わざとびしょ濡れになる「雨水浴」がしたい
朝からじめじめとした天気だった。細い糸のような雨が傘の外側から平気な顔をして服を濡らしていく。水たまりができるほどではないけれど、油断したらびしょ濡れになりそうな雨だった。
図書館へ向かう道すがら、傘をささずに走る子供の姿が見えた。私も傘を持つのが嫌な子供だったな、と微笑んでいると反対側から傘を持たないおじいさんがやってきた。傘嫌いというのは一生治らないのかもしれない。
予約していた『medium 霊媒探偵城塚翡翠』をカバンの中に入れ、図書館のすぐ脇にある誰もいない公園を