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重力蓄電:余剰な電気を使って持ち上げ、必要なときには降ろして発電 (CASE: 21/100)



▲「重力蓄電」とサステナビリティ

中学校の理科の授業で初登場した言葉、「運動エネルギー」と「位置エネルギー」を、皆さんは覚えていますか。たとえば、斜面の上からボールを転がすと、下にいくにしたがってボールのスピードが増していきます。この現象は、ボールが高い位置にあった際に持っていた「位置エネルギー」を、低い位置にいくにしたがって「運動エネルギー」に変換した現象の典型例となります。私は大学と大学院では物理学を学び研究していましたが、中学生当時は理科がそれほど得意ではなく、とても苦労していたのを覚えています。

地球温暖化の抑制のため、世界的に脱化石燃料の動きが急速に進んでいます。再生可能エネルギーは、環境的側面から優れた点が多い一方で、自然現象を用いて発電する場合が多く、どうしても安定的な発電の面で課題が多くなります。
そうした中で、再生可能エネルギーによって発電された、余剰電力を蓄電するニーズが高まっています。たとえば、風力発電の場合には、風の運動エネルギーを用いて羽を回して発電し、電気エネルギーを得ることができます。その発電時に利用ニーズが十分にあれ⁠ば、すぐ電気エネルギーを使えるのですが、利用ニーズが発電量と比較して少なくなっているときには、余剰となる電気エネルギーが発生してしまいます。

その解決策として最近話題となっているのが、今回紹介したい「重力蓄電」です。
重力蓄電のコンセプトは、まさに、先述した中学校の理科の授業で出てくるような古典的なエネルギー保存の仕組みですが、高度な技術が溢れる現代社会においても、大きな利点のある蓄電システムです。

重力蓄電システムでは、余剰な電力を用いて重いセメントブロックなどを高所に持ち上げることで位置エネルギーに転換し、エネルギーを保管しておきます。そして、電力が必要になった際には、その高所のセメントブロックを地面や地下に下ろすことで運動エネルギーに変換させ、発電機を駆動し発電できるという、大変シンプルな蓄電システムです。
他に、位置エネルギーを活用する蓄電システムとしてよく知られたものでいうと、揚水システムがあります。効率性に着目すると、電気エネルギーの蓄電と放電の効率が揚水発電時は70%程度ですが、重力電池の場合は90%程度。そう考えると、重力蓄電は大変効率の良い蓄電システムと言えますね。
重力蓄電システムでは、重りとなるセメントブロックにも再生素材を用いることができるのと、重りとそれを動かすだけというシンプルなシステム故に、化学的な蓄電池などと比較して長寿命であり、蓄電システムそのものの持続可能性も高いものとなっています。


▲参照資料





▲キュレーション企画について

イノベーション事例についてi.labがテーマにそって優れた事例のキュレーションを行い、紹介と解説を行います。
2022年のテーマは「サステナビリティ」です。

▲今回のキュレーション担当者

i.lab マネージング・ディレクター 横田幸信

▲i.labについて

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