見出し画像

社内会議をブランディングする:2月のand-orなう

■雑談:アフターコロナの集中術

こんにちは。アンドア株式会社の堀井です。
企業向けの研修講師とアスリートのパーソナルコーチングを仕事にしています。

さて、1月はコロナに罹りました。
細心の注意を払っていましたが、とうとう娘の幼稚園が学級閉鎖。その流れで我が家も4人全員が感染しました。

感染・発症して気づいたことは以下です(あくまで個人の感想です)

1.わかりやすい発症は2日程度
2.一方で、全快になかなか至らず、風邪っぽさが長引く
3.最もダメージを受けたのは集中力・集中体力
4.21時をすぎると何もする気が起きなくなり寝床につく

※個人の感想です

特に3.の集中力、集中体力へのダメージは残念でした。
物事に着手をしても、集中力が持続しなかったり、普段のようにぱっと言葉が出てこない。
幸い研修登壇や仕事には影響がないのですが、自分の中では頭が40%ほどダウンしているような状態が続いています。

そこでひらめきました。

「気が向いたもの、好きなことからやっていこう」

2016年、スイスジュネーブ大学教授のバヴェリア氏らはビデオゲームが認知力の向上に影響があることを発表しました。これまでの定説であった「ビデオゲームは脳に良くない」という一方的な意見に一石を投じる内容となりました。
具体的には迅速な情報処理、課題の切り替えの柔軟性、空間認識能力などでスコアの向上が認められたそうです。

確かに時間を忘れるほどゲームをすると、頭がスッキリしたり、物事が捗ることってよくありますよね。好きな物事に打ち込むことで、認知力や思考力が回復するのでは?という仮説のもと、挑戦しております。

ということで、私の場合は仕事時間が終わったら、娘とiPadでゲームをしたり、好きな料理を作ったりして思考力のリハビリを行っています。
重要×緊急マトリクスで日々のタスクを行うのもいいですが、どうも心が潤いません。そんなときは重要×気が向くマトリクスでいかがでしょうか。

■ニュース

★自社セミナーの年間スケジュール確定

月に1回のライブセミナー、対談セミナーを開催してまいります。
そして、年4回はアンドア・プロコラボレーターとの対談イベントを行います。様々な分野で活躍する専門家や、クリエイター、アーティストと創造誘発について対話。アンドアならではのセミナーにご期待ください。
初回は2/15(水)14:00-15:00です。2/2よりお申し込み開始です。

★メールマガジン配信開始

自社セミナーの月1開催に合わせて、メールマガジンが登場します。
あっさりした内容と、「美学にこだわる」というバリューをコンセプトに、セミナー情報やイベント情報を優先的にお届けします。

メールマガジンのサンプル


★【オンデマンド】自己肯定感を上げる対話の4ステップ配信中

ラーニングマネジメントシステム(LMS)を活用した、オンデマンド型セミナーが登場しました。いつでもタイムリーなトレンド情報を入手したり、職場の人材育成のヒントにお役立てください。
長期休暇(GWや夏季、冬季など)は、有料版短期集中講座も登場します。ご期待ください。


■特集:社内会議をブランディングする

コロナによる環境変化の代表例として「オンライン・リモート会議」が挙げられるでしょう。一方で、オンライン会議によって心身の疲労が増えたというデータもあります。しかし、その根本である会議の生産性や認知と言った内的要素よりも、デスクや環境といった外的要素ばかりに目を向けられています。
そこで、今月の特集は社内会議のブランディングについてです。対話力向上を専門にしてきた私達アンドアの実践知や、組織開発の現場で感じ取ったことをお伝えします。

引用:オンラインコミュニケーション協会「オンライン会議に関する実態調査」

・なぜカメラオフの参加者は増えるのか

リモート会議の七不思議とも言える「カメラオフ」。
技術流出の懸念や、プライバシーへの配慮から、カメラオフをルールにする企業もあります。しかし、多くの場合「なるべくカメラはオンで」という掛け声を耳にします。
それにも関わらず、カメラがオフなまま、終始無言な会議が進行する。

さて、そもそも「カメラオフ」という事象に対して、多くの人はどのように思っているのでしょうか?

アールサポート社の調査によると、「Web会議で、自分以外の参加者がカメラオフで参加している場合、あなたはネガティブな印象を感じますか。」という問いに対し、約半数以上の人がネガティブな印象を感じると答えました。

そう思う…57%
そう思わない…37%

出典:アールサポート

さらに、20代の回答は他の世代よりも顕著でした。

そう思う(男性)…64.1%
そう思わない(男性)…30.3%

そう思う(女性)…79.1%
そう思わない(女性)…18.7%

出典:アールサポート

つまり、カメラオフにはネガティブな印象を感じる人が多い。
にもかかわらず、どうして職場の会議で「カメラオフ」が増えるのでしょうか?
結論から申し上げると、


意図しないカメラオフは、場へのネガティブなサインと心得る


このスタンスで会議の見直しや、組織開発に取り組むことが重要です。


私自身が企業のマネジャーとして経験した中から申し上げると、「カメラオフ」が増える要因は以下です。

  1. 会議の目的やゴールが定まっていない中招集される…①会議の無目的化

  2. 司会者や講話者の一方的な伝達が長い…②インプット過多

  3. ゴールや目的もない中、突然指名される…③心理的危険性

  4. 対話が深まらない、対話人数が多すぎるなど、貢献しようのない場面が生じる…④企画ミスによる外野の創出

  5. 場への参画目的や安心感に懸念を感じた人から、やんごとなき理由でカメラオフになる…⑤「耳だけ参加」という方便

  6. みんながカメラオフだから、私もオフにするという同調が発生…⑥カメラオフ同調効果

  7. 時間が経過し「今さらなぜカメラオンにするのか」という変化への抵抗…⑦カメラオフ集団浅慮

不特定多数の人が受講するセミナーであれば、②(中には①も併発)が"意図して"起きるでしょう。

しかし、ここで重要なことは、職場の会議では意図せずに①〜⑦まで段階的に発生してしまうことがあるのです。そして、①〜④は会議の企画上のミス。⑤〜⑦は負のブランディングと大別できます。一旦ブランディングされてしまうと、組織文化として定着してしまいます。これを変えることは大きなコストが必要です。

・「負のブランド化」に要注意

組織開発を行う者として、ブランディングは避けて通れません。なぜなら、一度根付いた印象や文化は簡単に変えることが出来ないからです。

一方で社内ブランディングを軽視する深刻な口癖があります。それは、

「どうせ社内なんだから」

負のブランドを生み出す口癖

という一種の甘えや驕りです。
社内の人だから許してくれるだろう。そうした甘えが、社内の人の貴重な時間を価値のないものにし、エンゲージメントを下げていることが多いのです。

さて、ブランディングとは何でしょう。ブランディングとマーケティングの違いをわかりやすく表す例があります。

「私は頭が良いです」=マーケティング
「あの人は頭が良いよね」=ブランディング

どちらのほうが言いやすいでしょうか?
また、どちらの言葉に強く影響を受けますか?

まず言いやすいのは前者(マーケティング)でしょう。言えばいいからです。一方で他者に言ってもらうのは簡単ではありません。

次に言葉から強く影響を受けるのは後者(ブランディング)でしょう。信憑性があります。一方で前者は「本当かな?」と疑いたくなる面があります。

これを社内会議に転用すると、こうなります。

「この会議は意味がありません」=マーケティング
「あの会議には意味が無いよね」=ブランディング

前者のようなマーケティングは見たことも聞いたこともありません。


・・・一方で後者って、耳にしたことはありませんか?

しかも、このブランドイメージを変えることは困難です。
先程示したとおりです。

したがって、組織ではブランディングが超重要なのです。

極論を言えば、無駄にしていい会議、許してくれる時間は1秒もありません。働く仲間に対して、そのくらいの敬意と緊張感を持って企画し、意味のある時間を提供することが組織開発の基本スタンスと言えるでしょう。

・意味のある会議ブランドに育てる7つの方策

繰り返しですが、カメラオフは場へのネガティブなサイン。
そして、そのサインを生み出す根本は「社内への甘え」です。

では、会議を意味のあるものにするために。また、それを社内へブランディングするために、どのような工夫が必要でしょうか。
実際にいくつかの企業を支援している中でうまく言った事例を紹介します。

  1. 会議は「アウトプット(目標や合意)」がゴールと心得る

  2. 情報収集が目的なら情報提供者に心理的な報酬を用意する

  3. アウトプットに至るまでのプロセスを明示する

  4. 役割を付与する

  5. チェックインで小さなアウトプットを体験する

  6. チェックアウトで得た気づきや成果物を確認する

  7. 事後や変化を広報する

  1. 会議は「アウトプット(目標や合意)」がゴールと心得る
    ▶先輩コンサルからよく教えられたことです。「アウトプットの無い会議は無意味だ。」つまり、会議とは集まって話す手段に満足するのではなく、会議によって何をアウトプットするのかを主眼にする。
    当たり前のように聞こえますが、実際にこの基本を知らなかった人や、知ってはいたけど、つい会議手法や面子が気になってしまう人は多く見られます。

  2. 情報収集が目的なら情報提供者に心理的な報酬を用意する
    ▶「会議に成果なんか求めなくていい。情報が集まることが成果なんだ。」そのように信じる人も多くいます。
    現実論としてやや残酷な話をしますと、実際に情報を会議の場で初めて聞くのは、組織の上層部であることがほとんど。不都合な事実やヒヤリハットなどは、現場では既に共有されていることが多いのです。
    そして、情報を集まりにくくする要素があります。それは以下の2つです。
    ・報告して当然という、冷淡なリアクション
    ・報告した人間や内容を評価する
    これらは【行動弱化】という、やってもやらなくても同じ、やるだけ損といった感情をもたらします。極めて基本かつ重要な解決法は『教えてくれてありがとう』と、感謝を伝えることです。

  3. アウトプットに至るまでのプロセスを明示する
    ▶1.のアウトプットが決まったら、そこに至るまでの道筋を明示します。詳しいことはセミナー内容に譲りますが、プロセスの明示によって【達成予感】を醸成することが重要です。
    https://230215andor.peatix.com/

  4. 役割を付与する
    ▶対話に自主的に参加してもらう方策の一つが、役割の付与です。最たる例は小集団における「司会進行」です。
    例えば、「司会者は時間管理と、大きなリアクションを率先する。また、司会者はグループの全員が順番に担当する。」など、役割を明示して付与します。
    与えられた役割を全うしようとすることは、ピグマリオン効果などでもよく紹介されています。そうした人固有の良い性質を生かした工夫です。

  5. チェックインで小さなアウトプットを体験する
    ▶会議はどうしてもインプットの時間が多いものです。その際に有効な手続きが「チェックイン」という手法です。
    短くてもいいので今の自分の心境や期待することを話してもらいます。
    話す(アウトプット)することで聴く(インプット)する準備が整います。したがって、当事者意識や参画意欲を醸成する上でチェックインは有効です。

  6. チェックアウトで得た気づきや成果物を確認する
    ▶1.で触れたとおり、会議の目的はアウトプットです。そのアウトプットを言語化するポイントは、会議の終盤で気づきや成果物を言葉で発することです。それをチェックアウトと呼びます。
    会議のアウトプットや気付きが明確に認識できていなくても、人に言葉で伝えることで整理ができたり、認知できることがあります。そのように、言葉をアウトプットすることで参画者本人の理解を促す狙いがあります。

  7. 事後や変化を広報する
    ▶会議は会議の時間だけが価値のあるものではありません。開始のアウトプットがその後にどのような影響があったのか。どのような変化をもたらしたのか。他の人の様子はどのようなものか。そうした事後の変化を広報することも、会議のブランディングで重要です。また最近はチャットのチャネルや動画など、伝達手段が豊富に選べます。効果的な伝達手段についても会議の事務局は企画をしていきましょう。

・「定例」と言う名の思考停止

ここまでお付き合いいただきありがとうございます。
最後になりますが、やはり会議の負のブランディングを生んでいるのは甘えです。

我流でも許される
企画が荒くても許される
年長者だから許される
…だって、社内なんだもん

会議の負のブランディングを生み出すバイアス例

そこに加えるなら、もう一つの甘えがあります。
それは【定例】と言うなの甘え。

会議を定例化することで目的やアジェンダを考えずとも、生産性高く会議を執り行うことが出来ます。しかし、言い換えれば「思考停止」も発生しやすいのです。

先述の通り、会議のゴールはアウトプット。それは知恵と工夫の結晶であり、「思考停止」の対局に位置するものです。したがって「定例会議を回す」という表現からは、「思考停止のまま形だけの会議を行う」という姿勢が読み取れます。

そこで提案があります。
【定例】会議という中身こそ、先程の7つの方策を用いてリブランディングを行ってみてはいかがでしょうか?

・まとめ:限りあるリソースに経緯と尊重を

限りある時間、限りあるリソースをお互いが尊重しつつ、責任を行使する。
そのようなマネジメントが日本の常識として広まることを願っています。
それは、ほんとうの意味で多様性が尊重され、創造性で国力を牽引する時代の入り口となるでしょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?