今城 敏(Satoshi Imanari)

食品安全技術エキスパート| HACCP責任者など多数育成/商品開発や工場建設の衛生支援| 「図解即戦力・食品衛生管理の教科書」Amazon1位獲得/YouTube:http://bit.ly/3pcqSxW |農水省FCPアドバイザー、立命館大客員研究員、東京顕微鏡院アドバイザー

今城 敏(Satoshi Imanari)

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AIとビッグデータが変える食品安全の未来:疾病予防への挑戦

米国CDCのAI活用による食品安全監視の取り組み 米国疾病予防管理センター(CDC)は、食品由来疾病の早期発見と予防を目指し、AIや機械学習を活用した監視システムの開発を進めている。 この取り組みでは、リアルタイムデータ解析技術を駆使し、食品供給チェーンにおける異常検出を迅速化することが目的だ。 例えば、カリフォルニア州ではAIを利用した異常検出システムにより、流通段階でのリステリア菌汚染をいち早く特定し、迅速なリコールが行われた事例がある。 食品由来疾病の現状と課題

    • 安全性と透明性の新基準:EUの新たな食品安全規則

      2024年11月29日、欧州連合EUは食品安全に関する新たな規則を施行する予定である。 この規則は、食品のトレーサビリティ強化やアレルゲン表示の厳格化を目的としており、食品業界全体に広範な影響を与えると予想される。 日本企業を含む輸出事業者にとっても、対応が求められる重要な内容である。 新規制の背景と目的EUは、消費者の健康保護と食品供給の安全性向上を目指し、食品安全規制の強化を進めている。 特に、過去の食品事故やアレルギー反応の増加を受け、食品の追跡可能性とアレルゲン情報

      • 米国マクドナルド・O157集団感染

        米国マクドナルドでの食中毒事件と食品安全への再注目2024年10月、米国のマクドナルドで提供されていた「クォーターパウンダー」に関連して発生した集団食中毒事件をきっかけに、食品安全への関心が再び高まっています。 本稿では、この事件の詳細を報道内容をもとに考察します。 13州で75人が感染、死者1人の重大な影響今回の事件では、米国内の13州で75人が腸管出血性大腸菌O157に感染し、1人が死亡するという重大な被害が報告されました。 O157は1982年の米国で初めて報告され

        • 食品業界に迫る新たな規制:FDAの包括的食品防御検査がもたらす影響と準備方法

          1.規則の背景と目的米国・食品安全強化法FSMAの意図的異物混入(IA)規則は、テロ行為や意図的な食品汚染から消費者を守るために策定され、米国食品医薬品局(FDA)が食品業界に初めて義務付けた包括的な防御規則です。 この規則は、食品防御計画(Food Defense Plan)を策定し、リスクの高いプロセスステップに対してリスク低減策(Mitigation Strategies)を導入することを要求します。 また、従業員や請負業者など内部の攻撃者がリスクに及ぼす影響も考慮

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        • 360°FSN(360°食品安全ネットワーク)
          51本
        • Youtube食品安全技術センター
          6本
        • 限定100名無料セミナー
          5本
        • ひとりごと
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        記事

          「はたらきびとに聞く」黒にんにくの魅力 ~ 青森の製造現場から

          青森県発の黒にんにく製品が持つ魅力とその発展を、約1時間のセミナーを通して語り尽くした内容の要約をお届けします。 黒にんにくの特徴と誕生青森県の黒にんにくは、生のにんにくを高温(約70℃)で2~4週間熟成させて作られます。 一般的な発酵とは異なり、メイラード反応によるもので、微生物を介さないため、長期保存が可能です。 青森県産の「福地ホワイト六片」という特有の品種が用いられ、糖度と大きさが特徴です。食後のにおいも気にならない上、健康に良いとされる成分が多く含まれています。

          「はたらきびとに聞く」黒にんにくの魅力 ~ 青森の製造現場から

          米国市場で勝ち抜くための鍵!日本食品事業者が知るべきトレーサビリティ対応の重要性

          米国市場向け食品のトレーサビリティ要求は、食品安全強化法(FSMA)第204条に基づき、食品供給チェーン全体で迅速かつ正確な追跡を可能にし、消費者へのリスクを最小限に抑えることを目的としています。 この「食品トレーサビリティリスト(FTL)」には高リスク食品がリストアップされ、例えば生鮮野菜や果物、軟質チーズ、魚介類などが含まれており、輸出業者はこれらの食品に関する供給経路の詳細情報を管理する必要があります​。 日本の食品事業者が米国への輸出を行うためには、サプライチェーン

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          米国市場で勝ち抜くための鍵!日本食品事業者が知るべきトレーサビリティ対応の重要性

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          2026年までに対応必須!FDAの食品トレーサビリティ最終規則と食品業界への影響

          FDAが発表した「食品トレーサビリティ最終規則」:高リスク食品の安全性強化に向けた変革 2023年11月、米国食品医薬品局(FDA)は、食品安全強化法(FSMA)の一環として「食品トレーサビリティ最終規則(Food Traceability Final Rule)」を発表しました。 この規則は、食品サプライチェーンにおける高リスク食品のトレーサビリティ強化を目的としています。 特に、食品由来の健康被害を未然に防ぐため、記録保持やデジタル化を促進し、迅速かつ正確な対応を可能に

          2026年までに対応必須!FDAの食品トレーサビリティ最終規則と食品業界への影響

          AIとブロックチェーンで革新!食品安全管理の最新技術と未来の展望

          AI技術がもたらす食品安全の革命:サプライチェーンから食品偽装検出まで 近年、人工知能(AI)技術は食品安全分野で急速な進展を遂げており、サプライチェーンの管理から食品偽装の検出まで、さまざまな領域で革新をもたらしています。 最新の研究動向を技術的な観点から考察し、食品安全におけるAI技術の応用とその未来を探ります。 デジタルトレーシング技術:サプライチェーンの透明性を向上 AIを活用したデジタルトレーシング技術は、食品サプライチェーン全体の透明性と効率性を飛躍的に向上

          AIとブロックチェーンで革新!食品安全管理の最新技術と未来の展望

          2024年の食品トレーサビリティ規制:リスク管理と最新技術で安全性向上

          2023年11月、米国食品医薬品局(FDA)は「食品トレーサビリティ最終規則(Food Traceability Final Rule)」を発表している。 この規制は、2011年の食品安全強化法(FSMA)第204条に基づき、特定の高リスク食品のトレーサビリティを強化し、リスク管理を徹底することを目的としている。 規制の主要なポイントと食品事業者が実施すべき具体的対応策は以下の通りである。 1. リスクベースのトレーサビリティシステム

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          2024年の食品トレーサビリティ規制:リスク管理と最新技術で安全性向上

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          食品安全へのAIの活用

          人工知能AI技術の急速な発展は、食品安全分野にも大きな影響を与えている。 AIと関連技術の食品安全への応用について、最新の研究動向を技術的な観点から考察してみた。 AIを活用したデジタルトレーシング技術は、食品サプライチェーンの透明性と効率性を飛躍的に向上させている。 Tianの研究では、ブロックチェーン技術と機械学習アルゴリズムを組み合わせたHACCPベースの食品安全管理システムが提案されている。 このシステムは、センサーデータをリアルタイムで分析し、異常を検知することで

          食品安全へのAIの活用

          The AI Revolution: Five Innovative Technologies Paving the Way to the Future of Food Safety

          The evolution of AI technologies is having a profound impact on the field of food safety. These technologies are being applied beyond quality control and traceability to advanced risk assessment and predictive maintenance, and are bringing

          The AI Revolution: Five Innovative Technologies Paving the Way to the Future of Food Safety

          AI革命:食品安全の未来を切り拓く5つの革新的技術

          AI技術の進化は、食品安全分野において深い影響を及ぼしています。 これらの技術は、品質管理やトレーサビリティを超えて、高度なリスク評価や予知保全にまで応用されており、食品業界に新たな変革をもたらしています。AIが食品安全をどのように革新しているのか、具体的なデータと事例を交えて解説します。 1. リアルタイム微生物検出:AIとコンピュータビジョンの融合従来の微生物検査法は、主に培養法に依存しており、結果を得るまでに24~72時間を要することが一般的でした。 この遅延は、特に

          AI革命:食品安全の未来を切り拓く5つの革新的技術

          リステリア・モノサイトゲネスの研究成果

          リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)の制御に関する画期的な研究成果が発表された。 英国のクアドラム研究所とUK健康安全保障局(UKHSA)の共同研究チームによる本調査は、RTE食品工場における細菌生態系の詳細な分析を行い、従来の清掃方法の限界を明らかにした。 研究方法と結果 ・サンプリング: RTE食品工場の床面から、4℃と10℃の環境下で10週間にわたり定期的にサンプルを採取。 ・分析手法: 培養法と16S rRNA遺伝子解析を併

          リステリア・モノサイトゲネスの研究成果

          環境モニタリングとMALDI-TOF MSによる食品微生物管理の最前線

          1. 背景食品製造工場では、HACCP (Hazard Analysis and Critical Control Point: ハザード分析重要管理点) システムの導入が一般的です。 しかし、依然として世界中で食中毒事例が発生しており、その原因の多くはHACCPの前提条件プログラムの不備に起因しています。 特に、環境微生物の管理が不十分であることが問題です。米国では、これを解決するためにFSMA (Food Safety Modernization Act) の一環として

          環境モニタリングとMALDI-TOF MSによる食品微生物管理の最前線

          食品リコール届出制度の将来予測

          食品リコールに関するアメリカと日本の制度は異なる特徴を持っている。 アメリカにおける食品リコール制度 アメリカでは、食品安全近強化法(FSMA)が2011年に施行されたことは大きな転換点である。 この法律により、FDA(アメリカ食品医薬品局)は食品リコールを強制的に命じる権限を得た。 しかし、この権限の行使は非常に限定的であり、FSMA施行後の初の10年間で、FDAが強制リコールを行使したのはわずか3回である。 その間、企業による自主的なリコールが主流となっている。 この

          食品リコール届出制度の将来予測

          一般社団法人 微生物制御技術機構 設立記念講演会

          事務局長を務める法人の設立記念講演会(無料)を5月23日に開催予定です。 微生物同定の最先端技術 MALDI-TOF MSに触れることのできるいい機会です。ご参加をお待ちしております。 微生物制御技術の拡充と革新により、社会の課題解決に貢献する目的で、本年4月に一般社団法人微生物制御技術機構を設立しました。 弊機構の取り組みは、微生物の検出・同定用データベース関連事業や質量分析を基盤とした微生物同定、菌株識別技術関連事業を通じて、食品安全や環境保護などの課題解決に貢献しま

          一般社団法人 微生物制御技術機構 設立記念講演会