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採用ブランディング作成手順⑥STP分析_ポジショニング編(採用ブランディング講座:vol.13)

自社は良い会社なのに中々認知されない
たまに応募者が来ても欲しい人材ではない
採用活動に行き詰り、何か突破口が欲しい

このように感じていたら、
それはもしかすると…

自社のポジショニングが周りと同じのため
レッドオーシャンの中で戦っている
からなのかもしれません。

そこで、今回は顧客のニーズから
市場をズラして独自の立ち位置を確立する
ポジショニング」について解説します。

本講座は採用ブランディングを目的としており
独自のポジショニング戦略の一環として
以下のステップで分析を進めてきました。

①現状分析(3C分析)

②現状分析(SWOT分析)

③STP分析(セグメンテーション)

④STP分析(ターゲティング)

今回の記事で他社との差別化を図る
ポジショニングマップを作成する所まで
解説していきたいと思います。


1.STPを振り返る

STPとはフリップ・コトラー氏が提唱した
マーケティング理論で、
以下の3つのステップで進めます。

S:セグメンテーション(市場を細かく分けて)
T:ターゲティング(自社のターゲットを決めて)
P:ポジショニング(どこのポジションで戦うか?)

セグメンテーションとは
市場を細分化する行為であり、
以下の4つの「属性」で分けます。

【セグメンテーションの4つの軸】
①地理的変数(ジオグラフィック変数)

 国や都市、地域といった地理的な条件に関連する特性。
人口動態変数(デモグラフィック変数)
 年齢、性別、家族構成、職業、収入等、人口動態に関連する特性。
心理的変数(サイコグラフィック変数)
 価値観、趣向、性格といった心理的な状態に関連する特性。
行動変数(ビヘイビアル)
 人の行動パターンに関連する特性。

しかし、「属性」で先に分けるのではなく、
顧客のニーズ」から分けると効果的と
ご説明してきました。

【ターゲティングに必要な6つの視点(6R)】
①Rank(優先度)
 
自社の事業戦略に沿って優先度付けが行われているか?
 世間が注目している市場か?
②Realistic(有効性)
 
十分な売上・利益を見込めるだけの市場規模があるか?
③Reach(到達可能性)
 
自社の製品・サービス、宣伝広告などのメッセージを
 ターゲットへ的確に届けられるか?
④Response(測定可能性)
 
対象市場の規模や特徴などを測定できるか?
 マーケティング施策の効果を測定できるか?
Rival(競合)
 競合となる企業は多すぎないか?
 参入障壁が低いとレッドオーシャンになりがち。
Rate of Growth(成長性)
 今後成長していく市場か?
 衰退産業(斜陽産業)へ新たに参入することは避けるべき。

また、ターゲティングには
以下の3つの戦略があります。

①集中型
 どれか一つのセグメントにターゲットを絞る
②差別型
 いくつかの対象を選択して、
 対象ごとに異なる訴求をする
③無差別型
 すべての市場を対象にフルカバーする

以上の内容からターゲットを決めたら
次は競合他社との差別化を図る必要があります。

そのためには、自社の立ち位置(ポジション)を
決める必要があり、ポジショニングへと移ります。


2.ポジショニング戦略を解説


次に、ポジショニングは
市場のどの位置に立ち位置を決めるために、
その方法として以下の2種類の方法があります。

①二軸図(ポジショニングマップ)
②比較図(マトリクス)

①の二軸図は縦軸と横軸の2つに
KBF(Key Buying Factor)
つまり、購買決定要因という
顧客が購入を決める要因を軸に据えます。

②の比較図ではKBFが縦に並び、
横は顧客、自社、競合と並びます。

細かい理論は以下をご参照ください。
一般的なポジショニングマップに関する
説明が分かり易く解説してくれています。

ただし、採用においてこれを
そのまま適用すると良くないことが起こります。

ここでいうKBFは採用に置き換えると、
内定を受諾する決定要因となる訳です。

その場合、KBF=条件(属性)であり、
待遇や環境で大手に対抗することは難しく
中小企業では差別化が難しいでしょう。


ではどのようにすれば良いでしょうか?

ポジショニング戦略には、
下図のように3つの訴求方法があります。

①No1訴求
 これは文字通り、特定の分野で
 競合他社には絶対に負けない要素がある企業が
 使える手法と言えます。
 大手が競合になりえる場合、中小企業では
 全く比較にならないケースが多いため、
 苦戦を強いられることが予測されます。

②Only One訴求
 No1ではないが、自社オリジナルの要素があり
 競合にはない魅力がある場合は用いることが可能
 な訴求です。

③土俵変更
 
この訴求は市場の軸をズラすことによって
 概念を変えてしまう方法です。

 例えば、スターバックスはコピー屋さんでは
 なく、「第3の場所」という居場所を提供する
 
という新たな市場を打ち出しました。

このように、3つの訴求の中でも
土俵変更だけは特殊な戦い方です。

スターバックスの例はこれまで無かった概念が
顧客にとっての新たなニーズの創出につながった
好事例と言えます。

同じようなことが採用でも出来ないでしょうか?

セグメンテーションでは顧客のニーズで分けて
抽出したセグメントから、
ターゲティングでペルソナ設定をして具体的な
顧客像を絞り込む所まで進んだ所で、
最後の仕上げとして、今まで採用ではなかった
新たな市場を打ち出すことを提案したいのです。

では次の章で、解決のヒントなる
事例をご紹介させていただきます。


3.市場をズラすとはどういうことか?


まずはセールスにおけるポイントから解説します。

以下の動画をご覧ください。
同じ日産の車でも時代と共にある変化が起きている
ということにお気づきでしょうか?

日産ガゼールのCM

日産セレナのCM

この2つの決定的な訴求の違いは
車自体に向けられているCMと
家族と一緒に旅行に出かけるお父さんに
向けられているCMとの差です。

つまり、セレナのCMでは、
日頃仕事ばかりしているお父さんへ
たまの休みに家族で一緒に出掛けよう!
というお父さんに向けた訴求なのです。

これを採用でも応用するには、
先程の軸が属性では難しいのです。

これではスペック勝負になってしまい、
やはり大手が入ることで条件勝負では
苦戦することが予測されます。

加えて、知名度が抜群に違いますから
同じ土俵(例えば新卒のマイナビとか)で
戦うのは無謀な話ではないでしょうか?

まだまだ、解像度が低いのです。

では、以下の内容に置き換えると
どのようみ見えるでしょうか?

具体的な内容に変わっているのは、
統計的なアンケート結果の考察ではなく。
内定者や辞退者等、自社に応募してくれた人から
ヒアリングすることが効果的です。

こうすると、学生のニーズが明文化している分
何を求めているのか?対比させ易くなったと
感じたのではないでしょうか?

ここで先程のスターバックスや日産のような
市場の軸をズラすとどうなるか
想像してみて欲しいのです。

【市場の軸をズラした事例】
No.3、5、7を使って新たな市場を創出

訴求軸
地元で一生働けて、安心して家族と過ごせる会社

企業側が提供できる条件
・県外に事業所がないため転居が伴う異動はない
・入社後、働きたい職種で働ける
・5年で自立できる能力や経験が身に付く
 (※知名度の低さをカバーしている)

ターゲットとなる人物像
地元を離れたくない若者で
結婚をしており、こどもがいる
または早く欲しいと思っている

企業側の努力で達成するべき内容
・業界水準の給与を支給することにより
 生活の安定性が担保できるようになる。
・普段、休みの日数が少ない点を
 記念日休暇や記念日手当等、支給して
 特別感を演出し、普段の苦労を労う。

・小さな地元の企業であれば、人間関係が固定
 されるため、良好な関係を築き続けるという
 努力は継続して必要。

周知する方法
・学生にのみアピールするのではなく
 納涼祭等を開催して地域貢献に努めることで
 普段から社名と企業の認知を向上させる。
・ターゲットとなる学生は地元の学校が多い
 ことから、学校とのつながりを大切にする。
 また自治体のイベント等で普段から
 身近にある企業であることを地元の人に
 PRし続ける。

あくまで一例とはなりますが、
そこまで費用をかけることなく
地元密着で事業を展開する企業では
ありきたりですが、有効な手段だと思います。

ここで重要なのは、
ただ認知があるだけ」という状態では
足りないということです。

納涼祭や自治体のイベントを例に挙げましたが
ここでしっかりと「家族を大切にする企業」と
いうキャッチコピーを浸透させましょう。

これが採用における
ポジショニング戦略の一例となります。


如何だったでしょうか?

ありきたりな事例でインパクトに欠けますが
結構、こうした地道な努力が実務上では
有効だったりするものです。

楽して利益を得ようとするのは
返って思わぬしっぺ返しを受ける結果になる
ことを見てきましたので
今回の事例を参考にしてみてください。


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