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著…名取寛人『スカートはかなきゃダメですか? 〜ジャージで学校〜』

 人ってつい「どうせ自分なんか…」と思ってしまいがちだと思いますが、この本を読むと、「今はこうだけど、じゃあこれからこうしてみよう!」と考えて工夫していく大切さにも気づかされます。

 著者は幼い頃、「自分の心は男の子だ」と気づいたのだそうです。

 当時は「性同一性障害」という言葉がまだ一般的には知られていない時代。

 著者は女の子として生まれた自分の体を受け入れようと苦しんだけれど、やがて女性と付き合い、男性ホルモンを打つようになり、男性ダンサーとしてデビューし、胸を除去し、ニューヨークへ渡ったそう。

 バレエを集中的に学び、男性ダンサーが全員女装でクラシック・バレエのパロディをパフォーマンスするトロカデロ・デ・モンテカルロバレエ団に入団!

 その後、性別適合手術を受け、日本に戻り、バレエクラスで教えるようになったそうです。

 性別の壁。

 言葉の壁。

 文化の壁。

 ありとあらゆるバリアがある中、自分らしく生きることを諦めなかった著者は凄い!

 また、

 「僕は今の身体になりたくて手術を受けて、今の自分に満足しているが、人にむやみに勧めることもしたくない。性別を変えなくてもその人の個性の一つとして捉えて、堂々と生きられる社会になれば、手術についても、もっと自由に選択できるようになると思う。そして、性別は2つだけではないということをもう少し理解してもらえたら、もっと広がる世界があると思う」

(著…名取寛人『スカートはかなきゃダメですか? ジャージで学校』 P128から引用)


 という言葉にも共感しました。

 わたしの友人の中には、男性から女性に変わった人や、女性から男性に変わった人、男性として男性が好きな人、女性として女性が好きな人、特に性自認のない人もいますが、全てがその人たちの個性なんですよね。

 そもそも、これだけ地球上に沢山の人たちがいるのに、性別を2つだけに絞るのって無理な話だと思います。

 生まれる時に自らの性別を選択出来たかどうかなんて分かりませんし。

 成長するにつれて「あれ?」と思ったとしても全くおかしくありません。

 世の中には「心と体の性別が違うと言うなら性別適合手術を受けないのはおかしい」と心無いことを言う人もいますし、それはそれで一つの意見ですから尊重されるべきですが、手術にはリスクが付きものですし、受ける・受けないは個人の自由なので、強制出来るものではありませんよね。

 それに、みんな見た目も心の中も、色んな面を持っているはず。

 性別を「男」か「女」だけに限ってしまうのは、せっかく豊かな機微を持つ人の心をがんじがらめにして、とても広いこの世界をわざわざ狭くしてしまう、もったいない考え方のように思えます。

 「男」か「女」かということにとらわれ過ぎず、誰もがもっと自分らしく生きられる世の中になりますように。


 〈こういう方におすすめ〉
 「自分らしさ」とは何か考える機会が欲しい方。

 〈読書所要時間の目安〉
 1時間前後くらい。

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