華道家 生駒敦

花方/華道家。 華道が現代に生きる意味を考え、現代に伝えています。 花をいけることだけ…

華道家 生駒敦

花方/華道家。 華道が現代に生きる意味を考え、現代に伝えています。 花をいけることだけではない華道を通して自然と向き合い、自分の内側へ。 □instagram:https://www.instagram.com/hyoyo_ikoma

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ゴミか芸術か

曖昧な境界華道家として花をいけている中で、日々つくづく思うことがある。 それは、ごみと芸術の境界は極めて曖昧だということ。 アートの世界もそうかもしれない。 ある人はその作品を「何がいいんだただのゴミじゃないか」と言う。 ある人はその作品を「実に素晴らしい。これぞ芸術だ」と言う。 誰が食べても美味しい料理、誰が見ても上手い技術などは別の話で、 芸術においてはしかも極めて作者の世界観のつよいものにおいては 見る人によって作品の価値が変わるという現象が起きる。 で

    • 2022 UNKNOWN ASIA→UNKNOWN ASIA EXTRA

      2022年10月→11月 UNKNOWN ASIA2022→UNKNOWN ASIA EXTRA2022に展示したインスタレーション作品には 一貫したタイトル「Unnatural nature~不自然な自然」というタイトルをつけました。 普段華道家として花を生ける時は、「花が人為を離れ、自ら形を取って表れる」と表現するように、できるだけ自分がどうしたいという意思を捨て、自然な形をそのまま再現できるよう努めている。 それが一番花を美しく見せれる形だからです。 ただそれは本

      • IKEBANA Artとは

        今日は2022年10月12日。 初めて挑戦するアートフェア、UNKNOWN ASIA2022の3日前。 初めていけ花をアートとして表現する機会だが、出展前の記録として書き留める。(開催後だとまた違う感情になるため) いけ花とは いけ花の解釈は様々あるが、僕はいけ花という得体の知れないものを 建築、芸道、アートの3つの側面で解釈している。 個人的な解釈ではなく、あくまで歴史の文脈の中で導き出した現段階での答えである。 artとしてのいけ花 いけ花が芸術として解釈され出

        • 生け花はいつも人生において大切なことを教えてくれる

          花を生けるなんて、人生においては無駄な行為である。 SDGsやグレートリセットなど社会課題の解決に世界中の企業が取り組む中、花を生けたところで何も生まないし、何の解決にもならない。 なら生け花はただの自己満足の贅沢で無駄なものなのか。 なぜ人は花を生けるのか それは花が美しいからである。道端で見た儚げに咲く野草に感動、共感し、少しでも身近に感じたい、他の人にも見てもらいたいと思うからです。そこには自然への深い愛情があります。 生け花は多くは語らない 花は何も語らない

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        ゴミか芸術か

          建築と花の今の関係

          華道家として日々花をいける中で、建築と花の関係を考慮するのは絶対である。 文化としての生け花常々思うが、文化という意味では個展的いけ花は成り立つ。なぜなら"華道"は花をいけるのが本来の目的ではないから。 もう一つの側面ただ、いけ花には別の側面もある。それが建築である。 長年日本人の住空間には”床の間”がある。というかあった。 床の間の設えとして花が花瓶に挿され住空間を彩ってきた。人々は生活空間にわざわざ花を飾る場所を与え、型を作り、精神的な意味合いを与え、結果文化とな

          建築と花の今の関係

          得体の知れない”生け花”という生き物

          日本の伝統文化の一つである華道、生け花。海外では"IKEBANA"と評され広まっているがその実態は”得体の知れないよく分からない”ままである。 1300年以上の歴史のある文化だけに一概に言えない事は承知の上、一華道家の偏見においてこの”生き物”を分解する。 華道と生け花まず華道と生け花について。呼び方が色々ありよく分からない。 あえて定義すると、 「生け花」とは、花を生ける行為、及びその結果としてできた作品。 「華道」とは単なる美の追求のみならず生そのものと深い連関

          得体の知れない”生け花”という生き物

          【華道家はあなたと組みたい】project

          オープンイノベーションが求められる現代。大企業もスタートアップも新しい取り組みの種を探す今、業界として組むおすすめは「花き」業界だ。 経済的豊かさを目指してきた社会から、文化的、心身的豊かさを生み出す社会へ(山口周さん)と向かうべきこれからの日本。まさに華道家が目指す未来。華道家と一緒に新規事業を開拓しませんか。 「花き」とは花きとは、鑑賞の用に供される植物をいう。具体的には切り花類、鉢物類、花木類、球根類、花壇用苗物類、芝類、地被植物類をいう。 農林水産省 花きの現状

          【華道家はあなたと組みたい】project

          【日本人と桜】

          4月13日。今年(2021年)は3月下旬に暖かくなり、桜の開花も例年より早かった。東北は季節外れの雪と桜の光景も見られたようだが、奈良ではすっかり葉桜となっている。 今年は各々で小規模ながら花見をした方も多いのではないだろうか。 「日本人は桜が好きだ」この時期になると桜を思い出す。 今まで気にならなかった桜の大木を、毎日のようにまだかまだかと待ち遠しい日々を過ごす。 「日本と桜」という本でこんな記述があった。 桜の花は、ただ美しいばかりでない。 咲いた時の美しさも

          【日本人と桜】

          「エモい」の構造を紐解く

          2018年流行語になった「エモい」に関して、「あ〜今はそういう言葉が流行ってるのね」くらいにしか思っていなかったが、考えれば考えるほど、実は極めて日本的で今の時代を捉えている事がわかって驚いた。 まずそもそも「エモい」とは。英語の「emotional」を由来とした、「感情が動かされた状態」「感情が高まって強く訴えかける心の動き」などを意味する日本のスラング(俗語)及び若者言葉である。 by wikipedia 若者が生み出した俗語だからそもそも意味は完全に固まっていないと

          「エモい」の構造を紐解く

          腐ったものをどう見るか

          前2つ前の記事で「ごみか芸術か」という記事を書いたが、それを今回は花を通した実写で考察したいと思う。 ※前提として私はただの華道家であって、花しか生けれません。アートと広義で書いたもののあくまで花を前提としていることはご理解ください。 まずは一枚の写真から。 これは役目を終えて腐った百合の花。 誰が見ても枯れている。見つけたらすぐに捨てられてしまうだろう。 続けて2枚目。 こちらは対称的に若々しく咲き始めている状態。どこを切り取っても美しく、まさに生を感じさせる。

          腐ったものをどう見るか

          憧れの先にあるもの

          私には確信がある。 人の憧れの先にあるもの、それは自然であり花である。 憧れ人は憧れる生き物だ。 生を受けて意識を持った瞬間から、命を失う瞬間まで憧れる。 ミルクから離乳食へ、楽しそうなおもちゃ、兄貴のかっこいい服、 テレビで見る芸能人、すごいプレーをするサッカー選手、中高生の先輩、 クラスでモテるイケメン、かわいい彼女、 ヤンキー、酒とタバコ、東京、そして大人。 田舎で育つと都会に憧れ、日本に育つと海外に憧れる。  お金が欲しい、英語が喋りたい。 海外

          憧れの先にあるもの

          建築といけ花

          いけ花は建築である。 いけ花は花をいける技術であり哲学である。 以前華道の歴史の記事をまとめたが、 一概に華道といっても情勢や歴史的背景によって時代に合わせて変化している。 始まりは神に備える供花、そこから身分の高い者の嗜みになり、時代が裕福になるにつれ庶民の装飾へと変化していった。 室町時代以降日本の数寄屋建築が一般化し、発展した時代に、空間建築である床の間に飾る手法として華道が発展していった。 そして昭和、平成、令和となった現代。建築空間は転換期を迎えている。

          建築といけ花

          〜未来の華道の話をしよう〜

          私には好きな言葉がある。 「まだ生まれていない世代の人生が今日あなたがとる行動によって大きく左右されるのです。」もちろん自分の人生なんだから自分が納得するよう生きればいい。 自分さえ納得できない人生を生きる人も多いと思う。 自分の命は自分だけのものではない。 ただ、自分が今生きる為に、何世代もの先祖たちが人生をかけて生きてきたということを、真剣に自分ごととして捉えなければいけないと思う。 私は幸にも不幸にも華道家の一族に生まれた。華道家として次の時代に何が残せるか。

          〜未来の華道の話をしよう〜

          華道が現代に生きる意味7 〜3週間で20社とコラボする意味〜

          2020年4月8日から始めた、毎日1つ花をいける【一日一花】。 6月12日現在、緊急事態宣言による自粛期間は終わったものの、7月16日までの100日間に期間を伸ばし、今日で76日目を迎える。 その間、この運動に同意していただいた企業20社とコラボさせていただいた。今日はその意味を書きます。 【コラボした企業】 1:たこ 金楠水産株式会社 https://youtu.be/4jZQqtVEPkg 2:バレエ商材 PRIMAQUA https://youtu.be/HU

          華道が現代に生きる意味7 〜3週間で20社とコラボする意味〜

          華道が現代に生きる意味6 〜日本は「深い」のか〜

          〜深い〜華道を生業として、思考や考え方をお伝えすると、よく言われることがある。 それは、「いや〜今の話は深いですね〜」「それすごい深いですね!」 【深い】。 ほぼ確実に言われる。 はじめはこの言葉に一喜一憂し、言われることに一種の抑揚感を得ていたが、ふと思った。 ??ということは今自分がいる世界は浅いということか。 深さを認識する時には自分がいる位置が関係する。 穴を掘っていることを想定すると、穴を掘っている本人は常に掘り続けるから深さに気付かない。 深さを感

          華道が現代に生きる意味6 〜日本は「深い」のか〜

          華道が現代に生きる意味5 〜母の日に思う事〜

          今日は母の日。一般的には「カーネーションを送ろう」的なイメージがなぜか浸透しているが、色々聞いてるとやはりそれぞれのお母さんの好きな物を送る、いわば第2の誕生日的な扱いでプレゼントする方が多いと思います。 リンク一つで送る母の日の誕生日プレゼントまずは華道家としての母の日に対する自分なりの答えを動画で作りました。 心に華をいける 華道家は花をいけるのが仕事ですが、心に響かないと意味がない。 花に対する見かけの美しさだけを表現するのではない。 その内側にある物、本質的

          華道が現代に生きる意味5 〜母の日に思う事〜