HOKUBU記念絵画館

これは、ある画家の半生の物語です。ある画家とは狸小路エリで、彼女が北海道を訪れ、悠久の自然に魅了され絵を描くという設定でストーリーが展開していきます。また、小説を車軸にしながらも、松井宏樹による写真と、彼女にまつわる展示も、二つの車輪となってHOKUBU記念絵画館で連動します。
    • 写真小説 SUNINESS
      写真小説 SUNINESS
      • 14本

      狸小路エリが平野遼の作品に出合い、最初は難解な抽象画に抵抗しながらも次第に影響を受け論文に取り組むことになる過程を描きます。それは物語の悲劇が彼女自身の過ちから起こったものばかりでなく、社会の中でのさまざまな理由から生まれたものだということを明らかにするものです。

    • 写真小説 DO TO
      写真小説 DO TO
      • 18本

      画家が抱える問題意識や、思想的な議論、そして極めて人間的な交流が、無作法なまでにゆったりとした語りの方法で展開します。豊平川の程近くにたたずむ小さな美術館。HOKUBU記念絵画館が、あなたを幸せにする写真小説「DO TO」をかしこんでお届けします。

SUNNINESS (14) 「だから平野遼を評論する」

「ねぇ、パスカルって何で出来ているの?」とエリは尋ねてきた。彼女はところどころ常識のないところがあり、周りに人がいる時には恥ずかしくて聞けない事でも二人の時には…

SUNNINESS (13) 「だから平野遼を評論する」

そうだ。あの時も辛かった。あれは、Jリーグが開幕した年だった。どんなサッカーをやるのか、ハーフタイムはどんな出し物が見られるのか。いよいよ当日の夜になると選手た…

SUNNINESS (12) 「だから平野遼を評論する」

しかし、財布の中身を確認しようとして、ポケットから焼き肉屋のマッチを落とした瞬間、二十年もの長い間、頑強に日本放送協会との闘いに耐え続けた母の顔が私の脳裏をよぎ…

SUNNINESS (11) 「だから平野遼を評論する」

時計は二時を指していた。コーヒーの後の長い休みは、体も心も食物の消化にとりかかるだけだった。私は少し眠くなってきた。しかし、そろそろ学校に行く支度をしようかと腰…

SUNNINESS (10) 「だから平野遼を評論する」

食事が終わると私はエリにコーヒーをごちそうした。マメの苦みが出ないように短時間で抽出したモカは酸味の強い味を好む彼女のための定番だった。エリは畳の上に両足を延ば…

SUNNINESS (9) 「だから平野遼を評論する」

九月の半ばから学校は始まった。学科も本格的な授業に突入した。自分で自分に刺激をあたえる日々がはじまり、将来のままならぬ集団のなかで追い越し、追い越される、あの生…