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大地に還ったホーボーがもたらしたもの 〜 「Hobo Jungle」 The Band

荒涼とした大地に、陽が傾く。日中は世界中を焼き尽くさんとばかりに、エネルギーを放出していた陽が傾き、あたりが癒しの茜色に染まり始めるとき、側で流れていて欲しいのは、きっとアメリカ南部の古き良きアメリカを体現しているかのような音楽だ。

南部のロック。

アメリカで1950年代にロックンロールが生まれ、一部は英国ルーツをなぞり、一部はアメリカルーツをなぞって進化していった。アメリカルーツの先には、レッドツェッペリン、クラプトン、ボブ・ディラン、レーナード・スキナード、エアロスミスらがいて、どれもルーツであるブルーズ臭が漂っている。泥臭く、とっつきにくい音だ。

映画でイメージするなら、遙かなる大地へ、オーブラザーあたりか。リバーランズスルーイットやブローバックマウンテンは緑豊かな大地が舞台で、山岳地方で伝承されてきた英国由来バラッドをイメージさせる。あくまでもイメージ。

ザ・バンドは、ボブ・ディランのバックバンドで、彼の住居がピンク色だったことから名付けられたMusic From Big Pinkというアルバムでデビュー。

ただメンバー間のいざこざで、1976年に解散。ラストライブが、マーティン・スコセッシによりザ・ラストワルツとして映像化された。

解散前年の1975年に発表されたアルバムは、ブルーズを基調とするのは変わらないが、泥臭さは消え、どこか洗練された響きを持っている。聴きやすさで言えば、初心者向けはこのアルバムだろう。

アルバムレビューは後から、として、大地に沈み夕陽を見ながら聴きたい楽曲を紹介してみよう。

Hobo Jungle

ホーボーとは家を持たずに各地を渡り歩く労働者の事で、今で言うノマドに近いのかもしれない。

そんなホーボーが亡くなり、葬儀が行われる。親しい女性は彼の側から離れようとしなかった。

という、そんな歌詞。

夕陽は、大地に沈み、新たな朝日を連れてくる。大地に還ったホーボーはその女性に、新たな出会いや希望をもたらしたのだろうか。

そう思いたい。


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