「何かをつくる人」になりたい女子高生の話。
将来何がしたいの?
将来の夢は?
やりたい職業とかある?
三者面談でも、親や先生との会話でも、ときには友達との会話の中でも話題になること。
小学生__いや、物心ついた頃から、「将来の夢」というものはなかった。
将来何したいかなんてわからない。周りの友達がケーキ屋さんやお花屋さんやアイドルになりたいと口々に言う。
あーあ。やりたいことなんてないのにな。どうしようかな。
妙に大人びたガキンチョ、というわけでも、カッコつけてたわけでもなくて、単純にやりたいことを見つけられなかった。
とはいえそうも言ってられない。
自分も何かしらの「夢」や「やりたいこと」を言わなければならないと子供ながらに察し、考えた。
でもやっぱり何も思い浮かばない。その場しのぎのようになんとなく親の職業を言っていた。さらさら薬剤師になる気なんてなかったのに。
高校生になった。
高校生になるとはどういうことか。
進路をもっともっと具体的に決めることが迫られる時期になったということだ。
文理選択は…理系に進む気が毛頭なかったため、なんのためらいもなく文系に決めた。理由は一つのことに集中するよりいろんなことを吸収していろんなことを扱いたかったから。(そして数学が壊滅的にできないから。)
とはいえ、文系に進んで何がしたいのかと問われても答えられない。
どこの大学のどの学部に進学するのがいいのかもわからない。
文系に進んだ事自体は後悔していないし、理系に進んだとて何も残せないんだろうなとぼんやり思いつつ、やっぱり何がしたいのかわからない。
ただ、こんな自分にも、一つだけ心のなかに芽生えてきたものがある。
それは、何かをつくる人になりたい。ということだ。
もちろんゴリゴリのエンジニアとか、理系的なものづくり方面とか、プログラミングとかではない。
なにか、クリエイティブな、創り出す。
そんなことがしたい。
デザインや色や芸術に興味がある。高校に入ってからホームページやしおりや学年通信などのデザイン・レイアウトを任せられることが多くなった。
何かをつくるって、こんなにも綺麗で美しくて、楽しい。
私は将来、「何かをつくる」ことがしたいんだ〜〜〜!!!!!
やっと自分に、やりたいことができた。
___でも、一度踏みとどまってみよう。
この世の中にある仕事の殆どは「何かをつくる仕事」じゃないのか?
薬剤師は薬をつくる。教師は授業や学級をつくる。ケーキ屋さんはケーキをつくる。プログラマーは…あんまり詳しくないけど何かをつくることに変わりはないだろう。
ちょっと考えれば、ほとんどが何かをつくる仕事のはずだ。
きっと、大人はその「つくられた何か」に対してやりがいを感じている。
そしてそれを生業としている、んだと思う。
じゃあ、私がしたいことは…………?
何かをつくる。ではあまりに抽象的過ぎる。
でも、ただ私は何かをつくりだしたい。
それが一番しっくり来る言葉で、それ以上でもそれ以下でもない気がする。
世間ではクリエイターと呼ばれるのかもしれない。近い言葉だけど、芸術一本じゃなくて、もっともっと広いことがしたい。
あと現実的なことを言うなら、芸術一本だけで食っていけるとは思わない。
でも、芸術関係だって捨てたくないし、むしろ自分がやっていて楽しい。
何かをつくる。創り出す。そんな人になりたいのに。
具体的にこの気持ちをを表してくれる言葉に、納得がいく説明に、
未だ出会えていない。
拝啓、何年後かの私。今、何してますか?
何を、つくってますか___?
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