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著…ポール・ヴェルレーヌ 訳…祇遠偲世『月魄の楽響 -Fêtes galantes-』

 物悲しい音楽を聴きながら読むのがおすすめの詩集。

 美しい挿絵がついています。

 その絵の世界と自分との境目が曖昧になって、ゆっくりと解け込んでいくかのような感覚に浸れます。

 難解な詩ばかりなので、何度も読み込む必要がありますが、とても切ない心情を綴っているおかげなのか、読む度にまるでジグソーパズル同士が合わさるかのように詩の内容が自分の気持ちとだんだん重なってきます。

 わたしは特に、

 「意味なき涙と そら笑い
  悲しみ舟と 揺れゆられ
  言いえぬ虚しさ 波を打ち
  葦ともなれぬ この弱さ!」
(『氷粉雪 -En patinant-』より引用)

 という一節に共感しました。

 葦ともなれぬこの弱さ!

 かつてパスカルが「人間は考える葦である」と言ったそうですが、実際には葦よりもずっと脆く儚い時がありますよね、人間の心って…。

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