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バクになりたい兎の日記

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幼い頃から夢見の悪さに取り憑かれている幾兎の夢日記。 曖昧な部分はちょっぴりフィクションを織り交ぜているかもしれない。
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記事一覧

月の空

「ねぇ、今日の月デカくない?」
「あー、そういえば」
「空も紅い気がする」
「そういえば真昼間に月が出てるってのも」
「もっと広いところに出て見てみようよ」
「うん」

「さっきより大きくなってる」
「近づいてきてる、よね」
「これ、もしかして落ちてきてる?」
「嘘でしょ。えっ、だとしたら」
「逃げないと」
「何処に」
「逃げる場所なんてないよ」
「じゃあどうするの?」
「見てるしか、ないの?」

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僕の××だって、それほどには大きくないのだから。

もうすっかりいっしょくたに浸されてしまった夢うつつの分別が確かならば、あれはかつて、現実の僕が夢想していた光景だった。

代表は誰でもいい。僕でもいいし、もっとその器にふさわしい偉い人でもいいし、くじ引きでもいい。とにかく、誰か一人。一対世界。世界中の、富める人も貧しい人も、聖人も悪人もどちらでもない人も、とにかく、中心から端っこの端まで全ての人たち。選ばれたとある一人の号令によって、世界中の人た

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出席番号6番

「"How are you?"は"I'm happy!"と同じ意味になると思わないか?」

「…………あぁ、わかります。でも私はどれかというと……"I want you to be happy."だから、少し違っているのかもしれません」

中学生時代の、どちらか選べと言われれば苦手な方だった中年の額禿げかけた独身男性英語教師との会話、のラリーをしていた夢。意味わからんそうで意外と使えそうなフレーズ

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坂の上の景色を

「もう、絶対に離れない?」
「うん、離れない。絶対」
カフェで若い男女が話をしている。おだやかな会話だった。いかにもなべたべたの会話だけれど、少なくともあたしは特に気色悪さは感じていなくて、それよりもほわほわとした気分だった。
この二人のことをあたしは知っている。かつて「好きな人ができた」という彼女の事情で一度別れたカップルだった。それが今、またまた彼女からの話で縁を戻すことになったらしい。まあず

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血の気の狂った、白と紅の夢。

鬼ごっこは一番最初に年下に捕まった。たまにある、着ぐるみを着て走らされている感覚で、日頃以上にのろまになっているふうではあった。

もうとうの昔にお別れしたはずの同級生や嫌いな教師たちとまた一緒だった。離れたくて抜け出した先で、貴方の奥さんに出会った。

おかしなことに、会ったこともない私の顔を、貴方から聞いていたという特徴だけで当てしまった。

貴方のことをもう少し詳しく聞きたかったのだけど、た

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