いのっちの電話から考察する「語る」ことと「語りだす」ことについて
語ることはその前提に、語る主体の他者に対する信頼があることを意味する。
「本書では、こういったさまざまな証人たちと、彼らが語ることを可能にする(または不可能にする)諸条件について論じたい。私の関心は、証人自身が「それ」をどう描写するかにある。証人自身が極限状態での過酷な体験をどうとらえるか。極限体験が彼らの語りの能力を本当に損なったのか、それとも損なわれたのはむしろ、語りの前提ーすなわち聞き手である他者への信頼ーのほうなのか。」
『なぜならそれは言葉にできるから 証言するこ