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採用ブランディング作成手順②現状分析を完成させる(採用ブランディング講座:vol09)

マーケティングリサーチの目的は
KSFを発見することである
と解説しました。

(記事はこちら)

今回は、前回の続きで3C分析における
競合と自社を調べるフレームワークと
何よりも〇〇が大切である(〇は最後に)
という話をしていきたいと思います。


1.競合分析の分析方法

最初に3C分析をもう一度確認しましょう。
下図をご確認ください。

3つの「C」
①顧客・市場(Customer)
②競合(Competitor)
③自社(Company)

前回は①の市場について
客観的にマクロミクロの視点で確認する方法
をご紹介しました。

今回は、競合と自社の比較と
顧客に焦点をあててご説明していきたいと思います。

まず、②競合(Competitor)について、

あなたは自社の競合を5社答えられますか?
(セールスの視点で考えてください。)

この問いには、経営に携わる方、営業の方は
当然のように答えられると思います。
それ以の方でも大半が答えられると思います。

しかし、採用で競合する企業を
同じく5社挙げられるでしょうか?

おそらくセールスよりも迷ったはずです。
人事担当者以外は分からない方が
多いのではないでしょうか?

なぜなら、リクルーティングの競合は
セールスの競合と同じとは限らない
という特徴があります。

これは新卒中途でも大きく違います。
同業種からの転職が多い中途採用と比べ
新卒は共通の軸はあるものの、
複数の業種を跨ぐことが特徴です。

例えば、「世界で活躍したい」としたら
商社や外資系がメインだと思われがちです。

しかし、それ以外にも
海運業界(貿易関係の仕事で海外勤務を目指す)
小売系(グローバル展開している企業を狙う)
航空業界(国際線の勤務を目指す)
といった具合に業界を跨いでエントリーされます。

視点が変わると競合が変化する点に注意して
競合他社を選定してください。

次に、競合と自社を比較していく訳ですが、
重要項目を一覧にしてまとめておくと良いでしょう。

【競合調査における重要項目】
①売上と利益、財務状況など
②市場シェア
③商品やサービスのラインナップ
④セールス、マーケティング戦略(IR情報を参照)
⑤口コミサイト等での顧客の評価

これをリクルーティングに置き換えて考えましょう。

【採用競合における重要項目】
①採用実績(職種と人数)
②競合時の勝敗率
③採用サイトでのアピールポイント
④採用設計、CXの戦略
⑤口コミサイト等の企業の評価

競合のことを調べたら次は
③自社(Company)へと話が移ります。

ちなみに、調べる順番と範囲が重要で
自社を先に調査したり、自社を中心に
調査しないことがコツになります。

どうしても一番詳しい自社を中心に
物事を捉えてしまいがちになってしまうため
市場のニーズは?⇒競合との比較は?⇒
自社と比較したらどうなる?
と、順序視点が偏らないように意識しましょう。


2.自社の分析方法


次に、自社の棚卸を行います。
強みや弱みを導き出すフレームワークを
ご紹介したいと思います。

それがSWOT分析になります。

上図をご覧ください。
縦の列が強み弱みの要素となり、
横の行が内部外部の要因を指します。

このフレームワークにおける
4つの象限と目的は以下の通りです。

【4つの象限】
①強み(Strengths)
②弱み(Weaknesses)
③機会(Opportunities)
④脅威(Threats)

【4つの目的】
①SO戦略 強み×機会
 …強みでチャンスを生かす
②ST戦略 強み×脅威
 …強みで脅威に対応する
③WO戦略 弱み×機会
 …弱みを克服してチャンスを生かす
④WT戦略 弱み×脅威
 …弱みと脅威の影響を最小化する

上記の目的に沿って、自社と競合を比較し
どのような戦略が有効か検証していきます。

セールスにおける戦略の例を
飲食業界を例にして、以下にご紹介します。

ここまで調査が進むと
情報が整理されてきたことでしょう。

この内容を元に、3C分析の各パートを
埋めて表を完成させましょう。

このように、各フレームワークを駆使して調査し、
成功パターン=KSFを導き出せれば完成です。


3.フレームワークのまとめ


如何だったでしょうか?
前回の記事と今回の記事で使った
3C分析に使う各種ツールを整理しましょう。

①顧客・市場(Customer)
 …PEST分析と5フォース分析
②競合(Competitor)
 …競合の選出と重点事項の調査
③自社(Company)
 …SWOT分析

このように順番通りフレームワークを
使って調査することが重要です。

単に、市場(顧客)、競合、自社を
比較して優位点を探そうと言われても
途中で手が止まってしまいます。

人によって若干説明が違うケースも
あると思いますが、一般的な理論を
ご紹介させていただきました。

ただし、前回もご説明した通り、
フレームワークは思考を手助けするツールです。

抽象的な概念(フレームワーク手順)と
具体的な概念(個々の企業の調査結果)とを
行き来して解像度を上げていってください。


4.一番大切なことは〇〇である


以上が、マーケットリサーチの基本のキです。

この調査は次回にご紹介するSTP分析という
ターゲット(顧客のターゲット設定)と
ポジショニング(自社の戦略の立ち位置)を
決める上でよい補助線となってくれます。

ここで少しだけSTPを予習しますが、
STP分析とは「顧客とは誰か」を特定し
その顧客に自社の魅力を伝えること
他社との差別化を図ることを目的とします。

しかし、顧客を理解するためには
もう一つのアプローチ方法がありますので
そちらをご紹介して終わりたいと思います。

その方法はズバリ!
インタビューをする」それだけです。

ただし、どのような顧客にインタビューするか
これが重要ですので、以下にご説明します。

セールス
・新規参入や新商品の場合はプロトタイプで
 モニターを募りインタビューする。
・リピーターでも、アンケートではなく、
 会員をイベントに招待するなどして
 直接インタビューする方法が望ましい。

リクルーティング
・採用選考に参加してくれた人の中で
 内定受諾者内定辞退者へインタビューを行う
・インターン終了時にインタビューを行う

ただし、顧客の声というものは
それだけで全てを評価するというのは誤りで、
インサイトと呼ばれる言葉できないが
深層心理では感じていることがあるため、
ここではファクトを集めます。

商品・サービスの感想を聞くのではなく、
(相手への嫌な印象を避ける心理が働くため)
モニターであれば、競合のサービスを
いくらで、どのように使っているか?
確認するといった質問が代表例です。

内定受諾者や内定辞退者に関しては
採用の各工程をすべて通過してくれた方なので
各選考過程でどの会社と比較してどう感じたか?
何が企業選びの決め手になったのか?等

心の動きを記録しておくと良いでしょう。

こうしたデータは後に方針を決める際の
キッカケになる可能性がありますので
ぜひ参考にしてみてください。

今回の結論
・マーケティングリサーチはSTP分析の際、
 よい補助線として機能する基礎データ。
・何より大切なのは顧客理解である。


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