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木造建築:木造ビルは、都市に第二の森林を。国産木材の積極的な利用が、日本の未来の街並みにもたらす別解とは。 (CASE: 84/100)

▲「木造建築」とサステナビリティ

近年、大型の木造建築への注目が高まっています。昨年の東京オリンピックに向けて建てなおされた国立競技場には、47都道府県から調達された木で、軒庇(のきびさし)が作られました。国立競技場にはその他にも屋根や内外装に合計約2,000立方メートルもの木材が利用されています。直近では、東京海上ホールディングスが、東京・丸の内で、高さ約100メートル(地下3階、地上20階)の新本店ビルを木造建築で建て替えることを発表しています。

大型の木造建築が特に注目されている理由は、再生可能な木材を大量に利用できるという点と、木材活用に関する技術の発展の2つが挙げられます。国産木材は、戦中戦後の需要拡大により大量伐採が行われたことで、その後数十年にわたって供給が細っていましたが、昭和20年代後半から植林されてきた木々が本格的に利用可能な段階まで成長し、その資源量は年々増加しています。木はその成長に応じてCO2を固定化しますが、固定化能力は樹齢50年を超えると落ちてくるため、適切な利用による森の新陳代謝が必要になっているのです。

木材を高層ビルに利用するためには、耐火性、耐震性の向上が不可欠です。大林組は、日本初の高層純木造耐火建築物として自社の研修施設Port Plusを建設しました。Port Plusでは耐震性を高めるために柱・梁という部材同士を剛接合する技術を開発しました。また、耐火性を高めるためには、オメガウッドという部材を開発し、木造ながら鉄筋コンクリート並みの対火性を実現しています。

都市に木造ビルを建てることは、ビルに炭素を固定すること、すなわち都市に第二の森林をつくることであると言えます。さらに、国産木材の利用が進むことにより、林業の活性化につながり、日本の森林の4割を占める植林の荒廃を防ぐことにもつながります。発展途上国で進む森林伐採を食い止める効果も期待されます。

木造ビルが立ち並び、日本ならではの街並みになる − 空飛ぶ車などが描かれていたこれまでの未来像にはなかった絵姿かもしれませんが、私にはとても魅力的な未来像のように思えてきました。100年のスパンで考え、持続可能で美しい街をデザインしていきたいものです。

▲参照資料

▲キュレーション企画について

イノベーション事例についてi.labがテーマにそって優れた事例のキュレーションを行い、紹介と解説を行います。

2022年のテーマは「サステナビリティ」です。

▲今回のキュレーション担当者

i.lab シニア・ディレクター 杉江周平

▲i.labについて

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