███氏

ガラス片のように透明で鋭利な言葉を。

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シャトル

終焉であり、 深淵であり、 悠遠であり、 普遍であり、 唯一であり、 至近であり、 憧憬であり、 濫觴である、 私はあなたの宇宙になりたい。

    • 惜別

      私はあまり家族という枠組みそのものを好んでおらず、彼ら彼女ら個々人の好き嫌いはともかくなんとなく顔を合わせる気にならなかった。 そんな中で家族の飼っている犬が高齢で、今年もつか否かといった状態だと連絡が入った。 飼い犬が亡くなるかもしれないともなると普段顔を出さない私も流石に悩んだ。 最後に会ったのはいつの事だっただろうか? 今行かねば生きているうちに会うことはできないのかもしれない。 散々悩んだ挙げ句、私は会いに行くのをやめた。 恐らく私は飼い犬が生きている間に会う

      • いつかの暮色

        ゆく年の寂しさもくる年のめでたさも感じる事なく、1月を迎えた。 私はどうもこういった人工の区切りというものが苦手だ。 12月は新しい曲を作ろうと、年内にはと、期日を決めて取り組んでいた(やはり苦手だ)。 前回作った曲「何度も」は音作りがあまり良くなかったのと、自分で歌うのが恥ずかしかった為Voisonaを使うなどと、割と至らぬ点が多かった。 今回はどんな音があったらカッコイイだろうかと思索を重ね、友人のギタリストにこれはどうだあれはどうだと聴き比べてもらいアドバイスを沢山頂

        • ZAZEN BOYS「らんど」の上陸を震えて待つ

          「良いもの」というのはその名に反して良いばかりではない事が多い。 美味しいものでも沢山食べれば太るし、平和な休日も永遠ともなれば退屈だ。 つい数時間前、ZAZEN BOYSが新たにMVを公開した。 来年発売予定の新譜に収録される「永遠少女」という曲だ。 それはもう、大変な衝撃を受けた。 頭を鉄パイプでぶん殴られたかの如く脳内は乱れ、頭の中に湧くのは「格好良い」や「凄い」といった純粋な称賛ではなく「ヤバい」とか「どうしよう」だとかの焦燥、パニックだった。 ぐるぐるの頭を落ち

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          秋風索漠は蜜の味

          「暑さ寒さも彼岸まで」とは言い得て妙で、毎年綺麗にすとんと気温が落ち着くのには驚く。 私はかつて秋の寂しさが苦手だったのだが、今ではその寂しさもまた味だと思えるほどの落ち着きを得た。 この世は大別して嬉しい事とそうでない事に二分できるが、嬉しくない事まで楽しめたら人生は二倍楽しくなるな、と小学生のような算段を思いついてからは随分と生きるのも楽になったものだ。 今日は空気の温度や風の優しさが草葉をなびかせる音が心地良い日だった。 こんな日に猫と共にうとうとする仕事があれば

          秋風索漠は蜜の味

          夏も半ばのこの頃のこと

          四季にはいずれも始まりと終わりがあるが、こと夏においてはそう表現される事が多いように感じる。 私自身も秋の始まりや冬の終わりに比べ、夏だけはやけにその境目がはっきりとしているように思う。 今年の夏はとても暑い。 あまり覚えていないがおそらく昨年も暑かったのだろう。 よく「昔と比べると暑くなりすぎて空調無しではいられない」と言われるが、昔の夏がどれほど暑かったのかはもう思い出せない。 思い出の中の夏はただ白むばかりで、温度をまるで感じない。 こうして腰を据えて何かを書くのは

          夏も半ばのこの頃のこと

          日常と思考

          この頃考えていることなどをちらほら書いていこうと思う。 数ヶ月前に不慣れながら頑張って一つ曲を作った。 「何度も」というタイトルで、きっかけは横断歩道を渡っている時に思い浮かんだ「回転する虹彩の輪郭」というフレーズが気に入ったからだった。 意味合いは特に考えていないが、瞳は感情を顕著に示すとかそんなニュアンスな気がする。 メロディは多少NUMBER GIRLを意識していて、向井秀徳のいわゆる「オレおさえ」のコードを意識してみたらソリッドでネガティヴな雰囲気を出すことができ

          日常と思考

          メゾン・ド・宇宙

          たまにふと知り得ぬ事の多さに寂しさを覚える時がある。 いつもの駅で電車に乗り、いつも降りる駅に着くまでの間に窓の外をぼうっと眺める。 流れていく風景の中にはいくつものマンションが建っていて、ベランダには様々な洗濯物が干されている。 そこにはたくさんの人が暮らしていて、たくさんの何気ない日常があるのだろう。 ドラマチックでもなんでもない、ありふれた日常がコンビニの商品のように並んでいる光景を思い浮かべる。 そんな身近にあるものすら手に取る事も中身を見る事もできないと考えると

          メゾン・ド・宇宙

          雨に沈んで呼吸もままならず

          雨ばかり降っていて、気がつけばもう梅雨らしい。 私のあの春は何処に行ってしまったのだろう? 湿度が高いとまるで本当に水の中に沈んでいるような気持ちになる。 これくらい中途半端にじめじめしているのならいっそのこと全部水の中に沈んでしまえばいいのにとすら思ってしまう。 こんな事を書いていて「天空の城ラピュタ」の水の中に沈んだ街を思い出した。 あの映画はとても好きというほど好きなわけではないのだが、沈んだ街と飛空艇の上で監視をするシーンは印象に残っている。 どちらも夢で見るよう

          雨に沈んで呼吸もままならず

          存在理由

          私は物事の境界をあまり重要視しない人間だと思う事がある。 私からすれば生死とは生きているか死んでいるかの違いでしかなく、家族と他人は血が繋がっているかいないかの違いでしかない。 いま私を見つめている猫も私とは人間であるか猫であるかの違いしかないのだ。 私はできるだけ本質というか、そのもの自体を大切にしたいと思う。 自分にとって最も支えとなる存在は家族だとか人間だとか生きているかとかその程度のものは超えたものだと思う。 多くの人は教科書に載る事も、Wikipediaに自分

          存在理由

          浮遊

          これを書き始めている今、外は夕暮れ時だ。 柔らかい陽の光が辺りを包んでいる。 暖かいような冷たいような風が吹いている。 先ほど家から出て気づいたのだが、イヤフォンが少し壊れかけているようだ。帰ってきたら直せるか試してみよう。 左耳から音楽と一緒に外の音が聞こえる。 水の中に沈んでいる時のような音だ。 全てが曖昧な中で靴音だけが現実味を帯びて響いている。 宇宙空間もこんな風に音を感じるんだろうか? いつものように音楽を聴いていて、ふと悲しい気持ちになる。 懐かしい心地がした

          春雨に溶ける心もあるか

          今年初めて見る桜は道端に落ちる汚れた花びらだった。 私が知らぬ間に春が終わってしまったのかと焦ったが、辺りを見回したらまだ桜は咲いていて安堵した。 この季節は少し冷たい風とようよう暖かくなりける陽がぼんやりと辺りを包み込んでいて、まるで夢で思い出の風景を見ているような感覚を覚える。 この曖昧な温度感は何かに似ているなと少し考えてみたら、美術館の空気に似ている気がする。 美術館は作品を劣化から守るために年中室温を同じくらいに保っていると聞いた事がある。 思えば春の夕暮れ時が

          春雨に溶ける心もあるか

          初めて作曲した話

          音楽を聴くのが好きだったが、作曲するなんて考えたこともなかった。 だからせめて歌詞だけでも作りたいと思って、ずっと存在しない曲の歌詞を書き続けていた。 この言葉はどんなメロディに乗るのだろうか・・・ただそれだけを空想しながら。 この話を書いたかどうかは忘れてしまったのだが、昨年末にKORGのmicroKEYを購入した。 机の上にすっぽりはまる丁度いい小ささで、少し手が空いた時に触って音を鳴らせる楽器として日々を楽しいものにしてくれている。 いくつか曲のコピーもした。 と言

          初めて作曲した話

          僕の(ーの)命日(誕生日)

          ずっと誕生日が苦手だった。 誕生日おめでとう。 死ぬまで50年。 誕生日おめでとう。 死ぬまで49年。 人は老いていつか死ぬ。 誕生日とはその時までのカウントダウンのようで、そんな不吉な事を笑顔で祝福している人たちが不気味で仕方なかった。 だから僕は努めて人の誕生日を覚えようとしなかったし、たとえ知っていても祝いの言葉は決して口にしなかった。 同じように僕は自分の誕生日を絶対に知られないようにしていた。 だから僕がいつ生まれて、いつ歳を重ねて、いつ死ぬのかは誰も知らな

          僕の(ーの)命日(誕生日)

          存在しない曲の歌詞 #3

          いつか見た夢のことを思い出している あれは5年前か10年前かこれからなのか分からないけれど ふとした時に思い出してとても懐かしいような気持ちになる 水の中に沈んだ街の歩道を歩き進んでいくと 誰一人歩いていないショッピングモールに辿り着く そこには誰かと一緒に行ったような気もするけれど その誰かの顔は思い出せないでいる 夢の中の人達とは昔から友達だったかのように微笑みあっていたけれど 夢から覚めた今もう二度と出会う事は出来ないんだろうと思う 慌てて書いた夢日記には君の言葉が残っ

          存在しない曲の歌詞 #3

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          私は2022年だとか2023年だとか枠組みを作って目標を立てる事を窮屈に感じてしまうのであまり好きではない。 私は外に出た時は暇つぶしにその時思った事をnoteに書き連ねているのだけれど、後から見直すとあんまりしっくりこなくて消してしまうという事を繰り返し続けていた。 少し困っていたのだが、最近になってふと気づいた。 この様にまるで賢いかのように見せるが如き書き方をしているから妙に構成だのなんだのが気になっているのではないか、と。 そういう事で2023年はよりカジュアル

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