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空怨歌

卵が割れるように
このばかでかい大空が
ぼろぼろと崩れ落ちてしまえば
わたしはなにか別のわたしに
生まれ変わることができるだろうか

この空が
どれほどの哀しみを嘲笑って朝を迎え
どれほどの喜びに冷や水を浴びせ暮れていったか

空にとって
私は同情に値する存在ではなく
たった一刻の停滞すら許されないらしい

アスファルトや
植物や
地を這う虫や
人間や

空に見下されてきた
すべてのものが
一斉にこの星から切り離されて
空に落ちてゆけたなら
今度は空がわたしたちを見上げるだろうか

あるいは

そんなことはおかまいなしに
なおも空はおかまいなしに
明暗をただ繰り返すだろうか

膝をついて涙を流す
私の上を行き過ぎて
なおも朝を連れてくるのか
おかまいなしに

大事なお金は自分のために使ってあげてください。私はいりません。