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カルフォニ村
2024年2月22日 21:57
窓ガラスには河瀬の顔が映っていた。 半透明になった彼女の顔の向こうに、アスファルトの道路が見える。午前中から降りはじめた雨は深夜になっても降り止まず、天気予報を見ると来週まで雨だった。 雨に濡れたアスファルトは、その表面を水の膜に覆われて、生物めいた光沢を放っていた。アパートの前には都市高速が走っており、高架下の中央分離帯には金網に囲まれた空き地が見える。何もない場所を街灯の光が照らしている
青豆ノノ
2024年2月22日 17:19
あるとき、目に映る世界がすべて青になった。それは、幼かった自分がはじめてつくり上げた、わたしだけの世界だった。 誰の悲しみにも触れたくなくて、水に浮かぶイメージを持ち、ゆっくりと体を丸めて青に沈んでいく。静けさと、冷えた感情だけに包まれるその世界では、目を開けても視界はぼやけている。ただ、濃淡のある青いグラデーションが目の前に広がっていた。 耳の奥でクジラが鳴く。実際には聞こえないその