自己解決してみましょ
「”reflect”の和訳3つ言えたらこのジュースあげます」
英語の先生が教卓の上の、桃色の液体の入ったペットボトルをぷらーんと持ち上げながら言いました。もちろん先生が自分の水分補給として買ったもので、突然そんなことを聞かれても答えられる秀才は生憎うちのクラスにはいないし、つまり、はなからあげるつもりなどないのです。
「反射」「反映」はみんなすぐに言えます。しかしあと一つは———?
それは「熟考」でした。
***
放課後、短縮授業の癖にやけに重い鞄と一緒にヨタヨタと廊下を歩きます。掃除が終わったらすぐ帰ろうと思って、掃除場所に荷物まで背負っていったのに、結局行ったのは職員室でした。
行きたい大学があります。模試の判定ではBかそれに近いC。すると担任の先生は一つ上のランクの、ある大学を勧めてくる。学校はちょうどその大学の入試専用の課外授業の募集をしているところ。締め切りは次の金曜日、英語の授業。その大学に行きたい生徒は必ず取らなくてはいけない授業。
一つランクが違うと言っても、その差はあまりにも歴然としている、と私は思います。それでも、もしこのまま学力が上がれば、私にもチャンスはあるだろうか、なんて考えてしまうこともあります。それなら授業を受けないと。でも、本当に行きたいの?下調べも碌にしたことないくせに?今まで目指してた大学は?
その課外授業担当の英語の先生に会いに行きました。1年生の時も、2年生の時も授業を持ってもらった、とても素晴らしい先生です。
「興味があるならいいと思う。でも、志望先として固めた人たちが集まってくるから、全然興味がない人がとるのは、あまりよくないかもね」
***
ぐるぐるぐる。学校から駅までの一本道。どうしたものか。自分で決めなきゃいけないことだけど誰かにただ聞いてもらいたい!でも進路のことなんてなかなか話しにくい…。そうだ、幼馴染のあの子ならきっと聞いてくれる。でもなんて言おうか。
「答えは求めてないけどただ私の悩みを聞いてください愚痴でも相談でもなくてただ聞いてほしい、面倒だったら通話で私が一方的に話してるからただ聞いてほしい」
長い。くどい。「告白でもされたのか」と返事が返ってきて「ないわ」と返信するとこまで簡単に想像できて、ポケットにスマホを突っ込みました(送信どころか1字すら打っていません)。気が付いたら最寄り駅の改札を出てるじゃありませんか。あれまあ、いつの間に。
聞いてもらうとなると、課外授業の説明からしないといけません。それから私の今の第一志望、その理由。どうして揺れるのか。先生に言われたこと。
「今の志望でB,C判定だとバランスがいいってことなんだよ、それならチャンスがあるかもね」
でも先生、私の数学の偏差値は50を切ることも多いんです。国語と英語はできるけど副教科は良いとは言えません。
英語を極めるより先に、やることがあるでしょう。
あれれ、答え、出ちゃったじゃんか。
誰かに話す体で考えていくととても綺麗にまとまります。前から感じていたのですが今日改めてそう思いました。なんていうんだっけ、そう、イマジナリーフレンド。いえ私の幼馴染は実在しますが。いつもありがとう。
空想と、リフレクト。自分でしっかり考えて、それから答えを見つけ出した時の気持ちは、とてもうれしいものです。
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