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映画の深読み&考察

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深読み・考察しながら、映画への愛を熱く語ります。
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2022年12月の記事一覧

イアン・ボノート監督『マックイーン モードの反逆児』

 赤色ではなく、血の色を用いる人。

 白色ではなく、骨の色を用いる人。

 自分の命を削って、あの美しい世界を創造した人。

 わたしはアレキサンダー・マックイーンにそういう印象を持っています。

 生前のコレクションの映像や写真を観る度に、今も圧倒されます。

 この世の者がこんなデザインを生み出せるのだろうか…? とゾッとするほど美しい作品ばかりで。

 「僕のショーは全て私的なものだよ」

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アレックス・ガーランド監督『エクス・マキナ』

アレックス・ガーランド監督『エクス・マキナ』

 深夜から夜明けまでの間に再生したくなる映画。

 何度観ても残酷なストーリー。

 なのに、透き通るように美しい。

 絶望的な展開を観ているうちに、自分まで永久の闇に囚われるかのような気分に陥った頃、この映画の結末が映し出され、そして現実世界にも夜明けが訪れると、言葉では言い表すことの出来ない気分になります。

 ※注意
 以下の感想及び考察には、結末に関するネタバレを含みます。
 未鑑賞の方

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ロイック・プリジェント監督『カール・ラガーフェルド スケッチで語る人生』

ロイック・プリジェント監督『カール・ラガーフェルド スケッチで語る人生』

 カール・ラガーフェルドについて紹介する場合、彼があまりにも世界的に有名であるが故に、どのメディアも、彼の有名なデザインの数々や、大御所デザイナーとしての彼を持ち上げまくってしまい、では彼自身はどんな人物で何を考えているのか? はよく分からないままのことが多い印象です。

 しかし、このドキュメンタリー映画は、敢えて彼の作品の写真や映像を扱いません。

 彼自身がカメラの前で即興でスケッチを描きな

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キーネン・アイヴォリー・ウェイアンズ監督『最凶女装計画』

キーネン・アイヴォリー・ウェイアンズ監督『最凶女装計画』

 下ネタと下ネタと下ネタで出来ているお下品な映画ですが、わたしはこの作品が大好きで何十回も観ています。

※注意
 以下のレビューにはネタバレを含みます。

 「だってプラダだもん」 特にわたしが大好きなのは、金髪美女に変装している男性刑事(以下、金髪美女)がひったくり犯にバッグを盗られて、もんのすごい勢いで走って追いかけていくシーン。

 逃げるひったくり犯。

 追う金髪美女。

 速い速い速

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リナ・プライオプライト監督『アドバンスト・スタイル そのファッションが、人生』

リナ・プライオプライト監督『アドバンスト・スタイル そのファッションが、人生』

 このドキュメンタリー映画に出てくる女性たちは皆、年齢を重ねています。

 若くて62歳。

 最高齢はなんと95歳超え!

 でも、この映画に登場する女性たちは皆「年齢を重ねた」人たちですが、その中に「老いた」人は一人もいません。

 皆とびっきりお洒落!

 まるで、年齢をもアクセサリーの一部にしてしまったかのよう。

 以下は彼女たちから飛び出した名言です。

 そんなパワフルな彼女たちが時

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