著…日日日『私の優しくない先輩』
表題作『私の優しくない先輩』と、短編『吉乃さんはいいひとだから』を収録した本。
ほろ苦くも瑞々しい10代の青春が描かれています。
『私の優しくない先輩』は、主人公・耶麻子の視点で読むか、不破先輩の視点で読むかで、味わいが大きく異なる小説です。
先輩は耶麻子をしょっちゅうからかってきますし、耶麻子が弱気になっていると過剰なくらい励ましてくるので、耶麻子はなんてうざったい人だろうと思い、「優しくない先輩」だと言います。
けれど。
先輩は、耶麻子が目を赤くしているとすぐに気づきます。
それは、先輩がいつも耶麻子に会いに来て、耶麻子の姿をよく見て、耶麻子が何を考えているのか敏感に感じ取ろうとするから。
なぜ会いたいのか?
なぜ見たいのか?
なぜ知りたいのか?
先輩の気持ちを想像しながらこの小説を読むと、胸をギュッと締め付けられます。
どうして色々なことに協力してくれるのか?と耶麻子から尋ねられた先輩は、
と言います。
本当は…きっと違う言葉を言いたかったはず。
しかし先輩は自分の気持ちをグッと堪えました。
だって先輩は、耶麻子が南愛治くんに片想いしていることを知っているから。
だから、言いたい言葉と同じ意味を持つ、別の表現に言い換えたのでしょう。
なぜ本当の笑顔が見たいのか…?
わたしは何度読み返しても、先輩のその気持ちが耶麻子に伝わりますように…と祈らずにはいられません。
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