本は人生のおやつです!!店主

「本は人生のおやつです!!」という名の書籍と雑貨の店をしております。2010年より11…

本は人生のおやつです!!店主

「本は人生のおやつです!!」という名の書籍と雑貨の店をしております。2010年より11年間大阪で本屋をしていましたが、この度、兵庫県の朝来市山東町に移転いたしました☆ どうぞよろしくお願いいたします☆★☆

最近の記事

「まだ詩人が一目みれば詩人だと弁別できた時代の名残りが、ひらがなの配置や真中の点あたりに漂っている」

 「真に迫る人物評」なんていうものは、「優しさだけでは書けやしない!」と思い知らされた一冊でした。しかし、優しさだけでは書けないとはいえ、その根底にはまずもって相手への愛情があり、だからこそ「書きたい」という想いが生じ、そして「見る」という行為がはじまります。  いかに好きであっても親しくとも、ときに冷徹だと感じられるくらいに見続けることができるかどうか。「観察」し続けることができるかどうか。それが、人物評論の要(かなめ)なんだということが、文章の端々から感じられました。

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    • 「その、いまそこに在り、いつまでも同じ状態でつづきそうに見えていたものが、次の瞬間にはこの世から無くなってしまっている具合を書いてみたい」

       「庄野潤三が好き!」という人の多くが庄野文学を好む理由が、ほぼすべてこの一冊に詰まっているといってもけっして過言ではありません。  奇を衒わない清らかで美しい言葉づかい。楚々とした可笑しみから引き出される、えもいわれぬあたたかさ。そして、実はそのあたたかさとは裏表に、生きる哀しみが存在しているところ。哀しい哀しい、って書いているわけではないけれど、ちょっとした小さなことからも喜びを見出せるのは、それがいかにあり難いことかを知っているからで、そういう意味において「哀しみを知っ

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      • 「人びとは言葉なくして得た愛情を、必ず言葉によって失っている」

         日本において、現代人が「読書好きになるきっかけになった作家」を挙げればきっとベスト10に入るのではないかと思われる星新一。わたしも例にもれず小・中学生のころにドハマりし、その著書を片っ端から読んでいったことがあります。以来、実に三十年ぶりくらいで最近『ボッコちゃん』を読み返して気づいたことはといえば、あのころの自分は星新一のすごさを何ひとつ、全くもって何ひとつわかっていないままに読みまくっていたのだなー、ということでした。  「ショートショートの名手」として名高い星新一の

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        • 『増補改訂版 奇妙な孤島の物語』

           「地図」とは一体、なんなのか。 「地を表す図」。とはいえ、地という立体を正しく図という平面にするのは、無理がある。  となると「地図」って一体、なんなのか……!  「地図は地図」だとなんの迷いもなく捉えていたのですが、このユーディット・シャランスキーの言葉を読んだが最後、その考えを改めざるを得なくなりました。  「世界的な共通認識(であると思っていた)地図」を、ここで言うように「思い切って単純化する抽象と審美的な世界の所有との間をなす芸術」と見做すのならば、それはひとりひ

        「まだ詩人が一目みれば詩人だと弁別できた時代の名残りが…

          「自分の魂にだけはうそをつきたくなかった」

           「本とは、読んでみなければわからない」その事実を改めて感じさせられた、モームの『月と六ペンス』でした。  世界的にも有名な作品がゆえ、少し調べれば大体のあらすじやなんかはすぐにわかるのですが、「いつかは読む」と思っていたために調べることもなく、なんなら前情報が入るのを故意に避けていました。  タイトルの印象から「月夜の似合うような、ロマンチックな感じ」かなと思っていたそのイメージは、ある意味では大いに覆され、ある意味ではその通りだと感じました。  『月と六ペンス』は、途中

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          「自分の魂にだけはうそをつきたくなかった」

          「私の思い出にある大阪のすべてを書こうと私は心にきめた」

           この春兵庫県の朝来市に移転しましたが、昨年末までの十一年間、大阪のそれも市内で本屋を営んでいた人間が、よもやまさかこの本を未読だなんて、一体誰が想像しうるでしょうか……!  「読んでない」と言えば「嘘でしょ!」と驚かれるくらいに、大阪を愛し、そして大阪で生まれた文学を愛した人たちのなかで読み継がれているのが本書であり、本書の作者・藤沢桓夫です。例えばオダサクこと織田作之助のように、その代表作のいくつもが現在でも簡単に入手でき、今なお多くの読者を持つ作家であるとは言えないな

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          「色彩の性質。わたしの本では一切は青色だ。」

           最初から最後までこんな夢見るような気持ちで読める本って、一体この世に何冊あるのでしょうか……!  18世紀のドイツロマン派の代表的な詩人・ノヴァーリス(1772〜1801年)が、その短い生涯の最晩年に書いていた小説『青い花』は、未完ながらも存分に「本を読みたい!」という読者の欲求に応えてくれます。なぜならば、「ロマン主義」の名にし負う類い稀なる感受性のもと、人ひとりが想像し得る限りにひろびろと羽ばたいていく思考の道すじを、まぎれもない「詩人のことば」で綴っているからで、しか

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          「色彩の性質。わたしの本では一切は青色だ。」

          「移転日記」、これにて完・結!

           プレオープンだけではなくなんなら既に本オープンも無事果たしたわけですが、引き続き障子の張り替えやら消毒液を置くテーブルを作ったり、一つ終わればまた一つ、「あっ!これもやらな!」が出てきてしまうので、「開店準備」ですら、もう終わったのかまだ終わっていないのか、自分のことながら微妙に判断がつきません! とりあえずオープンはできたのだから、一応終わったのだろうか……。  ちなみに、プレオープン前日に金庫を買いに行き(エアレジにするかどうか、さんざ悩んだ結果としてぎりぎりに金庫を

          「移転日記」、これにて完・結!

          本屋の棚に本を並べる話

           プレオープンはすでに終了しており、なんなら明日が本オープン! ですが、結局バタバタしていて更新もストップしたままでした……おおお!  さてはて夫が階段を作ってくれていた同じ時、店内ではウエハーとヒラ☆リーのニスが乾いた瞬間から、怒涛の本入れが始まっておりました……!  本来、オープンする前の本屋の本棚に本を詰め込んでいく作業って、わたしめっちゃ好きなやつーっ!! まだ何も置かれていない棚に自分好みの本を一冊一冊差し入れていくのは、ひとつも足跡のついていない雪の上に最初の足

          本屋の棚に本を並べる話

          階段をつくる男2

           遍く作業は、ニスを塗って乾かす時間が一番かかるのです! というわけで、その時間をさておいたら、この男改め夫はほぼ一日で必要な高さ&幅のステップを作ったやないかーい!  追い詰められたら人ってできるものなのですね。なんでもできてしまうんだなぁ……! というわけで、夫が行ったステップづくりの作業は以下です! 1.木材買う 2.木材切る 3.ニス塗る 4.ニス乾かす 5.木材と木材をドリルでぶりぶり繋げていく(一段ごとで、今回のステップだと三段分 6.高さの違う三つの段を、階

          階段をつくる男1

           そんなことで店内の棚づくりはヒラ☆リー1号の完成で一旦ひと段落。ニスが乾くのを待ち、そこから怒涛の本入れが始まったわけですが、わたしが店内でドタバタしている一方、店外では何が起こっていたかというと、夫がひたすら階段を作っていたーっ!!!  というのも、店は路面店ではありますが床がかなり高く(地面から80センチくらいはある)なっていて、建物のなかに入るために元々は大きな石を使って出入りする仕様だったのですが、小さなお子さんやお年を召された方にはなかなかの重労働なこの石階段…

          素人ニス塗りの極意!

           皆さまこんばんはー。いかがお過ごしでいらっしゃいますか?? 先日一瞬リアルタイム更新に戻れたぜー!と思いましたが、その安心感から気がつけば2週間近くが経過しようとしております! その間なにをしていたかと言えば、まさかの話、ちゃっかりお店のプレオープンまでしちゃっているぜー!  というわけで今日から数日で、プレオープンまでの道のりをつれづれ綴っていきたいと思います!  もはや随分前のことのような気がいたしますが、「ヒラマツデザイン☆リーダー1号!(以下、「ヒラ☆リー1号」と

          ……リーダーッ! その3

           「組み立て作業」……これが本当に文系のわたしにはくせものでした。どの木がどの木の上になるんだか、さっぱりわからない! というか、子どもの頃にプラモデルを作った時も、絶対何か部品を余らすタイプだったー。  そんなわけで、もし一人で作業をしていたら、この棚を作るのに必要なたくさんの木材を見ているだけで、「わっからーん!」とちゃぶ台ひっくり返すように匙を投げてしまっていたかと思うのですが、実に頼りになる助っ人リーダーと、こういう作業が決して嫌いではない夫とが、「おもろい!」「プ

          ……リーダーッ! その3

          ……リーダーッ! その2

           リーダーというのはAちゃんと私が勤めていた会社でリーダーだった人で、言わずもがな役職名ですが、現在ではふつうにあだ名になっています☆ というか、リーダーに会うのん地味にほぼ10年ぶりやったー!! お子さんもはや小学生とはこの前ベビーカーに乗ってはった気がするのに、月日の流れるはやさがこわひ……!  ともあれリーダーは、今は営業職とはいえ実はかの有名な○○産業で5年間家具職人をされていたという経歴の持ち主! 堂島の本おやにもリーダーの作ってくれたブックスタンドがあったのです

          ……リーダーッ! その2

          ……リーダーッ! その1

          (タイトルは、ピンクレディーの「UFO」のサビ部分、ターラーターラー、ターラーターラーターッ……「ユーフォーッ!」のリズムで読んでくださーい☆)  やばいですね。前回、前々回の記事もそうですが、夜中にnoteを更新すると、日中の疲れも相まってなんだかヘンテコな真夜中テンションになってしまいます!  が、この前も「いくつか記事をアップしたい!」と言いつつ2つ書いて寝てしもうたので、今日こそは!! この一週間ほどの間に起こったことをお伝えし、明日からの記事をリアルタイム更新に戻

          ……リーダーッ! その1

          1号も立ったし!

           そんなことで、2号に続いてウエハース1号も立ち上がりました! ちなみにウエハース1号と2号の違いは棚板の幅で、1号には図録など大きめの本も入れれる仕様にしてもらっています☆ うふふのふ! でも実はこれは「良い違い」で、実は「あかん違い」もあるのである!  なんとなれば、ニスの色ムラが2号よりも激しいやないかーい!!  ……がーん、がーん、がーん。。。  2号は例のダブルA(前回の記事参照)のお二人が塗ってくれたもので、この1号は、わたしが一人で塗りました。それも「最後