実録: ネズミ講の勧誘をわざと最後まで聞いた話
ネズミ講、まさか自分が誘われるとは、、、、
渡る世間に鬼はなし?鬼ばかり?
ネズミ講兄さん・姉さんとの出会い
ネズミ講兄さん・姉さんとの出会いは、ある日の居酒屋。
友人と晩御飯を食べていたとき、急に話しかけてきました。
たぶんこの時点で疑うべきかもしれないのですが、当時の私は引っ越ししたてで、その町には友人が少ない状況。
別にチャラチャラしているわけでもなかったので、一緒にお酒を飲むことに。
私が市民バレーチームを探しているという話をすると
「うちらもバレーボールしてるから、一回遊びに来なよ!」
との言葉が。実際後日、バレーボールにも混ぜてもらい単純に楽しかったのでそれはそれでよし。
とはいえ、ここで
「今度、うちの家で鍋でもしようよ」
というお誘いが。
特段疑ってなかった私は
「これを機に仲良くなれたらそれでいいか」
と思って、兄さん宅に遊びに行くのでした。
なんか急に夢とか質問してくるんですけど
さてさて、お宅に上がらせてもらうと、
あれれ?鍋の用意は?といった感じ。
そして座るや否や、
鬱陶しいくらい夢や目標を急に質問してくるのです。
所詮飲み屋で数十分話をして、一度だけ大勢でバレーボールをしただけなのに。
脈絡もなく夢とか聞かれたら構えますよね?
さすがにこの時点で危ういなと思い始めた私は、まずはテキトーに
「僕は本読むのが好きなんで、働く時間よりも、本を読む時間を増やしたいなとか思いますけどね。あとは海外旅行とか」
と回答。すると
「となると、お金いるじゃん?でも今の仕事しながら、お金増やすのって難しいから、これまでの友達の繋がりを活用してお金を獲得できればむっちゃ良くない?」
なんで金の話?
まぁ、100歩譲って、海外旅行にお金がいるのはわかりますよ。
でも、働く時間をセーブするのとお金をゲットするのって直接イコールではないですよね?
しかも、これまでの友達?いかがわしいニオイがプンプンします。
はっきり「なんか怪しいっすね」と言ってみた
たぶん私の顔色を見てか、
「不安に思うこととか無いから心配しないで」
とか言い出した。逆に怖いよ(笑)
だから、ここで私は試すような発言をしてみました。
「なんか怪しいっすね」
すると、
私の意見を聞かなくなる。
異様に儲かる話ばかりしてくる。
こちらからの質問の意図とは異なる回答をしてくる。
そして確信しました。
ははーん。これネズミ講だな。
知的欲求が目覚めてしまう
そして同時にこんなことを思い浮かべました
①キレたフリでもして帰る?
②ネズミ講の勧誘なんてもう二度話を聞けないだろうから、最後まで聞いて帰る
残念ながらこのとき、私の中で燻っていた知的欲求が目覚めてしまいました。
つまり、②を選択。
なぜなら、
「ネズミ講の人って、どんな話し方をするんだろう?」
ととにかく気になってしまったのです。
彼らの期待する金儲けなんかどうでも良くて、私は彼らの話し方自体に興味を持ってしまったというか。
なんせ私、大学院時代、インタビューや会話の調査をメインに、それを文字起こしして分析するみたいな研究してたんですよね。
一回のインタビューが2時間とかザラなわけです。当時30名以上は話を聞いたので、やっぱり人間の話し方には色々なパターンがあって。
とにかく私は、ネズミ講の勧誘を全部聞くことにしました。
そして、心に決めました。
「全部、肯定してみよう!そうすれば、相手も饒舌になってベラベラしゃべるだろう!」
ネズミ講特別公演、開幕!
やはり予想は大当たりして、ベラベラしゃべり始めました。
まずは商品パンフの説明から。
てっきりざっと読むだけかと思いきや、一品一品全部説明してくるわけです。
45分くらいは同じテンションで話し続けるネズミ講兄さん。
お前の体力は無尽蔵なのか?
もはやひたすら言葉を浴びせて、疲れさせる作戦なのか?とさえ思えてきました。
しかもこの45分間、同席するネズミ講姉さんが隣で
「すごーい」「買うしかない」
ってひたすら気色悪く頷いているのです。
極めつけは実演ショーへの参加。
私も謎の石鹸で手を洗ったり、掃除機を体験させられたり、「至れり尽くせり」のショータイム。
普通の賃貸マンションの一室から、CAさんがおみやげを売るようなカートが出てきたときは思わず吹き出しそうになりました。
もちろんカートにはネズミ講商品が沢山陳列されているのです。
ショーも終わりを迎えるころ
「これからよろしくね」
と言われましたが、これからなんてありえねーよ。
とは口にはせずに、テキトーに生返事。
すると、
「親とか親戚にはまだ相談しないでね。順序よくやらないとダメだから」
と追撃されました。
兄さん・姉さん、親・親戚どころか、あなた達のことをネットで晒してしまいました。
ごめんなさいね(笑)
ーーー
こぼれ話:『ネズミ講の社会学』を書いてみたい
もし今後もう一回ネズミ講に誘われたら
『ネズミ講の社会学』
という本を書いてみたいのです。
わざとハマり、そこに集まる人間関係を潜入調査して、分析したい。
ネズミ講内部を調査できれば、人間の脆さみたいなものを言語化できるんじゃないかと思ってはいます。
簡単には近づけない世界にこそ、ヒントが隠れているような気がします。
誰か調査してくれないかな?
というわけで、本日はここまで!
ご清読ありがとうございました!
明日もアクセスしてみてください!
ps
実際、組織の内部に潜入するという意味では、『暴走族のエスノグラフィー』という本があります。
暴走族に研究者が密着するという、読み物としても面白い学術書です。
この記事が参加している募集
いただいたサポート分、宿のお客様に缶コーヒーおごります!