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意外と驚かれる、「加工機を動かすにはプログラムが必須」というはなし

こんにちは、製造部の松田です。

製造業ではない業界に務めている友人に
私の仕事内容(レーザー加工機の操作)を話す際、

「図面をもらってプログラムして、機械を操作して…」

といった手順について説明をしたところ、


「え、プログラミングもしてるの!?」

と驚きの反応が返ってくることが複数ありました。


現代の製造業に欠かせない"NC工作機"では
(NC = Numerically Controlled、数値制御の意味)
プログラムを読み込ませて挙動させます。


いわゆるソフトウェアの”プログラミング”よりは
簡単な作業ですがプログラムを作ることは事実。

さて今回は、
加工機に読み込むプログラムとはどんなものなのか、
どうやってプログラムは作成するのか、

というテーマで製造業を覗いでみたいと思います。





NC加工機には、プログラムしたNCデータを読み込ませます

NC加工機=数値制御で動く加工機械には、
レーザー加工機やマシニングセンターなど
いわゆる製造業の機械の多くが含まれます。

例えばこんな感じのやつですね↓↓↓


字のごとく「数値制御」して動かす機械なので、
機械に数字を教えてあげなくてはいけません。

この数字というのは、主に座標=位置情報です。
加工する位置を、どこからどこまで動かすか
という情報でNCデータは構成されています。


機械がNCデータに書き込まれた座標に従って
加工するポイントを移動させることにより、
結果として物が切れたりしているイメージです。



NCデータは、CAD→CAMの順で作成します

ではNCデータはどのように作成するのでしょうか。

機械に正しく動いてもらうために必要な情報は以下2つです。

  • 座標(位置情報)=どこからどこまで動くか

  • 経路=どんな順番で"座標"を動くか


イメージでいえば、修学旅行の引率に近いかもしれません(笑)

生徒にどこからどこまで移動してもらうか、
(集合場所から、〇〇まで歩いて移動する)

修学旅行はどんな順番で目的地を回るか、
(金閣寺→銀閣寺なのか、銀閣寺→金閣寺なのか)

正しい場所に移動してもらわないと先に進みませんし、
良い順番で回らないと非効率な計画になってしまいます。


この「座標」と「経路」はそれぞれCADとCAMで作成します。
(製造業でない方でも聞いたことがあるのではないでしょうか)


まず座標を決定するためにCADを作成します。
CADは、図面という形でアウトプットされることが多いです。

300×300から200×200(角R5)を
切り出すイメージで書いてみた図(面)

図面は、加工してできる輪郭を書いているわけなので、
要するに、これが機械が知りたい座標になるわけです。
上図でいうと200×200(角R5)の輪郭ですね。

CADデータ=図面というイメージもありますが、
図面はあくまでCADの描画を抜き取ったものであり、
パソコンにあるCADデータは座標情報の塊です。


CADデータができたところで、CAMに移ります。
CAMでは、主に経路情報を作成します。

CADデータをCAMソフトウェアに渡すと、
CADで書かれた製品のラインを読み取り、
どんな順番でラインをなぞるか設定できます。

先ほどの200×200(角R5)の左辺に
経路情報を付与しようとしている様子

これが経路情報となるわけです。

座標情報に経路情報を設定できたら完成目前。
CAMソフトウェアでNCデータとして出力します。



ここで、次のような疑問が浮かんだ皆さん、鋭いです。

  1. 一足飛びにNCデータ?CAMデータは無いの?

  2. CADソフトとCAMソフトって一体でいいんじゃ?

それぞれにお答えしますと、

<1>
CAMデータがあることもあります。
これはソフトウェアによります。

ただし最終的に機械に渡すのはNCデータです。
拡張子が「〇〇.NC」となります。


<2>
一体型のものもあります。これもソフトウェアによりけりです。
有名どころではAutoCADです。名前の通りCADのみソフトです。

一方で、私が普段使用している三菱電機のレーザー加工機では、
純正ソフトがCAD・CAM一体型で、NCデータの作成までできます。


私の単なる持論ですが、CAD・CAMが分かれているのではなく、
CADソフト単体で存在することに意味があるからだと思います。

というのは、CAMは使用する加工機に依存するからです。
経路やその他の情報などCAMソフトで設定できる内容は、
加工機のスペックによって大きく左右されてしまいます。

一方で、CADデータは単なる座標情報のため、
どんな加工機を使用していようが関係ありません。

そのため業界でデファクトとなるCADソフトがあれば
(もしくはデファクトとなるCADデータ形式があれば)
様々な人とコラボレーションが可能になるわけです。



"プログラム"するといっても、
いわゆるコーディングではありません

NCデータは「Gコード」なるもので書かれています。

先ほどのCADの座標データ、CAMの経路データというのは
Gコードの形となってNCプログラムを構成します。

こんな感じで"G〇〇"という見た目をしています。
NCプログラムとは?NC装置とよく使われるNCコードの種類を解説
(はじめの工作機械)

「コードをプログラムするって、コーディングじゃん!」
と思われるかもしれませんが、

いわゆるソフトウェアエンジニアの方たちがやる
PythonだとかC言語のコーディングとは様子が異なり、

前述のCADやCAMソフトで直観的に操作=プログラムします。

先ほどの300×300のなかに200×200の図形を描く際も、
Gコードを手打ちしてプログラムするわけではなく、
画面上で直観的に線分を書いているだけです。


直観的に操作し設定したものをNCデータとして出力すると、
ソフトが勝手に良い感じのGコードに変換してくれます。

言うなれば、ノーコードのプログラミングのイメージです。



NCデータをどうやって機械に読み込ませる?

NCデータをCAMソフトで作成しました。
じゃあこれをどう加工機に渡すか?という話ですが、

  • ネットワーク回線で通信して渡す

  • USBなど外部ディスクに入れて渡す

という2パターンが一般的だと思います。


「いやいや、今の時代にUSBかい!!」

とツッコまれる方もいるかと思いますが、
USB移動にもメリットがあるんです。

ネットワーク回線による通信のメリットは
何といっても手軽で高速なところですが、

デメリットとして

  • 加工機に通信ケーブルをつなぐ初期投資

  • ネットワークを介してデータが外部に漏れる可能性

という2つが挙げられます。


もちろん、USBにも同様のデメリットはあります。

  • データを逐一USBに保存する手間

  • USB紛失などによってデータが外部に漏れる可能性

しかし回線をつなぐ初期投資が不要であったり、
ネットワーク障害の復旧も不要だったりと、
シンプルであることのメリットもあるわけです。



おわりに

ここまで記事をお読みいただきありがとうございました。

機械オペレーターの経験がある方であれば、
NC機械を動かすにはプログラムが必須というのは
意識すらしないレベルに当たり前の話ですが、

全く製造業にタッチしたことないといった場合は、
機械をうまく操作して切削など色々やっている、
という認識も確かにできなくはないな思いました。

昔ながらの旋盤やフライス盤を見ることがありますが
あちらは職人が手の感覚で加工されていますしね。
(もちろんNC旋盤・NCフライス盤もありますが)



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