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茜さす帰路の心象風景 〜 「茜さす帰路照らされど、、」 椎名林檎 〜 色の意味合いについて Vol.7

茜さす帰路の心象風景

季節が変わりゆくとき、特に、夏から秋への移り変わりには、何気ないこともぼんやりとした不安を掻き立てる要素になる。

それは、気温が徐々に冷えていくという側面の影響もあるし、木々が生命力に溢れた緑から成熟を象徴するような紅い色に移り変わっていくことの影響もある。

また、メタファーとして見るならば、人々が素の自分や本心を隠すかのようにアウターを重ね着し始めるといった影響もあるだろう。

しかし、一番の要因は、夏至を境にして、陽の当たる時間が、徐々に徐々に闇の君臨する時間に取って代わられていくということにあるのかもしれない。

そうなると、辺りが茜色に染まる時間も早くなり、黄昏の訪れも早まり、

(黄昏の語源は「誰そ彼?(あなたはどなた?)」)

より一層、人それぞれの本音・本心をわかりにくくしてしまっていくようにも思える。

恋愛の最中ならば、

こういう時期は、順風満帆に見えていたお互いの想い・関係に、ちょっとした不安が芽生え、明日の確約の無い帰路は、さらにそれを助長してしまうのだろう。

そんな不安をかき消すように、音楽のチカラを借りようと、ヘッドフォンを耳に充てる。

でも、聞こえてくるその声は切なく、ファズの利いたベースの自由奔放なうねりはさらにその不安を促すばかりで、茜色の夕焼けに染まった景色の中では、いとしさと切なさが心強さを上回る。

言葉にしたら、言葉にだしたら、確約はおろか、明日自体も、明日の二人の関係性にもマイナスの影響を与えてしまいそうで、それを心の内に秘めてしまう。

アイルランドの少女が歌う

余りにも切なく涙を誘いだしてしまう音楽。

アイルランドの少女とは、クランベリーズのドロレス・オリオーダン。

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声の質が幅広く色彩豊かで、彼女の声が泣けば我々も涙をさそわれ、彼女の声が叫べば我々の闘争心にも火が灯る。。そんな稀有な声の質と、表現力を兼ね備えたシンガー。

この曲の主人公が聞いていた曲は、想像するほかないが、あたりは寂し気な茜色に染まっていて、明日の確約がないまま帰路についているという寂しさがすべてを支配するような状況に寄り添うような曲が流れていたのかもしれない。

I’m Still Remembering


帰路照らされど

感情の変化を促すような、季節の移り変わりによる色彩変化

あたりを支配する茜色の夕陽が醸し出す寂しさ

その中にたたずむ明日の確約すらない不安を抱えた自分自身

その自分自身の内面の心象風景を体現する楽曲

茜色の夕陽が岐路を照らす中

今、自分が求める言葉を楽曲の中に探す


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