著…スティーブン・キング 訳…矢野浩三郎 『ミザリー』
こんばんは。
読んでいると、
「痛゛い 痛゛い 痛゛い ! ! !」
と絶叫したくなる、世にもおぞましいサイコスリラー小説の名作をご紹介します。
わたしの周りには最後まで読み終えられずリタイアした人続出。
読み終えても「読まなければ良かった」と言う人多数。
読後感の良さは0。
だから決して多くの方にはおすすめしません。
おすすめしないのですが、この小説を読んだ人のうち数人が「交通事故なんか起こしてアニーみたいな奴に捕まったら大変だ…!」と以前よりも明らかに安全運転を心がけるようになったので、交通事故を起こさないよう戒めが欲しい方にのみおすすめします。
そう、主人公が運悪く交通事故を起こしたことによって、戦慄の物語は始まるのです…。
結末までネタバレしない程度のあらすじ紹介
この小説の主人公は、大ベストセラー作家のポール・シェルダン。
ポールは猛吹雪に見舞われて事故を起こし、死にかけていました。
両足を骨折。
意識不明。
呼吸停止。
そんな時、元看護師の女性アニー・ウィルクスが事故現場に通りかかります。
…と書くと、「うわぁ良かった!これでポールは助かるね」と安心しますよね?
そうじゃないんです。
全然良くないんです。
普通なら、交通事故の重傷者を見つけたら、警察に通報するなり、救急車を呼ぶなり、何らかのアクションを起こしますよね?
しかし、アニーはそうしませんでした。
なぜなら、アニーはポールの歪んだファンだから…。
意識を取り戻したポールはすぐに気づきます。
自分が見知らぬ女の家に居ることに。
大柄で怪力のアニーは、なんとたった1人で、ポールを人里離れたアニーの自宅へと連れ帰ってしまったのです。
…いや、宝物を「持ち帰った」とでも言うべきでしょうか?
当初、アニーは献身的にポールを看護していました。
両足を折ってしまっているポールは、食事も、排泄も、全てアニーに頼らないと、自力では到底ままなりません。
大好きな作家に会えただけでなく、まるで着せ替え人形のようにお世話が出来てご機嫌のアニー。
しかし、ポールはすぐに気づきます。
この女、おかしいぞ…と。
アニーはポールの『ミザリー』という小説が大のお気に入り。
『ミザリー』は既に完結した作品。
しかも、『ミザリー』の主人公ミザリーはストーリー上、とうに死んでしまっています。
それなのにアニーはポールに要求します。
続きを書け、と。
ミザリーが生き返る続きをわたしのために書け、と。
ポールは抵抗。
しかし、アニーは諦めません。
書かせようとするのです。
そう、たとえポールが嫌がっても。
逃げようとしても。
ポールに外部との連絡を取る手段はありません。
そこでポールは自力で脱出する手立てを必死に考えます。
しかし、ことごとくアニーに見破られます。
大怪我や薬の影響によって心身は不調。
いつ終わるとも分からない監禁生活の不安に加えて、意に沿わぬ続編の執筆を人の形をした怪物に強要される極度のストレス。
ポールの精神状態は日に日に追い詰められていきます。
それでも諦めないポールに、アニーはどんどんエスカレート。
凄まじい固執ですが、アニー自身に悪気は全く無いのです。
アニーはポールのナンバーワンの愛読者を自称しているのですから。
なおも脱出を試みるポールを見て、アニーはひらめいてしまいます。
狂気のアイディアを。
ポールに逃げられるくらいなら、いっそ最初から逃 げ ら れ な いようにしてしまえばいいじゃないか、と…。
以上がこの小説の簡単なあらすじです。
大事なことなのでもう一回言います。
とにかく痛い、苛酷な小説です。
わたしは小学生の時に初めてこの小説を読み、アニーの歪みまくったファン心理にゾ〜〜〜ッと凍りつきました。
読後しばらくは「アニー」と音の響きが近い言葉にさえビクッと怯えていたほどです。(「兄」など)
たまにまともそうな話をするのに、いつブチキレるか分からない、アニーのそのまだらな感じがまた怖い。
そしてわたしはこの小説から大事な教訓を得ました。
安全運転をしないといけない! 特に雪道での運転は危険だ! と。
スティーブン・キングが言いたかったのは多分そういうことじゃないとは思うのですが。
ポールも後悔したはずなのです、あの時事故さえ起こさなければこんな悲惨な目に遭わずに済んだのに…と。
皆さん、絶対に交通事故を起こさないようにしましょう!
わたしは身内を何人も大きな交通事故で亡くしているため、交通安全運動の一環として今回この記事を書きました。
事故は起きる時はどうしても起きてしまうものですが、少しでも事故を起こす確率を下げ、もし起きたとしてもその規模が最小で済むように、対策をしましょう。
万が一、大きな交通事故を起こして動けなくなったところを、アニーのような人に捕まってしまわないように…。
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