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先日引っ越しをして一人暮らしを始めました。今年は創作のほうは完全にストップしていましたが、個人的な生活においては大きく前進できたと感じています。不安は大きいですが、この変化がよりよいインプット・アウトプットに繋がることを願ってやみません。
死なずは道化に相応しい
イベルテの王が暴君と呼ばれたのは、その在位期間四〇七九年の内、僅か最後の十年のみである。
それでも後世の人間は彼を悪と呼ぶのだろう。
かつての暖かき時代、不滅なる王の腕の中に安らいでいた理想郷――その面影はどす黒い血のヴェールの彼方に霞み、永久に穢れた。
かのユールゲルドの日食の年、季節は冬。
王は宮廷前広場にて自らの公開処刑を執り行わせた。
〈楽園の対価を支払うときだ。民よ、我が無聊を慰め
お久しぶりです。とても健康です。この頃徐々に人間的生活を送れるようになり、またしばらく前にロストしていたノートPCを調達できたため、そろそろ創作も再開できるかな~という気持ちです。なお、書き溜めはほぼ増えていません。許せない
セルフライナーノーツなど
こんにちは! 氷谷八尋です。
今年の逆噴射小説大賞も応募締切となり、参加された皆さんお疲れ様でした。
私が投稿したのは今回2作品のみに留まりましたが、マジで今月その1600字しか書いてないです。死ぬんか? ま、まあそんな時もありますよね。
量は置いといて質のほうは、前々から温めていたアイデアをわりと綺麗に形にできたのではないかと思います。
セルフライナーノーツ①
文明崩壊後の世界で、アンド
炉心の竜は蒼穹に咆える
カギカワ第一発電所から、墨で引いた線のように竜煙がたなびいていた。
「久々に風が出てるな」
父が言った。
父のそんなに穏やかな声はそれこそ久々に聞いたので、落ち着かない気持ちになったのをミヤトは覚えている。
その日は街中、島全体が、そんな圧し殺したような非日常の気配に覆われていた。
真昼の街に消し忘れのネオンが空々しく光っていた。
頼んでもいないのに買ってもらった氷菓をミヤトは大人しく舐め