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著…日野原健司・渡邉晃 監修…太田記念美術館『怖い浮世絵』

 こんばんは。

 目を背けたくなるほど恐ろしい浮世絵ばかりを集めた本をご紹介します。

 わたしが特に気に入ったのは、月岡芳年の『郵便報知新聞 第六百十四号』。

 「これまでの悪行、忘れるな」というキャッチフレーズも目を惹きます。

 強盗や殺人を幾度も繰り返してきたにもかかわらず、いっこうに逮捕されなかった庄吉という男が、今まで手にかけてきた人たちの幽霊に昼夜問わずつきまとわれて責め続けられたことで前後不覚となり、ついに逮捕される…という絵です。

 庄吉が逮捕されたからといって、殺された人たちが生き返るわけではありません。

 でも、このまま庄吉をのさばらせておくのはあまりに無念!

 これ以上新たな被害者を出させてなるものか!

 と叫ぶかのように、庄吉の刀に掴みかかり、庄吉の体を押さえつけ、指を差して責め立てる幽霊たちのこの姿を、現実世界の犯罪者たちにも見せてやりたいです。

 犯罪者たちにだって人権はあるでしょう。

 でも、被害者は?

 命を奪われた被害者の気持ちは?

 家族を殺された遺族の気持ちは?

 …そう思うと、この月岡芳年の絵のように、幽霊が存在したら良いのに…とわたしは願わずにはいられません。

 現在の日本では、もし遺族が仇討ちをしたら遺族が殺人罪で逮捕されてしまいます。

 それでは被害者も浮かばれません。

 だからこの絵のように、幽霊が犯罪者を追い詰められたらどんなに良いでしょう。

 「自分を殺したのはこいつだ!」と幽霊が犯罪者を指差し、再び誰かを殺そうとしようものなら犯罪者の体を押さえつけ、逮捕に繋げ、新たな被害者の発生を防ぐことが出来たら良いのに…。

 葛飾北斎の『百物語 こはだ小平二』や歌川国芳の『名高手鞠諷実録』でも、被害者が幽霊となって犯人のもとへ舞い戻る様子が描かれています。

 その表情からは殺された無念さと恨みが伝わってきます。

 残念ながら、科学が発展した現代においても、犯人が見つからずに迷宮入りする事件は未だにあります。

 たとえば月岡芳年の『郵便報知新聞 第六百十四号』のように、悪い事をしたら必ず全ての犯罪者に相応の報いが訪れる世の中になって欲しいです。

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