雨に沈んで呼吸もままならず

雨ばかり降っていて、気がつけばもう梅雨らしい。
私のあの春は何処に行ってしまったのだろう?

湿度が高いとまるで本当に水の中に沈んでいるような気持ちになる。
これくらい中途半端にじめじめしているのならいっそのこと全部水の中に沈んでしまえばいいのにとすら思ってしまう。

こんな事を書いていて「天空の城ラピュタ」の水の中に沈んだ街を思い出した。
あの映画はとても好きというほど好きなわけではないのだが、沈んだ街と飛空艇の上で監視をするシーンは印象に残っている。
どちらも夢で見るような光景だな、と思う。

梅雨になるといつも現実感を喪失する。
暗い空を見て、歩いている人たちを見て、何もかもが他人事のように感じる。
自分が今いる場所や自分そのものさえも私には関係ないような気すらする。
何処まで行っても曇っているこの空模様がそんな気分にさせるのだろうか?

この文章を書いていて、この話は何について語ってどこに着地するのかまるで見当がつかないと気づく。
しかし普段から特に意味のないものばかり好んでいるのだから、自分が書く文章もそうあっていいのかもしれない。

梅雨が明けて夏になれば何をしようかと考えて、今いるこの季節が本当に嫌なのだなと思った。
冬眠をする獣のように梅雨の間はずっと眠り続け、春が終わったと思ったらもう夏だった…そんな風になれば良いのに。

天気のせいかは知らないが、この頃の気だるさと言ったら果がない。
本当はもっとたくさん文章を書いたり、音を作って遊んだりしたいのに何もしないまま日々が過ぎていってしまう。

はあ…こういう時こそ逆に何かに取り組むべきなのかもしれない。
この憂鬱な季節すらも愛してしまいたい。