ホットロッド

日常、身近にありながら見逃してしまいがちな些細なことも、徹底して追求していくと興味深い…

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日常、身近にありながら見逃してしまいがちな些細なことも、徹底して追求していくと興味深い事実が見えてくることが多々あります。そんな身近な雑学を追いかける「雑学マニア」です。「雑記帳」と題してまとめた31のネタについて、順次公開していく予定です。

最近の記事

雑学マニアの雑記帳(その27)統計の落とし穴

以前、国会中継を見ていた時のことである。「相対的貧困率」の統計を巡る与野党の応酬が興味深かった。与党側は貧困率の低下を自賛する一方、野党側は「貧困ライン」の低下を指摘して、貧困率が低下したからといって貧困が改善されている訳ではない、と突っぱねたのだ。どうやら貧困に関する統計情報の読み解き方について、与野党双方の主張が違っていたようだ。 やや分かりにくい議論であるので、厚生労働省のホームページで「相対的貧困率」や「貧困ライン」について調べてみることにした。まず相対的貧困率である

    • 雑学マニアの雑記帳(その26)中取り純米大吟醸直汲み無濾過生原酒特A山田錦

      最近の日本酒には、「無濾過生原酒」であるとか「純米大吟醸直汲み生」であるとか、様々な「肩書き」がついたものをよく見かける。しかし、ほんの40年程前までは、特級酒・一級酒・二級酒といった簡単な分類しか存在せず、現在のように多様な味わいを楽しむ時代ではなかったと言える。それが今では、酒造りにかかわる様々なパラメータによって、細分化された分類・表示が行われている。いったいどのくらいの分類要素があるのだろうか。これはひとつ整理をしておかねばならない。 分類の軸として真っ先に思いつくの

      • 雑学マニアの雑記帳(その25)月夜

        1974年に木星の13番目の衛星が発見された時、天文ファンとしては新発見に大いに沸いたものであった。地球には衛星(月)はひとつであるし、火星の衛星もフォボスとダイモスのふたつと決まっている。さすがに木星は大きいだけあって、衛星の数も多いなと思ったものである。1610年にガリレオが4個の衛星を発見して以来、360年余りの期間に、さらに9個の衛星が発見されたことになる。 ところがその後、衛星発見のペースは一気に加速した。望遠鏡の高性能化によって暗い天体も観測できるようになったり、

        • 雑学マニアの雑記帳(その24)バングラデッシュ

          テレビや新聞でバングラデシュに関係する報道を見てふと思ったことがある。昔は「バングラデッシュ」と呼んでいたのに、いつの間に「バングラデシュ」になったのだろう。かつて「グルジア」とロシア語読みで呼ばれていた国が、同国の再三に渡る強い要請によって外務省が正式に日本語の呼称として「ジョージア」という英語読みの国名を採用し、報道機関もこれに対応したことはあったが、バングラに関してはそのような大きな見直しではなく、微修正だ。どのような経緯でいつから変わったのか、謎である。 同じような「

        雑学マニアの雑記帳(その27)統計の落とし穴

          雑学マニアの雑記帳(その23)Youは何しにニッポンへ

          コロナ禍が広まる前まで、訪日外国人は急激に増加を続け、その旺盛な消費意欲を称して「爆買い」などという言葉が流行ったこともあった。さて、ここで疑問となるのが、訪日外国人がお金をいくら使ったのかをどのように調べているのかだ。街で「それらしい」人に声をかけてアンケート調査でもしているのだろうか。 早速、観光庁のホームページを見てみると、その方法が詳しく記載されていた。想像は当たらずとも遠からずであった。アンケート調査には違いないが、その対象は全国の主な空港・海港で、出国予定の外国人

          雑学マニアの雑記帳(その23)Youは何しにニッポンへ

          雑学マニアの雑記帳(その22)那須の算額

          栃木県那須町の那須歴史探訪館を訪ねた際、興味深い展示品を見ることができた。明和六年(1769年)三月吉日と日付が記された「算額」である。 算額とは、主に江戸時代に、和算(日本で発展した数学)の難問が解けたことを感謝するために、神社へ奉納した額のことである。算額には、その問題と答え、さらに解法の概要などが記される。あるいは、問題のみを記載して、その問題解決を祈願する目的で奉納されることもあったようだ。難しい問題を考案した者が、挑戦者を求めて広く問題を告知する意味もあったのだろう

          雑学マニアの雑記帳(その22)那須の算額

          雑学マニアの雑記帳(その21)花見酒

          寄席の高座に掛けられる落語の演目の数は、比較的頻繁に取り上げられるものだけでも100席を優に超えるのだそうだ。中でも季節感の漂う演目などは、その季節に合わせて演じられるため、寄席に通っているだけで季節の移り変わりを感じることができる。 例えば、桜の季節には花見に関連する演目である「長屋の花見」「花見の仇討ち」「あたま山」といった噺を楽しむことができる。思わず寄席帰りにどこか桜の名所にでも寄っていこうかという気分にもさせられる。 そんな中で、花見気分に浸りつつも、何か頭の片隅に

          雑学マニアの雑記帳(その21)花見酒

          雑学マニアの雑記帳(その20)「2月2日」節分

          このところずっと、節分は2月3日で立春は2月4日と決まっていた。しかし、かつては年によって節分の日付が違っていたように記憶する。早速国立天文台で公開している過去のデータを確認してみると、1985年以降、30年以上に渡って節分は2月3日、立春は2月4日で固定されている。30代以下の若い人たちは、「豆まきは2月3日」にするものと思っているかもしれない。 一方、1984年は、2月4日が節分、2月5日が立春であった。1952年から1984年までの30年余りの期間では、四年に一度は2月

          雑学マニアの雑記帳(その20)「2月2日」節分

          雑学マニアの雑記帳(その19)算帳

          その昔の話である。数学者であり、計算機科学の研究者でもあった某大学教授の講義が印象的であった。講義の中で、「算帳」「算譜」「算料」といった聞きなれない言葉が多用されるのである。通常は「ファイル」「プログラム」「データ」と言うべきところを、独自の訳語が使用されていたのだ。 この先生は、こういった科学技術用語の日本語訳の普及を推進されていた。しかしながら、残念ながらこれらの独自訳語が広く使われることにはならず、すべて原語を単純にカタカナで表記したものが使われるに至っている。これら

          雑学マニアの雑記帳(その19)算帳

          雑学マニアの雑記帳(その18)七福神みくじコンプリート

          以前、初詣に訪れた神社で「七福神みくじ」なるものを引いてみたことがある。すると、おみくじの中から小さな大黒天のお守りが出てきた。有難く身につけておくことにする。 さて、そこでふとした疑問を思いついた。仮に、七福神すべてのお守りを揃えたいと思い立ったとしよう。そして、七福神全てが揃うまで、このおみくじを何回でも引き続けるものとする。その際、七種コンプリートの目標達成までに引くおみくじの数の期待値はいくつになるだろう、という問題だ。前提として、七福神それぞれの出現確率は等しく七分

          雑学マニアの雑記帳(その18)七福神みくじコンプリート

          雑学マニアの雑記帳(その17)ろくでなし兄さん

          10月23日は「化学の日」なのだそうだ。何故この日が化学の日になったのかというと、化学の分野で重要な定数であるアボガドロ定数が、およそ次のような値となるためだという。つまり、最後の「10の23乗」という部分に着目して、10月23日が選ばれたのだ。 化学の日の由来に関しては納得したが、ここでひとつ疑問が湧いてきた。昔、高校の化学の授業で習ったアボガドロ数(当時はアボガドロ定数ではなくアボガドロ数と呼んでいたと思う)は次のような値だった。 この数の覚え方として、語呂合わせで「

          雑学マニアの雑記帳(その17)ろくでなし兄さん

          雑学マニアの雑記帳(その16)香りの記憶

          何十年も嗅いだことのない香りでも、再び嗅いだ瞬間にその昔の記憶が蘇ることがある。修学旅行で行った京都のお寺に立ち込めていた独特な「お香」の香り、あるいはアメリカの中華料理店内に漂っていた印象的な香りなど、もう記憶の彼方の出来事だと思っていたことが一瞬にして蘇るのだから不思議である。 そもそも、香りというものは記憶に残っているからといって、何の匂いも嗅がずにその香りがどのようなものであったか、記憶を呼び覚ますことは難しいと思う。視覚的な記憶ならば、富士山でも東京タワーでも容易に

          雑学マニアの雑記帳(その16)香りの記憶

          雑学マニアの雑記帳(その15)満月二日前

          2017年の仲秋の名月は10月4日であったが、その夜に雲間から顔を覗かせた月は満月には少し早く、やや飯櫃(いびつ)な形のものであった。実際に満月となるのは、その二日後の10月6日なのだ。旧暦に直せば、8月17日が満月となる。旧暦は1ヶ月が29日または30日であるから、真ん中は15日頃のはずで、17日に満月になるというのは、少し違和感がある。 その原因としてまず思いつく理由は、旧暦の日付の数え方だ。旧暦が使われていた頃の日本では普段の生活の中で「ゼロ」という概念は馴染まず、もの

          雑学マニアの雑記帳(その15)満月二日前

          雑学マニアの雑記帳(その14)新潟県は何地方?

          毎年、梅雨の季節になると、気象庁から梅雨入りや梅雨明けの情報が発表される。(実際には梅雨入りや梅雨明けの日付が正式に確定されるのは、ずっと後になってからであるため、「梅雨入り/梅雨明けしたと見られる」という表現で報道されることが多い。) その報道の際に、「山口県と九州北部では~」という表現を見かけることがある。その他の地域の場合には、「近畿地方では」とか「関東甲信地方では」といった区分が用いられるのに、何故山口県だけ県単位の発表なのか、不思議である。何故そのようなことになるの

          雑学マニアの雑記帳(その14)新潟県は何地方?

          雑学マニアの雑記帳(その13)朝ぼらけ

          百人一首でかるた取りをする際には、上の句が読まれるのを聞いて下の句の取り札を取りに行く訳だが、上の句の最初の五文字を聞いても下の句をひとつに絞り込めない句が三組あるという。「朝ぼらけ」「君がため」「わたの原」で始まる句である。これらの言葉で始まる歌は、それぞれ二首ずつあるために、こららの五文字を聞いただけでは、まだ取り札を確定できないのだそうだ。 さて、ここではかるた取りの話をしようというのではない。ここで着目するのは「朝ぼらけ」という言葉の方だ。夜明けを表す言葉であることは

          雑学マニアの雑記帳(その13)朝ぼらけ

          雑学マニアの雑記帳(その12)準天頂衛星

          カーナビ、あるいはスマートフォンの地図アプリなどでおなじみのGPS、その精度は現状数メートル程度と言われている。米国が運用するGPS衛星は30基以上打ち上げられているが、利用者の上空に位置して利用可能な衛星はその内のほんの一部であり、常時6基程度のようだ(準天頂衛星みちびきのホームページでは、全国主要都市から見た各種測位衛星の位置情報を見ることができる)。 より高精度の位置情報の測定には8基以上の衛星情報が必要とされている。そこで、日本独自の測位衛星「みちびき」を打ち上げ、数

          雑学マニアの雑記帳(その12)準天頂衛星