にこま

すみっこJKしてました。ひっそり、ぽつり。

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虹を見た話

「雲をとってね」と先生が言ったから。 勿論「取る」でも「採る」でもない。撮影の話だ。来月提出の雲のレポート。それぞれの雲を自分で撮った写真でまとめる。 地学科の彼女は「ふわっとした」という表現がぴったりと当てはまる先生で、のんびりとした口調で時折不思議なことを言う、いわゆる「天然」だ。さすが地学科と言うべきか、石が好きで、講義中に"ソレ"に話しかけ始めたときは驚いた。「じっくり自分で観察しよう」といった趣旨の講義だったので、まあそういうことだったのかもしれないが。 雲の

    • 実家の夜

      明るすぎるし賑やかすぎる。 やけに冴えた頭を抱えて起き上がる。窓の外を見てみる。夜明けはまだまだ遠そうだ。頭の上に随分明るい白い星がある。少し離れたところにそれよりは幾分か小さな星もある。だがそれだけだった。月はない。煌々とした街明かりだけが部屋の中をくっきりと浮かび上がらせている。 喉が渇いた。 両親たちを起こさないようにそっと階段を降りる。台所へ行ってコップに水を汲む。電気はつけていない。物のよく見えること見えること。 3口ほど飲んで器を軽く注ぐ。またそっと階段を上

      • 自己解決してみましょ

        「”reflect”の和訳3つ言えたらこのジュースあげます」 英語の先生が教卓の上の、桃色の液体の入ったペットボトルをぷらーんと持ち上げながら言いました。もちろん先生が自分の水分補給として買ったもので、突然そんなことを聞かれても答えられる秀才は生憎うちのクラスにはいないし、つまり、はなからあげるつもりなどないのです。 「反射」「反映」はみんなすぐに言えます。しかしあと一つは———? それは「熟考」でした。 *** 放課後、短縮授業の癖にやけに重い鞄と一緒にヨタヨタと

        • 18歳になります

          人間誰しも、かは分からないけど黒歴史というものがありまして。何の気なしにその古びたノートを開いた瞬間、私の”掃除”は始まりました。いやもう、なんでこんなものを自分の部屋でもない、いつ誰に見られるかも知れない所に置いてたんだ私。 小学校高学年辺りになると思春期の入り口ともあってまあ何やらマセてくる。そりゃもう色んなものにすぐ影響される。周りなんてちっとも見えていないのに、自分は大人だと思い始める。ホントの大人ならそれもかわいいと言ってしまえるのかもしれないけど、まだガキの私に

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        虹を見た話

          とある小春日和

          通学路の梅がいよいよ満開になりました。空が明るいうちに帰れる日は、ふと顔を上げて段々と盛りに近づいていくソレをぼんやりと横目に見ていたのですが、その日ばかりはじっと魅入ってしまいました(まあそれもひとさまの家の前なので5秒もあるかという程なのですが)。 私の街は家ばかりで大した面白みもないところです。ところせましと家、家、家。2階建ての家が建つことなんてもうめっきりなくなってしまいました、新しいものはみーんな3階建て。それはもうギッチリ。駅前の商店街の方はまだ少し古い建物が

          とある小春日和

          快晴に死す

          最近帰りが遅くて空の写真が撮れていません。いえ、例え明るい時間であっても撮っていないのかも。私の街では冬の空は雲一つない快晴。吸い込まれそうなほどの青。それ以外に何もないから、カメラを向けてみてもただの青い画面になってしまいます。空を撮るには雲があったほうが映えるのです。 でもそれはあくまで写真の話。実際に“魅せられる”のは冬空。あの空に溶けてしまえたら、なんてクサいことを本気で思うこともあったり。「快晴」は一番写真にするのが難しい空なのではないでしょうか。誰も切り取れやし

          快晴に死す

          タイミングが合わなかった。ただそれだけ。それが君とあの子の縁の形。それでおしまい!

          タイミングが合わなかった。ただそれだけ。それが君とあの子の縁の形。それでおしまい!

          つれづれ、生きる

          小さな子たちが集まって読み聞かせを待っている。付き添いの私は後ろの方にそっと腰掛ける。 「はっぱのフレディ」という絵本を知った。主人公はカエデの葉。顔なんて描いてなくてそれぞれのページにはただただ私達がよく知るそのまんまの葉っぱがいる。カエデは落葉樹だから、勿論彼の寿命は1年もない。でもそこに比較対象なんて出てこないからそれが短いとも言えない。ともかく彼は隣の親友と話しながら日々を過ごす。でも冬が近づけば皆枝を離れていく。死にたくないと叫ぶ彼を、親友は「僕らは一生懸命働いた

          つれづれ、生きる

          だからさ、もういいんだよ

          とある歌の一節。透き通った夏が目に浮かぶ歌。ふとした時に口をついて流れる1小節。1人の空間にぼおっとして、ぼおっとするくらいだから疲れていて。傍らには新着メッセージを報せるスマホが投げ出されているときもあったりする。それからまたくちずさむ。いつだってその一節きり。 それはいつも心配してくれるあの子に言いたいんだろうか、それとも自分自身に「言って」もらいたいのだろうか。いつも、わからない。

          だからさ、もういいんだよ

          「うわ、消えたい」って思うことってあるでしょう?でも「土に還る」って言う表現は物理的に考えるとなんだかイマイチな気がする。どうせ消滅するなら青空に溶けて消え去りたいなー、という今日この頃。

          「うわ、消えたい」って思うことってあるでしょう?でも「土に還る」って言う表現は物理的に考えるとなんだかイマイチな気がする。どうせ消滅するなら青空に溶けて消え去りたいなー、という今日この頃。

          こころ

          ネットで迷子になりがちなので。 SNSで自分のアカウントを作ったとしても、それは自分の全てを反映するわけではないのですから、またそこに新たな、自分ではない存在が生まれるんだと思います。自分が動かしていていても、どれだけ自分のことを書き出しても、それは自分ではない。何か「アカウント名」の皮を被っていて、その皮を被ったままで認識されていく。認識が広がっていくと同時に皮はどんどん分厚くなって、自分とはかけ離れていく。それで今度は、自分のために作り出した存在に押し潰されそうになる。

          こころ

          空の青さを知る人よ

          その映画のタイトルを初めて見たとき、「私は知っている」と驕りにもとれるかもしれないが思った。確かに普通に生きていれば誰もが知っていることだ。が、別にそういう意味ではない。 私はその映画についてほとんど知らない。よって、その言葉が作中においてどの意味合いを持っているのかはわからない。「誰もが知っている事柄」の意味であればそれは「全ての人に」だろうし、「それを知っているあの人へ」にもなれる。あるいはその両方かもしれない。 「青さ」なのかは分からないが、私は空の青いことを知って

          空の青さを知る人よ

          女子校生のジェンダー論

          なんて大仰な題名!まとめれば私が女子高にいるということだけなのに。 まず誤解しないでもらいたいのが、これは「1」女子校生の意見であり、女子校共通の考え方ではない(そもそもそんなものが存在するのだろうか?)、あくまでも私個人の考えだ。そして論じ合いたいわけでもない、単に「今日」思ったことをまとめるだけだ。 女子高は気楽だ、とよく言われる。私もそう思う。ではなぜ気楽なのか?「男子がいないからだ」と多くが答える。なぜ男子がいないと気楽なのか? 「女としての理想像――幻想――を

          女子校生のジェンダー論

          秋。つれづれ、冬。

          寒い寒い!一人ぼっち青暗い雨の下を歩いているとなんだか更に冷たく感じます。この中30分歩くのはムリだ!と堪らずバスに乗りました。そうこうしているうちにあたりは真っ暗。今日はすっかり冬模様ですね。数日前は秋を感じていたと思うのですが。 通学路ではいつも背中の重い荷物のために猫背気味。視線も下に下がってしまいます。そうして落ちている木の葉が黄色いことに目が留まって初めて上を見上げ、木々が色づいていることを知るのです。 それは大きなケヤキの樹で、四階建ての校舎と同じくらいの背を

          秋。つれづれ、冬。

          高校生のPM2:46

          午後は美術で写生。各々の場所で作業を進めます。「終わりの鐘の10分前には教室に戻ってね」と先生が言いました。 ーーーーーー ハッとキャンバスから顔を上げました。すっかり時間を忘れていたのです。今何時? 慌ててスマホを開くと、 PM2:46 まだ大丈夫だ、と安堵すると同時に嫌な時間だ、とぼんやり思います。 あの地震の時、自分はまだ小学生で、帰りの会を始めようかと言うくらいの状態でした。今、同じ2時46分、自分は帰りの会どころか授業真っ最中で、階段を前に筆をとっています

          高校生のPM2:46

          目の悪い月

          カーテンの間の、10センチ程の隙間からちょうど月が覗いていました。光の筋が部屋に入ってくるわけではないところ、おそらく朧月なのでしょう。もう寝ようと部屋の電気を消し、布団にゴロンと横になったところで、目を閉じずにスマホを取る羽目になったのは彼女(?)のせいです。 南向きの私の部屋には時折こうしてカーテンの間から月明かりが差し込みます。ある時、とても眩しくて目を開けてそれを仰いだことがありました。 その満月の大きいこと大きいこと。地上から見える月の大きさを1センチとすると、

          目の悪い月