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ふらっと沖縄

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ひとり旅の記録です。
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ふらっと沖縄⑦〈国際通り〉

ふらっと沖縄⑦〈国際通り〉

沖縄へ行ったおかげで、大好きな夏に「ありがとう」と「またね」がきちんと言えた。心ゆくまで言えた。正しい手順で遠ざかった季節に思いを馳せつつ、冬を迎える支度を整える日々。

塩川から名護、名護から空港と、バスを2台乗り継いだ。そこそこ運転の荒い運転手さんにあたり、乗り換えでやれやれと思ったのも束の間、2台めは1台めを凌ぐほどなかなかに運転の荒い運転手さんだった。空港に荷物を預けてから、斎場御嶽へ向か

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ふらっと沖縄⑥〈バス珍道中〉

ふらっと沖縄⑥〈バス珍道中〉

飛行機と宿だけ確保して、あとはその日の天気と気分と体調次第で行先を決める、というゆるい時間の使い方は、ほんとうに贅沢だったなぁ、と思う。行けなかったところには、また次に行けばいい。

最後の朝もかわらず寝坊。3日間でいちばん晴れた海。ごはんをしっかり味わい、チェックアウトまで海辺を散歩した。可愛い貝殻を見つけて拾うと、たいがい先住民(やどかり)がいて、お目が高いね、と都度思い、そっと戻した。

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ふらっと沖縄⑤〈夕暮れを見届ける〉

ふらっと沖縄⑤〈夕暮れを見届ける〉

海辺はひとを詩人に変える。多分に漏れず、私もそのひとりだ。しかたないのである。圧倒的なその美しさを前にしたとき、心は鎮められ、鎧を脱がされ、素に戻った自分と向き合うしかなくなる。

海に行ったからといって、いつでも望み通りの景色が拝めるとは限らない。雨が降るかもしれないし、台風が近づけば波は高くなり、水の透明度もかわる。空が暗く曇っていれば、海の青さも半減する。そこで生活しているならともかく、ほん

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ふらっと沖縄④〈海洋文化館〉

ふらっと沖縄④〈海洋文化館〉

ひとりで行動していると、自分の足が向くところ向かないところがはっきりしてきて面白い。どこで足を止めるのか、何にカメラを向けるのか。アルバムを振り返ると、自撮りは1枚もないのだった。

2日目の朝、存分に寝坊し朝食を済ませ、海洋博公園へ向かう。言わずとしれた美ら海水族館も、だだっぴろいこの国営公園の一部。水族館は誰かといった方が面白い。ひとりで行くならここ。

海洋文化館。以下、サイトより抜粋。

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ベッドサイドの宝物

ベッドサイドの宝物

どうしてもきれいな海がみたくて、ついにひとりで来てしまった。ひとりで出る旅は初めてだったので、宝物を3つ連れてきた。

ひとつめはピアス。

高校の修学旅行で、沖縄を訪れた。地元紙に載るくらいの豪雨に見舞われ、ビーチ散策やグラスボートは軒並み中止。さんざんではあったけれど楽しい思い出だ。自由行動の際、国際通りで琉球ガラスのピアスに出会った。ピアスは校則違反だったけれど、きれいな海色に惹かれて、

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思えば遠くへきたもんだ

思えば遠くへきたもんだ

海のそばで寝起きすること、海辺でご飯を食べること。考えてみたら、やりたいことはこれだけで、なのに突き動かされてここまできたんだなぁ、と思う。

旅仲間たちとの予定が折り合わず、今年の沖縄計画は見送りとなった。けれど、私の心は変わらず沖縄へ向いていた。だったら、ひとりで行ったらいい。

来ちゃった。最高か。

海まで数十歩の距離は、ちょっとひるむくらい大きく波の音が響いてくる。テレビも音楽もなく

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ふらっと沖縄③〈海辺のひとり夜〉

ふらっと沖縄③〈海辺のひとり夜〉

ひとり旅に出たくて、でも出られずにいた大きな理由のひとつが「お化けが出るから」である。友達に言っても笑われる一方だけれど、なかなかの大人になってからでも、こわいものはこわいのだ。

瀬底島から戻り、友人に宿まで送り届けてもらった。午後2時前、昼寝してもいいし、ビーチに出てもいいし、のんびりごろごろ過ごそう。心が重くなるような予定が何一つないのは素晴らしい。

旅行の決め手は宿だった。海のすぐそばで

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ふらっと沖縄②〈瀬底島〉

ふらっと沖縄②〈瀬底島〉

空港に着いて、真っ先にビーチサンダルに履き替えた。夏旅ではいつも履いている、なじんだ古い愛用品。冷房のきいた車内、足先に当たる冷たい風が心地いい季節。今夏がもう一回戻ってきた。

高速を降り、名護からさらに北上すると、瀬底大橋が見えてくる。海岸線沿い、助手席側にはずっと見たかったきれいな海が陽を照り返してきらきら光っている。これが見たくてここまで来た。嬉しい。ほんとうに嬉しい。

瀬底島、島という

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ふらっと沖縄①〈出発~中城サービスエリア〉

ふらっと沖縄①〈出発~中城サービスエリア〉

朝4時、無事にアラームで起床。寝ないでおこうか迷ったけれど寝て正解、起きられた自分を褒めたい気分。旅支度を仕上げ、表に出た。雨も小止みのタイミング。日の出前、肌寒さがしみる朝。

品川から京急に乗り換え。青物横丁、立会川、大鳥居、天空橋。京急線の駅名は毛筆で書きたい文字ばかり。

羽田空港で、ふらふらと散歩。せいぜい旅慣れた風情を装うも、手荷物ひとつ預けるにもどぎまぎしてしまう。続く保安検査場、搭

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