなく、本当に天井と一体化していて、正しく天井画なんです!!
「ようこそ、わが宮殿へ」
この美術展の謳い文句ですが、成る程~!良くぞ!の展示方法。こんなの初めて観ました。
部屋も広いですし、工芸品、家具、タペストリーなどの室内装飾が空間を盛り上げています。この部屋、とっても楽しいです。
入口から出口まで4巡ぐらいしたのですが、この部屋に戻ってきて天井を見上げるのが楽しくて、楽しくて。
ポスターにもなっているペーテル・パウル・ルーベンスの「クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像」は巨匠の娘さんの絵で、絵が描かれてから数年後に12歳で亡くなられたとのこと。
顔がくっきり描かれて、それ以外はサクッと流した感じなので、自然に目線が顔にいってしまいます。
ルーベンスがこんな可愛い絵を描いただなんて、全く知りませんでした。
ルーベンスの作品は「ルーベンス」という部屋が用意されており、原寸の人間より大きいぐらいに描かれた大作も展示されていました。
最後の部屋なんですが、フリードリヒ・フォン・アメリングという画家さんの描く絵が可愛くて、可愛くて。
「夢に浸って」は物思いに浸っている美少女画ですし、「マリー・フランツィスカ・リヒテンシュタイン侯女2歳の肖像」は、可愛らしい赤ちゃんが人形を抱えて眠っています。
もうムーミンみたいに頬っぺたがぷにぷに。
絵画、工芸品、家具、タペストリーと幅広い美術品が詰め込まれていて、なかなか楽しい美術鑑賞ができました。
なかでも、あの天井画の展示方法は必見ですね。


7)2013年4/24-7/15「フランス国立クリュニー中世美術館所蔵 貴婦人と一角獣」

フランス国立クリュニー中世美術館所蔵 貴婦人と一角獣

国立新美術館は昨年の11月の「リヒテンシュタイン」以来ですね。
フランス国立クリュニー中世美術館の至宝《貴婦人と一角獣》は、西暦1500年頃の制作とされる6面の連作タピスリーです。
本展は、この中世ヨーロッパ美術の最高傑作の誉れ高い《貴婦人と一角獣》連作の6面すべてを日本で初めて公開するもので、タピスリーに描かれた貴婦人や動植物などのモティーフを、関連する彫刻、装身具、ステンドグラスなどで読みといていきます。
クリュニー中世美術館の珠玉のコレクションから厳選された約40点を通して、中世ヨーロッパに花開いた華麗で典雅な美の世界を紹介します。

入口に入ったらすぐに映像があります。
しばし、その映像に見惚れます。
貴婦人と一角獣の物語。
何時迄も見ていたい映像。
3回見たところで先に進みました。

大きなタピスリー6点で飾られたドームに圧巻です。
この大きなタピスリーを中心に部屋が構成されているのですね。

こりゃ見応えあるかも!

また次に進みます。
すると、また巨大な映像を6分割した画面で、巨大なタペスリー6点を解説してくれます。
分かりやすい!
多くの動物が織り込まれていますが、一角獣、月の旗だけではなく、獅子も全てのタピスリーに織り込まれているのですね。
これは本当は「三日月の旗のもと、貴婦人と一角獣と獅子とその他動物達」というところなのでしょう。 数だけでいうと、うさぎ多しですが(笑)
この映像の前では長い時間、フリーズして見惚れてしまいました(1時間以上はいたような)。
なるほど~と、また前の部屋に戻り、しばしまた6点のタピスリーを鑑賞。

この6点のタピスリー。
五感に1つ足したコンセプトが込められているそうです。
「触覚」「味覚」「嗅覚」「聴覚」「視覚」という人間の5つの感覚を表現したタピスリーと「我が唯一の望み」と題されたタピスリー。
「触覚」と題されたタピスリーは貴婦人が一角獣の角に触れています。
「味覚」は貴婦人が砂糖菓子を1粒、オウムに与えようとしている。
「嗅覚」はバラの香りを嗅いでいる。
「聴覚」はオルガンの演奏に夢中になっている貴婦人。
「視覚」は貴婦人が手鏡で一角獣にその姿をのぞかせています。
五感を統べる第六感ともいえる一番大きなタピスリー、「我が唯一の望み」が何を意味するかについては、“愛”“知性”“結婚”などと言われていますが、フランス国外に貸し出されたのは過去にただ一度だけ、1974年のことで、アメリカのメトロポリタン美術館だけらしいです。
次に別の部屋ではタピスリーに登場する動植物を紹介しています。
鳥、犬・・・やはりうさぎが圧倒的に多し(笑)

最後に、服飾と装身具という部屋。
15~16世紀の衣服や宝飾品を紹介するのに、様々な彫像やオブジェ、タピスリーが展示されています。
「聖女バルバラ」「マグダラのマリア」「鉄の小箱」・・・etc。
最後に「貴婦人と一角獣 美の謎に迫る」という映像を拝見して終了。
500年前に作られた6連作のタピスリー。
三日月の意味は?
などなど、謎が多いタピスリーは秘密めいていて興味深いです。
つまるところは、この6点のタピスリーが全てではあるのですが、たった6点の割に楽しめました。

・・・後編に続く

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