マガジンのカバー画像

360°FSN(360°食品安全ネットワーク)

38
食品安全の動向を360度見渡せる場になるよう「360 Food Safety Network」としました。
運営しているクリエイター

記事一覧

食品リコール届出制度の将来予測

食品リコール届出制度の将来予測

食品リコールに関するアメリカと日本の制度は異なる特徴を持っている。

アメリカにおける食品リコール制度

アメリカでは、食品安全近強化法(FSMA)が2011年に施行されたことは大きな転換点である。
この法律により、FDA(アメリカ食品医薬品局)は食品リコールを強制的に命じる権限を得た。
しかし、この権限の行使は非常に限定的であり、FSMA施行後の初の10年間で、FDAが強制リコールを行使したのは

もっとみる
一般社団法人 微生物制御技術機構 設立記念講演会

一般社団法人 微生物制御技術機構 設立記念講演会

事務局長を務める法人の設立記念講演会(無料)を5月23日に開催予定です。
微生物同定の最先端技術 MALDI-TOF MSに触れることのできるいい機会です。ご参加をお待ちしております。

微生物制御技術の拡充と革新により、社会の課題解決に貢献する目的で、本年4月に一般社団法人微生物制御技術機構を設立しました。

弊機構の取り組みは、微生物の検出・同定用データベース関連事業や質量分析を基盤とした微生

もっとみる
2024年:FDAの食品トレーサビリティ最終規則とその影響

2024年:FDAの食品トレーサビリティ最終規則とその影響

はじめに

2024年は、食品安全分野で米国FDAの食品トレーサビリティに関する最終規則の実施が特に重要視されている年である。
この最終規則の内容と食品産業への影響について解説する。

FDAの食品トレーサビリティ最終規則

FDAは、「食品安全強化法(FSMA)」に基づき、特定の食品に対する追加のトレーサビリティ記録要件を設定した。
この最終規則は、汚染された食品の迅速な識別と市場からの早期撤去

もっとみる
中国の食品安全基準の最新動向:リステリア・モノサイトゲネス対策

中国の食品安全基準の最新動向:リステリア・モノサイトゲネス対策

2021年と2022年にかけて、中国は食品安全基準の更新を進め、特にリステリア・モノサイトゲネスに関する基準の改正が注目されています。
これは、食品安全技術エキスパートや関連産業の関係者にとって重要な変更であり、特に「即席食品」におけるリステリアの管理に大きな影響を及ぼしています。

(参考)リステリアとは食品安全技術センター YouTube

重要な更新:GB 29921-2021 と GB 3

もっとみる
FSPCAウェビナー概要:意図的混入(IA)ルールと食品防御査察の最新情報

FSPCAウェビナー概要:意図的混入(IA)ルールと食品防御査察の最新情報

12月5日に開催されたFSPCAウェビナーでは、Food Protection And Defense InstituteのディレクターであるDeb Freightman氏が講師を務め、FDAの意図的混入(IA)ルールの進行中の実施と食品防御の広範な側面について著しい洞察が提供されました。ウェビナーでは、ジェイソン・ウォン博士とコリン・バーシェル博士による最新情報が紹介され、それぞれ食品防御戦略の

もっとみる
FDAの新規則「意図的混入IAルール」の理解と対策

FDAの新規則「意図的混入IAルール」の理解と対策

食品業界に携わる皆さんにとって、米国食品医薬品局(FDA)が実施する新たな規則「意図的混入IAルール」は、非常に重要なトピックです。
この記事では、IAルールの概要と、その対策について解説します。

FDAの意図的混入IAルールについて「意図的混入IAルール」とは、食品安全強化法(FSMA)の一環としてFDAによって定められた規則です。IAは「Intentional Adulteration」の略

もっとみる
米国FDA 食品防御査察チームの紹介

米国FDA 食品防御査察チームの紹介

米国FDAのYouTube(2023/10/20)の概要 
食品防御査察の実施

FDAの食品防御査察チーム(FDIT)は、食品防御計画の詳細な審査を行い、その適切性と実施状況の両方を評価しています。
これらの査察は食品安全強化法(FSMA)の枠組みの下で行われ、食品を意図的に汚染することを予防することを目的としています。

査察チームの専門性

食品検査チームは食品防御のスペシャリストで構成され

もっとみる
【News】FDA 草案:アレルゲン管理と酸性化食品ガイダンス

【News】FDA 草案:アレルゲン管理と酸性化食品ガイダンス

Youtubeチャンネル 食品安全技術センター

FDAはアレルゲンと酸性化食品に関する新章で食品安全を強化するガイダンス草案を紹介。
第11章は強固な食品アレルゲンプログラムに焦点を当て、交差接触の制限とアレルゲン表示の義務化について詳述。
本ガイダンスは、CGMPを使用してアレルゲン・リスクを最小化するための戦略を提供し、やむを得ない交差接触の取り扱いについて強調しています。
第16章は酸性化

もっとみる
【News】FDAが新しいビデオで食品輸入工程を説明

【News】FDAが新しいビデオで食品輸入工程を説明

Youtubeチャンネル 食品安全技術センター

FDAは、輸入業者、海外食品供給業者、輸出業者、通関業者のための入門書として、米国へのヒト用食品の輸入の一般的な手順を説明するビデオを公開しました。
食品を輸入する前にFDAに事前に通知することが義務付けられているため、米国の港での検査や検査の効率的な目標設定が可能になり、公衆衛生上の潜在的脅威を見極めるのに役立ちます。
このガイドラインは、輸入食

もっとみる
(備忘録)“吉田屋弁当”集団食中毒

(備忘録)“吉田屋弁当”集団食中毒

以下、青森テレビのニュース記事を転記します。なお、気になるポイントは太文字にしています。

青森テレビ 10/16(月) 15:01配信

青森県八戸市の弁当製造会社「吉田屋」の弁当による集団食中毒問題について八戸市保健所は16日、食中毒の原因が推定されたため「吉田屋」に対して改善指導をしたと公表。
青森県八戸市内で会見を開きました。

八戸市保健所は岩手県内の米飯製造委託業者について関係自治体に

もっとみる
【AI要約】パンの微生物変敗と制御

【AI要約】パンの微生物変敗と制御

パンの微生物変敗と制御といった論説を、AIにより自動要約を行った。
また、専門家によるチェック済です。

1.パンの微生物変敗

パンは容易に微生物変敗を起こしやすい食品である。

変敗の種類は色素生成とロープ現象であり、原因微生物はカビと細菌である。
パンのクラストの水分は32~35%、クラムの水分は40~45%の範囲であり、
風味生成の前駆物質としてアルコール、有機酸、エステル、カルボニル化合

もっとみる
鶏白湯ラーメンの鶏チャーシューによる食中毒

鶏白湯ラーメンの鶏チャーシューによる食中毒

写真を見る限り、レアチャーシューとも言えない「鶏のたたき」状態。
(写真は当該店ホームページより)

半生の鶏肉はもってのほか。
半生で提供し続けて約一年以上経過していた様子だが、まさに誰が当たってもおかしくなかったロシアンルーレット状態が続いていた。

食中毒原因菌 カンピロバクターここ数年、食中毒事件数で第1位が続く原因菌であるカンピロバクター。
HACCPの講義を行っていても、まだまだその存

もっとみる
発売決定「低温調理の教科書~食肉の科学的な調理技術とレシピ~」

発売決定「低温調理の教科書~食肉の科学的な調理技術とレシピ~」

3冊目の単著の発売が決まりました。
本日よりAmazonにて予約開始しています。
(Amazonページ) 

昨今の低温調理ブームを受けて、SNSなどで数多くの危なっかしい調理レシピなどを目にすることが有りました。
低温調理は、味や食感などの面でメリットも多く、面白い調理法であり、是非楽しんで頂きたいと思います。しかしながら、不幸にして食中毒を起こすことのないようにしないといけません。

「科学的

もっとみる
欧州食品安全機関EFSAによる科学報告書(仮訳)

欧州食品安全機関EFSAによる科学報告書(仮訳)

欧州食品安全機関(EFSA)はこのほど、
"Horizon Scanning Exercise on Preparedness for Future Risk Assessment Requirements and Possible Challenges in Regulatory Science"
「将来のリスク評価要件への備えとレギュラトリーサイエンスの課題に関するホライズン・スキャンによる実

もっとみる