「原君、どこ行ってもうたんや…」伝説の求人広告から読み解くインサイト
「原君、どこ行ってもうたんや…」
こんな衝撃的な書き出しで始まる求人広告を
あなたはご存じでしょうか?
以下に画像と記事内容を貼付しますので
まずは読んでみてください。
とても大手では出せない内容ですが
「面白い!」の一言に尽きると思います。
今回はこの伝説とも言っても過言ではない
求人広告の記事を分析しながら、
求職者の共感を呼んだ部分やインサイト等を
一緒に考えていきたいと思います。
この記事の内容を実践すれば
今日からあなたも立派なコピーライターです。
(ちょっと言い過ぎでしたね…)
ぜひ、最後までお付き合いください。
1.求人広告の目的を正しく理解しよう
記事の分析をする前に質問です。
求人広告の目的とは何でしょうか?
「応募をたくさん獲得することでしょう?」
こう思っている人は割と多いと思います。
だから先に最初に解説が必要なのです。
求人広告の目的は
「自社で働きたい人を獲得すること」
これは先ほどのご意見と同じです。
しかし、もう一文足りないということを
大半の人事担当者や中手企業の社長さん
は意識していません。
答えは、
「自社に合った人、かつ自社で働きたい人
を効率よく集めること」
と私は定義しています。
まず、
前半の「自社に合った人」がとても重要で
いくら応募数が多くても、
自社に合わない人が来ても仕方がありません。
書類選考や採用面接等が負担増になるだけ
だと考えるからです。
「自社に合った人」を「効率よく集める」
ためには、ターゲット(ペルソナ)に対して
心に刺さる広告を提示しないといけません。
「数集めた方が安心できるんだけど…」
このように考える人は多いでしょう。
しかし、5人の採用枠があるなら、
応募者が5人で全員採用が一番理想です。
「でも採用率100%なんてあり得ない…」
そう思いましたよね?
しかし、戦略人事の思想の元、
経営計画から逆算して算出することに
慣れている人事の担当者は採用活動における
歩留まり率を把握していますので
この理論がすんなりご理解してもらえます。
歩留まり率から計算をして採用率が33%なら
15人集めれば5人採用できるはずです。
30人も50人も母集団は必要ありません。
詳しい話は前回の記事をご参照ください。
では、上記内容を前提にした上で
冒頭の記事の共感ポイントを考察しましょう。
2.この記事の共感はどこにあったか?
次に、
この記事の共感ポイントはどこにあるでしょうか?
一緒に考えてみてください。
私が考えたポイントは以下の4つです。
①良いことも悪いことも書いている点が
社長の温かく、根気強い人柄が
感じられて強い共感を呼んだ。
②根気よく使い続けると長所が見えてくる
という一文がキラーワード。
50歳を超えたダメ社員でもクビにせず、
最後までしっかり面倒を見る
=どんな人でも育成し成長を見守る
というメッセージが刺さった。
③長所を生かし、大手に負けない
(シャープの案件という証明もある)
という経営に対する安心感があった。
④すごい人は望んでいません
と言いながらも、
あなたにうちの会社の将来がかかっている
これが私にも出来るのではないか。
という安心感や期待感を獲得した。
私は自分自身の答え合わせも兼ねて
今回もAIにも同じ質問をしてみました。
ほとんど見解が同じでしたね。
質問の仕方にも寄りますが、ある程度の質問には
正確な回答してくれるようになったと思いますので
壁打ちとしてご活用ください。
ただ私が思うに、こんな所まで考えて
記事を作成していなかったと思いますよ。
今まで周りにこんな面白い記事がない等
偶然の要素が多数あったと推測されます。
一つ言えることは
加藤社長は採用の本質を理解していた
のではないかと思います。
(人の心の動きを肌感で把握していた
と言った方が正しいかもしれません。)
3.インサイトから逆算する採用コピー
ここまでが一般的なコラム等にもある
記事内容だったと思います。
ただ、ここで終わらないのが私の記事です。
なぜ、この話に続きがあるのかというと
ここから学べるエッセンスを抽出しないと
再現性が担保できないからです。
では複数の角度から記事を検証しましょう。
以下の内容は完璧ではありませんが、
記事の内容をこれまでのブランディングや
マーケティングの知識と掛け合わせて、
なるべく抽象化してみました。
①ストーリーテリングの力がコミカルな展開と
相まって絶大な効果を発揮したのではないか?
普通、自社の社員が「ダメ」とは書かない。
なぜなら会社のブランドを棄損するから。
しかし、この記事はそれを逆手にとって
根気強く長所を見つけてくれる会社という
ブランドを獲得してしまった…
それがこの記事のポイント。
ストーリーの力は絶大なので
活用して良いことは間違いないが、
この記事の真似は難しいと思うので、
構成には工夫が必要である。
ストーリーの基本として
V字の感情変化があるので
今回はそれを採用していると思うが
落とし方がポイントになる。
あと、社員に許可を取らずに
勝手に掲載するとトラブルになるので
掲載前の同意だけ取るよう注意が必要。
②以下の要素が入ると
バズる確立が上るのではないか?
・社員の人柄が分かる
(トップの人柄はやっぱり強力?)
・育成と成長がキーワード
・求職者に持たせたい感情は安心感と期待感
この記事にはないが、
・事業やMVV※による共感
・企業の経営状態
・業界としての将来性
この辺りも参考にして欲しい。
※MVV
…ミッション・ビジョン・バリュー
企業の使命、目標、行動指針のこと
③キラーワードの存在が必要不可欠
今回の記事では、
以下のフレーズがキラーワードになります。
「実は~~だということに気づいた。
根気よく使っていれば、
長所が見つかるもんです。」
これが20代~30代の若者にぶっ刺さった。
文脈も考慮してフレーズは考えて欲しい。
④インサイトをしっかり見極める
記事の内容から、求職者の心情として
どのような感想を欲しいのか?
逆算して考える必要がある。
以下の文章を一度読んだ後に
ブロック単位で逆方向へ読み返す。
それが求人コピーの作り方です。
記事の背景から
求職者はどう感じたでしょうか?
あなたも一緒に考えてみましょう!
ーーーー(ここから)ーーーー
・根気強く社員の長所を見つけようとする姿勢
・エリートの集まりではないが
大手には負けないという自信がある
・すごい人は望んでいない
(スキルはあまり求めない)
・あなたにうちの会社の将来がかかっている
(人柄は重視する)
このような文面から導き出される
求職者の心情、それは…
こんなダメな自分でも
この会社なら自分のことを見てくれる
きっと長所を伸ばしてくれるはず…
(心理状態は安心感と期待感)
声にならないインサイトを
喚起してあげましょう!
ーーーー(ここまで)ーーーー
如何だったでしょうか?
やっぱり何度読んでも
この記事を書いた人はすごいなと思います。
私もこんな記事を書きたいと、
求人コピーライターの血が騒ぎました。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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