それは死者の魂が天国へと向かうときの道標 ~ 「ひこうき雲」 荒井由実
「坂の上の雲」という小説のタイトル。
明治というこれから文明開花を経て大きな新しい時代へと日本という国自体が躍動していこうという時期。こんな時期に、この国の中で、躍動の原動力となった若者たち。彼らは、その中で、何を見つめていたのかという視点から作られたらしい。
おそらく彼らは坂の上に見える雲のようなものを目指していたのではないか。雲は掴めそうで掴めない夢の象徴。この、「坂の上の雲」をつかみとろうという意思、そして意欲が、この時代を動かしていた原動力だった。。という事だったと思います。
こんなふうに、雲というものは、何か形の見えないものの象徴として描かれることも多いです。
空に細長く伸びる雲。上空を舞う飛行機がつくる飛行機雲。その一直線の白い輝きはギュッと何かを掴み取ろうとする意思の現れにも思えるし、逆に、ゆっくり消えてく様は生命の儚さを思わせる。
空は果てしなく青く澄み渡っていて、どこまでも上り坂は続いている。その坂道の上には、ひとすじの飛行機雲。まるで坂道と飛行機雲が連なっているようにも思える。
まさに天に届かんとするその白いラインの輝きが辿り着く先はどこなのだろう。白い輝きが人生そのものならば、行き着く先は、天の世界。つまり、それは死者が集う天国という世界だろうか。
あの子の命は ひこうき雲
坂の上へと続く雲。
今日もまた、晴れ渡った空を行く一陣の飛行物体。その物体が描く航行の筋は、青い空を背景に一段と輝きを増していく。
そして、自然と消えていく。
そのサイクルは、いつまでも繰り返される。おそらくは、死者の魂が天国へと向かうときの道標のような役割を、飛行機雲が担っているのかもしれない。
今日もまた、空にはひとすじの飛行機雲。
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