映画の中のヴェトナム帰還兵

アメリカ現代史においてヴェトナム戦争は、大きな出来事だった。

今回は、帰還兵を描いた映画を三つ紹介する。

 

マーティン・スコセッシの『タクシードライバー』(1976)は、帰還兵のトラヴィスが主人公。不眠症に悩んでいる。彼は常に暴走気味だが、どこまでが戦争体験の影響で、どこまでが元々の性格なのかは不明。
当時のニューヨーク、そしてアメリカの荒んだ雰囲気が伝わってくる。

シルヴェスター・スタローン主演の『ランボー』(1982)は、帰還兵のランボーが主人公。彼の場合は明確に戦争体験のトラウマに悩まされている。やはり暴走するのだが、その動機はアメリカ社会における帰還兵への冷遇だった。
動機を語るシーンは自己正当化のようだが、『タクシー…』よりも帰還兵の苦悩を掘り下げてはいる。

オリヴァー・ストーンの『7月4日に生まれて』(1989)は、帰還兵のロンが主人公。彼は戦傷により半身不随に。帰還後も愛国心を維持していたが、次第にアメリカの戦争責任を追求する立場へ。帰還兵を生涯にわたって描いているのが、この映画の特徴だ。
反戦的なメッセージは感動的だが、劇中で学生がドミノ理論の無根拠性を喝破するシーンを観て、「そんな聡明な若者が戦争当時のアメリカにいたのだろうか」と疑ってしまった。

 

以上!

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