![マガジンのカバー画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/121129140/52f62024e2f03fa3bffcf0c8bed63640.png?width=800)
- 運営しているクリエイター
2021年12月の記事一覧
Knight and Mist第八章-9 王都に吹く風
「そこまでだ!」
マンホールのようなところから顔を覗かせた途端、複数の槍がつきつけられた。
イーディスとハルカは肩をすくめて手をあげる。
「だから言ったじゃねーかトンチンカン! せめて城から出るくらいは距離を取ってから地下水道から上がろうって! バカ! マヌケ!」
「どこから地上に出たって一緒でしょ! 門の外に出ちゃったらまた入れなくて困るだけだし! なら一番手前でいいのよ!」
「厳重に
Knight and Mist第八章-8 絆
ーー苦痛。苦痛。苦痛。
ーー痛み。妬み。嫉み。
ーー羞恥心、自己嫌悪、怨嗟。
ドス黒い感情があっという間に心を暗雲のように包み込む。
「いった……い!!」
割れるような頭痛が襲ってきて、赤い視界が歪む。
切り裂かれるような胸の痛みと、視界にヒビが入るような苦痛。
全身が灼けるように痛い。苦痛のあまり声が漏れ出る。
夢とは明らかに違う何か。
憤怒。悲哀。憐憫。殺意。諦め。絶望。
Knight and Mist第八章-7セーブポイント
「あー、疲れた!」
イーディスが言い、それから瓦礫を超えて『その空間』へと足を踏み入れた。
そこは地下水道の一部が崩れ、奥に小さなスペースがある場所だった。岩肌が露出しており、整備はされていない。二人が寝るには充分なスペースがあった。
そして真ん中にはクリスタルのようなものが浮いている。
ハルカが近づけば、ハルカのペンダントとクリスタルが共鳴し、輝いた。
イーディスがハルカの胸元を覗き込
Knight and Mist第八章-6修行
「らあっ!!」
地下牢を脱出して、ハルカとイーディスは都の下を通る地下水道を歩いていた。
「迷路みたいだわ……」
「あの野郎、こんな複雑な地下水道なら地図ぐらいよこせってんだ! しかもこの魔物の数!」
イーディスが蹴飛ばしたのはスケルトンだ。数メートル吹っ飛んで壁に激突しバラバラになるも、また立ち上がってくる。
あの野郎というのは、脱獄を助けてくれたセシルのことである。
目下の目標はそ
Knight and Mist第八章-5地下水道
「はーん、それで、お前はなんでその大学ってやつに行かなくなったわけ?」
「それが、自分でもよくわかんないの」
地下水道をホテホテと歩きながら、イーディスとハルカは話をしていた。
この世界の話を聞くつもりが、いつのまにかハルカの身の上話となっていた。
「メシを食わせてもらって、たっかい金出してもらって、そんでなんとなく行かなくなるよーなもんなの? 大学って」
「うっ……それを言われると胃が
Knight and Mist第八章-4 プリズンブレイク
分かった。ユーウェインも変わり者なのだ。
セシルも変人。オーセンティックもまともじゃない。レティシアもまともに見えてちょっと変だしーー
「うん、私の周りは変な人だらけね!」
「んだとゴラァ!!」
返ってきたのはイーディスの怒れる声だった。
「お前俺様が変人だって言いたいのか! 攫われやがって、心配かけておいてその口か!!」
「あー! 待って待って! 燃やさないで!」
「燃やせるかよ!