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楽曲探訪:AKB48「言い訳maybe」

なにか物事に極めて感動したり、嬉しくなったり、センチメンタルな気持ちになったとき。

不意に頭の中で、昔聴いていた懐かしい曲が流れることがありませんか?

最近、私の中ではこの曲が流れました。

それは「AKBらしさ」のかたまり

言い訳maybe、本当に好きなんですよね。
どうしてこんなに好きなんだろう?っていつも思います。
いつ聴いても楽しい気持ちになれるし、歌詞は何も見なくても全部歌える。なんならサビもちょっと踊れる。不思議です。
多分思い出補正も十分にあるんですけど、それを差し引いてもメロディーと歌詞が良すぎますよね。

AKBの全盛期って、間違いなく「ポニーテールとシュシュ」からせいぜい「恋するフォーチュンクッキー」くらいの3年くらいのもので、その後はせいぜい「365日の紙飛行機」が当たったくらいだと思うんですけど。
「言い訳maybe」ってどう考えても世間ではAKBが流行する前、まだアイドル好きな人たちの間でしかAKBが認知されてなかった頃だと思うんですけどね。

なぜかこの「言い訳maybe」や「大声ダイヤモンド」にはありありとAKBらしさがあるんですよね。本当に不思議です。
じゃあその、AKBらしさってなんでしょうか?私が思うのは、以下の3つです。

①AKBらしい衣装
②AKBらしい歌詞
③AKBらしいメロディー

全部AKBらしいで揃えられてて、言語化を放棄していますね。
でも、この言語にならない「独特の雰囲気」、今までになかった「新しい感じ」がAKBらしさなんだと思います。

①AKBらしい「衣装」 〜アイドルの魔法

まず衣装については、茅野しのぶさんらオサレカンパニーによるものが大きいです。AKBの衣装って本当に計算されていて、シングル曲の選抜メンバー全員がまるっきり同じ衣装というのはないそうです。

確かに襟や裾の形やネクタイやリボン、髪留めとかは全員微妙に違うんですよね。
前田敦子さんがセンターの曲なら、もちろん全体の曲のイメージはあるけど、前田敦子に似合い、センターとして見栄えがするように衣装を作るようなイメージです。

例えば言い訳maybeの前田さんの衣装の場合は、彼女だけブレザーが長袖になっていて、スカートの形が足が長く綺麗に見えるように前に開いたようになっているそう。
あと、ブーツの紐が前田さんのものだけ黄色だとか。

センターで前田さんが踊る時に、とにかく前田さんが他とは違うように見えるように衣装で「仕向ける」ようにしていたんですね。言わば、前田さんに特別感を出そうとしていたと。

まあでも言い訳maybeに限ればそれは当然のことです。この曲は、1回目のAKBの総選挙で1位になった前田敦子さんがセンターとして世に出された楽曲。言わば前田さんが主役のお祭りソングなんですよね。

オサレカンパニー代表の茅野しのぶさんのこんな記事がありました。

そう。まず、衣装を着ることで「ただの女の子」から「アイドル」になるんですよね。
書かれていることに一言一句同意できますし、この時期から今においてもまったくスピードを緩めず、新しい素敵な衣装を作り続けられるってすごいです。

創造力の極みですよね。
新しいものも取り入れつつ、時代を読み取ったり、メッセージも込めたりして「アイドルの素」を作る。衣装ってすごいです。

話を言い訳maybeに戻して、AKBらしさがあるというより、衣装においては「言い訳maybeがAKBらしさ」なんじゃないかなって私は思うんですよね。

前田敦子さんのモノマネ芸人のキンタロー。さんが言い訳maybeをモチーフにした衣装を着てたり、ドンキのコスプレコーナーのAKB風制服って、全部言い訳maybeのような気がするんです。

楽曲の知名度の割に衣装の知名度か高いとでも言いましょうか。なぜかAKBの衣装といえば言い訳maybeになっている。でも、実感としては確かにそうなんですよね。
あえて理由を探すなら色が赤・白・紺でトリコロールで、ネクタイと髪飾りがかわいいのが理由でしょうか。
確かに、赤を中心にした3色使いの衣装がAKBらしい衣装のような気がします。

そうやって考えてみると、毎年紅白歌合戦に出場していた際の衣装って、どれもAKBらしい衣装だと思いますね。

制服っぽくて、そうじゃない。
シンプルだけどどこか新しい。
その辺の女の子とアイドルの中間地点。

そういうAKBの持つ「狭間」の魅力が詰まった衣装、ということなのかなと私は思います。

②AKBらしい歌詞 〜主人公は「僕」

一番言われるのがこれなのかなって思います。AKBの曲って、一人称が「僕」の曲が多いんですよね。
言わば男の子視点の曲が多いんです。
歌ってるアイドルは女の子なんだけど、男の子の気持ちを歌っていると聴き手に錯覚させるような。
AKBのファンは男性がやっぱり多いです。そこに感情移入のポイントをこちらに引き寄せているんですよね。

でも、女の子が歌っているので、女子の気持ちも汲めるというか。
結果的に、性にとらわれず、すべての人に優しい歌詞になっているんですね。

言い訳maybeの内容はどうでしょう。
「クラスに好きな子がいるんだけど、好きなのかわからない。夏休みに会えない間に、その気持ちが強くなった。恋かもしれないけど、言う勇気がないから片想いでいい。」という感じでしょうか。

ああAKBらしい。なんてAKBらしいんでしょう。改めて聴くと、本当に「AKBらしさ」でしかありません。

ポイントは歌詞の「片想い」を「そのままでいい」とする点でしょうかね。この手は秋元康が得意とするAKBの黄金パターンです。

著名なAKBの曲で言えば、「Everyday,カチューシャ」「ポニーテールとシュシュ」がこのパターンです。
公演曲やカップリング曲を含めれば、きっと他にも例示できないくらいたくさんありますがね。

いろいろ経験をしたりして知るわけですが、恋というものは、実ることの方が実社会においては少ないわけです。
たぶんAKBの曲が全部普通の恋愛の曲だったら、こんなにたくさんの人の心に響いていないと思います。

たくさんの人の心に響く、という意味ではもう一個黄金パターンがあって、「好きなら好きって言っちゃおう!その気持ちが大切!」という曲も多いです。
このパターンもAKBの曲では多いです。「大声ダイヤモンド」「ヘビーローテーション」がそうですね。「会いたかった」なんて、かなり直接的ですね。

そういうたくさんの人にとって、自分のことのように響くコンセプトやワードが散りばめられている。
それが、ある意味これでもかというほど群になっているので、「AKBらしさ」を形成して、私たちに親しみやすくなっているということなんでしょうね。

③AKBらしいメロディー 〜独特の疾走感

まずイントロから気持ちいいんです、言い訳maybeは。
ダンスや、MVで自転車を漕ぎ始めるシーンもそれを連想させます。

AKBの全盛期で人気の曲って、メロディーが明るい曲が多いんですよね。
「ヘビーローテーション」「ポニーテールとシュシュ」「大声ダイヤモンド」「10年桜」そして「言い訳maybe」。
並べてみましたが、もはやAKBらしさの暴力とも言えるようなラインナップ。

だからこそ、たまに出す毛色が変わった曲が印象に残るんですよね。「RIVER」とか「Beginner」、印象に残っていませんか?
個人的には「桜の木になろう」も印象に残っています。

あと、劇場公演曲との対比にもなっていると思うんですよね。この頃のチームAの「目撃者」公演とか、結構攻めた曲が多かったイメージ。
そういう「入り口」的に明るくてキャッチーなメロディーの曲が多くしていたのかなあって思うんですよね。

あと、言い訳maybeの作曲担当の俊龍さんって、他にもたくさん印象的な楽曲を制作してらっしゃるんです。
「RESET」「君と虹と太陽と」。同時期に姉妹グループのSKE48に「ごめんね、Summer」「恋を語る詩人になれなくて…」を提供しています。
あまり一般知名度はないけど、ファンなら必ず頷ける名曲が多いんです。どれもこれも「らしさ」を感じませんか?

私が好きなのは、「私たちのreason」。
本来なら、第3回じゃんけん大会のシングル用として制作されていた曲なんですよ。
島崎遥香さんが優勝したので、島崎さん用に新しく制作した「永遠プレッシャー」がシングル曲になったので、カップリングになったんですけど。
全体的に、音使いもメロディーもかなり「AKBっぽい」です。

俊龍さんは、今はすっかりアイドルマスターやラブライブといったアニメ系統の方に楽曲を提供しているようです。
個人的にはまたAKB関係に携わってほしいです。またAKB48には、「AKBっぽい」曲を聴かせてほしいんですよね。

まあここまで書いておいて言うんでけど、もちろん「AKBらしい曲」がすべて言い訳maybeのような曲とは限りませんよ。

あくまで引き出しの一曲。
もっと「AKBらしい」を細分化すれば、もっとAKBらしさはたくさん見つかると思います。


懐かしいのにどこか新しくて、やっぱり好きな曲

言い訳maybeをはじめとするAKBの楽曲の凄いところは、今聴いても楽しくて、どこか新しいところです。久しぶりに聴くと、ずっと聴いちゃうんですよね。

この「新しい」感じというのは、なかなかないんですよね。
音が生きてる感じ。とても11年前の曲とは思えないんですよ。
思い出補正も多くあるんだけど、それ自体が持つ力とでも言うんでしょうか。

やっぱり上手に言葉にできないんですが、AKBの持つ「AKBらしさ」。
時代が変わっても、他のアイドルにはないんですよね。

12月8日は、AKB48結成15周年

この記事は私のストックでいつかはアップする予定だったんですけど、今日アップすることにしました。

というのも、本日12月8日でAKB48は結成15周年を迎えました。特別な日なんです。

現役メンバーはもちろん、OGのみなさんもお祝いしてくれています。
本当におめでたい日なんです。

ついこの間、私はこんな記事を書きましたが。

この気持ちは変わらないんですけど、素敵な取り組みをしているメンバーを見かけました。
チーム8の藤園麗ちゃんです。
映像制作が得意みたいなんですが、コンセプトや内容が私の思うアイドル・AKB48像と合致しました。
こういうメンバーがいるのは、とても嬉しい。

AKBって、いいですね。
私はAKB48が大好きです。

きっと10年後も、同じことを言っていると思います。

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