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空怨歌

空怨歌

卵が割れるように
このばかでかい大空が
ぼろぼろと崩れ落ちてしまえば
わたしはなにか別のわたしに
生まれ変わることができるだろうか

この空が
どれほどの哀しみを嘲笑って朝を迎え
どれほどの喜びに冷や水を浴びせ暮れていったか

空にとって
私は同情に値する存在ではなく
たった一刻の停滞すら許されないらしい

アスファルトや
植物や
地を這う虫や
人間や

空に見下されてきた
すべてのものが
一斉に

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君に教えてもらったこと

君に教えてもらったこと

もしもこの世界に
たった一人の足音しか聞こえないなら
私は大声で歌うだろう
耳を傾ける者は一人もいないけれど

もしもこの世界に
何十億の孤独が見えるなら
私は瞳を閉ざすだろう
こちらを見る目は一つもないけれど

肌寒い朝の窓辺で
コーヒーを飲んだあとの
白い吐息を眺めながら
昨日の夢をもう忘れている
私は歌っていたか
目を瞑っていたか

自分が一番
穏やかであれるはずの
あの懐かしい味を
思い出

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パニック障害

パニック障害

それは静謐な湖を乱すもの
ざらざらと黒い砂が吹き付けて
前触れもなく
つつましい営みをひっくり返すもの
生活の裏に這い寄る深淵
逃げ場を失った羊に牙が剥かれ
それは、たとえば嵐のように抗いようがないもの

身を寄せる相手も
跪く偶像もなく
ただ、それの気の済むまで
じっと息を潜めることでしか
逃れるすべはない
今日生き延びても
また明日来るかもしれない
たから
それなりの備えをして
ボタンと靴紐は

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