中林宙昊

もう高校生

中林宙昊

もう高校生

最近の記事

最近のこと

忘れ物がひどい。本当に信じられないくらい物や事を忘れる。こないだは、自分で出ると言った文化祭の企画書を、楽器店と打ち合わせまでして、セッティングから完パケまで事細かく丁寧に記載したのにも関わらず、提出を忘れた。他にも、とある遠征のオーディションライブで大阪に行った時は、会場入り30分前に印鑑の必要な出演確認書を書いていないことを思い出し、現地の100均を3つくらい回って「中林」の印鑑を探し回っていた。こういうといわゆる武勇伝らしく聞こえてしまうが、全く誇らしいとも思わないし、

    • いま咀嚼してるから

      割り増し空が青く見える日もある。 多分それは昨日の空の色なんか、深々快晴だったのか、鬱蒼曇天だったのか、ぽつぽつ羊雲だったのか、並々名の知らぬ雲なのか、ハッキリ言って覚えてないからで、それでも目の前のこの空が、いつ見たときより青い気がするのは、なんかとてつもなく適当で、なんかとてつもなく素敵だと思った。 公園のベンチ、背もたれに両腕をかけ足を組み、大して大きくもない体をいっぱい広げて自分の居場所を作る。ここが俺の居場所だ。 擦れたり寄れたりでいつのまにか少しみすぼらしくも見

      • 襖(仮名)

        少しだけ、魔が差してみたかったのだ。 その一画だけはこの町の中でも随分と時分違いで月並み時が止まったよう、しかしながら鬱蒼繁茂する竹や雑草は留まるところなく背を増すばかり、囲まれ包み込まれ、だんだん森林化は進行するばかりである。 その家屋は、どこにだってあるような住宅街にふと突然間違ったようにあった。 石畳や門構えが立派だった頃はおそらくもう誰の記憶にもなく、生きたけもの道だけが残るその奥には、長年コツコツと篠突いた雨や吹き荒ぶ風により瓦すら朽ち、襖はほとんど盗まれたか土

        • 非難する自我・同一性の助長

          仕事人の朝は早い。 深く深い眠りから目覚めて時計を見る。 10:32 am やれやれ、午前中に起きちまうなんて健康優良児と勘違いされてしまいそうだが、この俺はそれとは程遠い存在の、いいやむしろ対極の位置に存在する。日々とある『仕事』に躍起になり、朝から晩まで仕事部屋にこもっては、一週間も太陽光を浴びないという日もなんらざらではない。 目覚めてすぐおもむろに目の前の、寝落ちしてつけたままだったパソコンに手を伸ばす。 さて、仕事の時間(work time)だ。 ひとし

        最近のこと

          すてる すてる

          ひどいシトラスの匂いがする。 シャワーを浴びずに勝手に寝るなって何回言っても聞かないのだから、私のベットはアロマディフューザーになってしまった。 横になった体をむくりと起こすと、重たいカーテンの隙間から入る日差しに、この狭いアパートの机の上が当てられていた。 そこには、カップヌードルのゴミや空いた缶ビールがうず高くってほどじゃないが積まれていた。このくらい片付けていってくれてもいいのにな、というのは少しだけわがままだろうか。腹を掻きながら立ち上がり、それらを集めて拾う。

          すてる すてる

          またすぐ、いまなく

          買い替える理由も、エゴも、機会も持ち合わせてはいないのでずーっと同じスマホを使っている。 だか、日々内包されていくアップデートやらアプリケーションは日に日にどんどんとギガ大きくなるわけで、よう小さいままのパッケージはもうパンパンにはち切れそうなのだ。 それでも買い替えぬ理由は特段何も思いつかないし、強いてはつまらない、愛着という他ない。 アラームを見た。 そこには、起きれないかもしれないからと分刻みに陳列された数字、まさしく愚鈍があった。とくに5時から6時までの間は酷くって

          またすぐ、いまなく

          視界の側

          ───きみたちは気にならないかね、自分が何の世界の住人なのか。 「まーた始まったよ、部長のキショトークショー」 地学準備室の一室を間借りした部室にその精鋭全員が、どこかから取り出して置いたままの折りたたみ式の机にパイプ椅子で座って集まっていたが、通常教室の半分も無いこの部屋すらやけに広く、方々に散った埃のほうがまだマンモス校を名乗るに相応しい状況であり、まあ、包み隠さずそのままに言うととどのつまり、 部員が3人しかいないのだ。 「なんだね浜部くんキショトークショーとは

          ヘルベチカ

          「──時に、何事も条件やルールがあってですね、」 頬を切る秋風が遮られ、車内にはバカ天気のいいひだまりだけが残り、妙にあたたかく、眠たくなってしまう、日曜の昼間の、電車。 しかしこの電車は人がごった返すことはない。とある県境に位置する、いわゆる辺境の地へと誘なう、まさしく赤字路線である。 しかしながら地域住民もそこを利用しなければ死んでしまうので、廃線というわけにもいかず管轄では問題視されている路線だ。 私はとある取材でこの電車に乗っている。 その目的地は終点の『へるべち

          ヘルベチカ

          かいりょくらんちん

          天と、地の緑の二つ原に挟まれ、少年田中聡は寝惚けかけている。 田中少年はこの田舎の村の、中等学部に通ってはいるが、職務たる勉学が輪をかけて不得意であり、修心ですら落第を取るような男であるから、担任教諭も手はつけられないでいる様子である。 さらに素行も悪いんじゃ鬼に金棒で、いわゆる不良というやつらしく、今現在すら授業にも顔を出さず真昼間から河原でふんぞり返っているという訳である。 学徒の風貌をしてはいるが、袖口から私服の袢纏がはみ出ていることに気が付かないのは着ている本人だけ

          かいりょくらんちん

          見えない幽霊であって

          一 空の青さが人とは逆に変わらないままでいるのは、いつかの落ちていった俺たちをあざ笑うためなのだろうか。 その青が深ければ深いほど、今の時期の寒さを想起させ、また一段と身ぶるいは大きくなる。 性に合わないな、早起きなんか無駄な努力だ。 そう思い、カーテンは閉めた。 一月。 昔馴染みの友達と会い、心身ともに満足、という訳には行かない人生で、それでも、SNSやらで「俺は成人式には行かなかった」といつまでもつぶやく大人にはなりたくなかったから、一生着慣れのしなさそうな晴れ着(笑)

          見えない幽霊であって

          荒癪人、

          何となく、親友だなんて思っていたのにな。 ベットに俯き、左手に握る取り替えたばかりの制服の、古い方のボタンが、どうにもむかつく。 とっかえっこに持って行かれた僕のボタンは、今、あいつの家のどの辺にあるんだろうか。 ベットに腰掛け、机にその五つを並べてみる。 あいつ以外にボタンを渡せる、もらってくれる友達なんていない。いなかった。 だから、僕のボタンは全部あいつが持っている。 それはあいつも同じで、あったはずだった。 うん、 もちろん、いや分かっていると言えば傲慢になるだ

          とて

          雨が降る前に、ここを去らなくてはならない。 状況を整理しておくと、私は中学三年生、年端も行かないガキであるがなんと既に死んでいる。 歩道を歩いていると眼前にトラックが飛び込んで来るのだから、遺言を書きそびれたことを今とてつもなく後悔している。 吹き飛ばされたと思った途端、視界は既に三人称にあり、 恐る恐る私だったものを見てもその体から血ではなくぱらぱらいろんな種類の紙が噴き出しているので驚いた。そこにやって来た天使、いや見た目こそそれを疑うグレー一色のコートに丁寧なハット

          コンビニエンス・ファイア

          一 「いらっしゃいませー」 喉に焼き付いた常套句は、客を通り過ぎ開いた自動ドアの先の、カンカン照りで蒸し暑く、嫌味というほど青い空に放り出る。 結論から言えば、コンビニのバイトなんて最初から何も期待していない。 この、夏の正午の大都市集中熱線にやられたなら、何の用もない人間でも、いいや誰でも脊椎反射的にセンサーをくぐり、この空調パラダイスへと駆け込みたくなるだろう。したらばもちろん、1日における来客者母数は膨大な量になり、そうすれば当然、内訳内においてハズレと言われるよう

          コンビニエンス・ファイア

          2007.03.01. 原稿、日立健太

          ご紹介に預かりました、日立です。 先日、祖父が死にました。 世間一般、俗世風俗的に晴れの日と言われるような、こんな日にこんな話をするべきではないんでしょうけど、死んだんです。 死因は、聞きませんでした。 仲がいい訳ではなかったし、聞いていい気分なものでもないと思ったので。ただ見せてもらった顔が整っていたので変な死に方ではなかったと思います。 祖父との思い出はありません。 私が生まれるずっと昔に煙になってどこかへ行ってしまった人らしく、そもそも自分に祖父がいることすら知

          2007.03.01. 原稿、日立健太

          ムカつく女とアップリケの推論

          ムカつく女がいる!!!!!! 何でムカつくのか、それを語らなければ私は文字書きカスからただのカスになってしまうのでここに記そうと思った。 考えられるムカつく理由 このように『キショ過ぎドライフラワー』になってしまったし、俺は優里でもなければ全部全部(優里も)嫌いなのでつが。 これ、見てくれたら分かると思うんだけど、なんだかどれも『明確な嫌いの理由』がないんですよね。 せっかくムカつくやつのことを縦横無尽に書き扱きおろしまくってやろうとおもったのに、メモ帳に書き下せたの

          ムカつく女とアップリケの推論

          汝の隣人を

          私は十年後の未来からやってきた。 かといって十年後は空に車が飛んだり、AIに支配されたりなどの技術的革新はこれといってなく、君たちのいる今とそう大差はないと思う。 ならなぜ未来からやってこられたのか。 ある日あてどもなく道を歩いていると、はずれの草むらに不思議な箱が落ちているのに気が付いて近づいて、拾ってみればいつの間にかこの時代にやってきていた。 十年前の私は4歳で、物心と言えるようなものがやっとついてきた程度であるからあまり当時のことは覚えていない。 なのでなかな

          汝の隣人を